ラザントパワーグリップ



















投稿者:働くカットマン


【レビュー対象】
ラザントパワーグリップ 1.9mm/赤 (バタフライ表記でアツ相当)

【卓球歴・普段の使用用具】
カットマンやり続けて12年
攻撃:守備 サーブ時 5:5 レシーブ時 3:7 ぐらいの割合です。

ラケット:ビオンセロST
フォア:1Q 2.1mm/赤 (バタフライ表記でトクアツ)
バック:フェイントロング3 超極薄/黒
全重量:162g

【はじめに】
「マ○オカートのク○パをちょっと使いやすくしたようなラバー」 でした。

「ラザントパワーグリップ、カットマンにすごくイイらしいですよ」という神の啓示を受け、最近テナジー05FXから1Qへ乗り換えたばかりなのに、ホイホイと購入。
販売店側から提示されたこのラバーをおすすめしない選手の特徴3大ポイントである、「食い込ませて回転をかける選手」「柔らかいテンションラバーが好きな選手」「スイングが速くない選手」に思いっきり当てはまるが、カットマンではある自分が使うとどんな感想を抱くのか…。
火傷しかしない感じがしますが、試してみました。
テナジーシリーズと比較する感じでレビューします。
おそらく同系統ラバーであるテナジー25の使用歴が無いため、比較できないのが残念です…。

【重量】
ラケット貼り付け直前(カット後)の重量です。
ラザントパワーグリップ 1.9mm(アツ)… 55g
<参考>
テナジー05FX 1.9mm(アツ)… 45g
テナジー05FX 2.1mm(トクアツ)… 49g
1Q 2.1mm(トクアツ)… 50g

公表されているスポンジ硬度からして、推して知るべし…ではありますが、相当重い部類のラバーである1Qやテナジーシリーズと比較しても、さらに重いです。
元々軽い用具構成ですので、全重量の増加は問題ありませんが、重心が先端に寄り過ぎた結果、少し振り遅れが出たり三角筋痛めたりしました(笑)
そのため、パワーテープ3g分×2をラケット下半分の左右側面に貼り、重心を手元寄りに修正してプレイしています。
ラケット全重量は162gから173gへ、飛躍的に重量が増しました。

【硬度】
さすがに硬すぎるだろう…と思いつつ、実際に打つと「思ったよりは」柔らかいな、という感想です。
おそらくシート硬度がスポンジ硬度に比べまだ幾分かマイルドなため(とはいえ硬いです)かと思いますが、全体的な打球感は05無印より少し硬いかな程度です。

【弾み】
軽打では1Qや05FX、05無印等よりも弾みは落ちます。
逆に強インパクト時は、これらよりも弾みが強いです。
しかしながら、柔らかラバー好きな私の身体能力ですと、「食い込ませるためにいつも以上に筋力をフル稼働させた結果、いつもよりよく飛んだ」というのが実情でしょうか。
ラバーに振り回されているというか、ラバーコーチに鍛えてもらっている感じです。

【球持ち】
非常に良いです。
しかし、テナジーのような意図せず掴んでいる感覚ではなく、自分の意思で掴んでいる感覚が強くあり、球離れのタイミングはイメージと一致しやすいと思います。

【対回転の影響度】
相手の回転から受ける影響は、かなり強めな部類です。

当たり前の話ではありますが、シート表面で完結するような弱いインパクトほど、グリップ力が仇となって回転の影響をモロに受ける格好となります。
逆に十分なインパクトの強さがあれば、グリップ力とスポンジのコシによって、回転を上書きし自分のボールにできる力強さがあります。

この特性によって、自分から回転をかける、スピードを出す…という「攻め」を意識したプレイの時には、大いに力を発揮します。
しかし、体勢を崩された時に「とりあえず入れる、とりあえず繋ぐ、コースを突く…」という咄嗟の場面では、インパクトの強さで飛距離や回転の影響具合が激変するため、より神経を割く必要があります。
手打ちで感覚的にほいほい入るような、ラリーを楽しむタイプのラバーではありません。 

【ドライブ】
これほど硬いと、全く食い込まずにドライブ落ちるんじゃないか…と思っていましたが…すごいです。
ラバー名が示す通り、シート表面のグリップ力は半端じゃありません。テナジーシリーズでも経験したことのないグリップ力で、本当にシートだけでボールを掴みます。

このグリップ力によって、ラバー表面で擦るドライブが非常に安定し、また回転量も05以上のものがあります。
私が05FXを使い続けた後、一時的に05無印を使ったのですが、この時FXでのスイングだとインパクトが不十分で食い込まず&シートがボールを掴まずにドライブがボトボト落ち、スイングを上方に修正せざるを得ませんでした。
パワーグリップはシートがボールを掴んでくれるので、スイングを適正化しないままインパクトが十分でなくとも、とりあえずはドライブが入ってくれます。

擦るドライブが安定することもさることながら、特筆すべきは食い込ませて打つドライブでは無いでしょうか。
中程度のインパクトだと、そのスピードはテンション系ラバーの中でもそれなりで、同じ力なら取り立てて言うほど飛びはしません。平均値で言えば64の方がよっぽど飛びます。
しかし一定以上の強さを持ったインパクト時には、かなりの初速に強烈な回転を伴って球が走り、非常に重たいボールが出ます。
いつもの練習相手が、余裕無く当てるだけのブロックになり後陣へと下がっていくのが分かります。
私にもこんなドライブが打てるのか、と嬉しくなります。

さらに特筆すべきは、カット打ちです。
相手の球が遅いケースが多い分、それなりに十分な体勢で打つシーンが多いと思いますが、この時パワーグリップの強みを最大限に生かすことができます。
多少回転量を見誤っても、回転を無視して自分のボールにできます。
カットマンからすると、多少ナックルだろうが切っていようが、相手にほぼ同じスイングで思い通りに質の高いドライブを打たれる…と考えると、これを相手に使われると嫌ですね、ずるいです(笑)

後陣へ下がって打つ場合は、相手の球威が落ちている分、軽く当てるだけでは食い込まずにあまり飛ばないため、体重移動をいつも以上に意識する必要がありました。
自分の力でボールを飛ばせば入るという意味では、コントロールしやすく感じるかも知れません。

弧線はテナジー05と比べてもやや高く、スイング方向と球の飛び出しの方向も一致具合もテナジー以上です。
ボールにパワーが伝われば、抜群の安定感があります。
難点は重さによる連打のしづらさでしょうか。単純に振るのがしんどいことと、コンパクトなスイングではインパクト不足に陥りやすかったです。が、コレは私自身の身体能力に問題有りですね。

【スマッシュ】
スピードでいえば取り立ててものすごく速いという訳ではありませんし、インパクトが中途半端だと05FXや1Qよりも球は遅くなります。
食い込みが弱い場合は柔らかいラバーの方が上、最大速度で言えばパワーロスの少ないパワーグリップの方が上です。
一定以上のインパクトの強さがあれば、1Qはもちろんのこと、テナジー05無印よりも威力のある非常に重いボールが打てます。
相手からすると通常の角度ではボールが落ちるため、返球が難しそうでした。指に当たるととても痛そうにしていました(笑)

【カウンター】
カウンタードライブ&スマッシュは、パワーが無いとかなり難しく感じます。

ラバー自体の重さの影響もあってか、相手の球威に押されることはあまりありませんが、それは「ちゃんと弾くことができれば」のお話。
硬いスポンジに球をしっかり食い込ませる…または擦ることをちゃんと意識すれば、自分のボールにできる安定感がありますが、インパクトが不十分だと相手の回転の影響をかなり受けます。
今までラバーの柔らかさに頼ってカウンターしていた人が、そのままの感覚で振っていると、甘えんなと言わんばかりに痛い目を見ます(笑)

小さいスイングで弾くことができるパワーを持った人が使えば、とても球質の良いカウンターが打てると思います。
カウンタースマッシュよりもカウンタードライブの方が、まだ難易度は低めです。 

【ブロック】
1Qや05FXと比べて、当てるだけのブロックだと最初はオーバーミスが増えました。弾みが強いという訳では決してありません。回転の影響を強く受けるからです。
「とりあえずシート表面で当ててコースを突く」という一種受動的なプレイは難しめです。
しかし、能動的に自分から回転をかけたり、強く押したりというプレイでは威力を発揮します。
バック面に使用するには、かなり人を選ぶと思います。

【ツッツキ】
食い込ませてもテナジーのように球が吹っ飛んでいかないため、しっかり捉えればコントロールは容易です。
そしてブッツリ切れます。レベルとしては、テナジーツッツキと同次元にあると言えるのではないでしょうか。
チームの誰かが必ずテナジーを使っている今、ブチ切れツッツキに慣れている選手も多いので、これだけで点数を取れる…という程ではありませんが、ツッツキを切り続けるだけで相手の返球をツッツキ又はループドライブのみに限定させるだけの力があります。

ナックルツッツキをシート上のボールタッチだけで出すのは、なかなか繊細な技術が必要になってきます。
そのため、ナックルツッツキを混ぜたければ、当てるブレード位置の調整など、ボールタッチ以外の部分でコントロールするのが良さそうでした。

カットマン目線で嬉しいのは、前に移動しながらでもあまり弾まないため、少し前に出るのが遅れても切りに行けることです。
また、反転してのバックツッツキも、粒高面と比べてもあまり弾みに違いが無いため、かなり容易に切ることができます。
粒高ユーザーで、フォア面との弾みが違いすぎて反転ツッツキを断念してた人にとっては、かなり有用な武器になるのではないでしょうか。

【ストップ】
弾みが控えめですので、回転の影響の強さにだけ気をつければ、やりやすいです。
また、切ることで弾みが抑えられるため、切るストップもやりやすそうです。

【フリック】
小さくコンパクトに鋭く弾ける人なら、いいフリックが安定して入りそうですが、私のインパクトの強さでは弾くまでに至らず、回転の影響を強めに受けてコントロールが難しかったです。
弾く系のフリックにはかなりのパワーヒットが必要です。
擦るフリックならば、安定します。

【サーブ】
ものすごく切れます。テナジーを超えました。これは素直に感動しました。
薄く擦ると非常に短く止まります。エネルギーが全て回転に注力される感覚があります。
純粋な回転量の増加で、3球目攻撃に持ち込める機会が増えました…が、レシーブも切れて返ってくるので、そこは苦労します(笑)

球持ちが良い分、弾くタイプのロングサーブにはあまり適しませんが、回転を強くかけたロングサーブは強力な武器になります。

カットマン目線で言えば、
長さを気にせずバックサーブをひたすらかける > ちょっと甘いレシーブが返ってきたり持ち上げてきたら3球目
というパターンに非常に持って行きやすいですね。

【カット】
カット時に、ラザントパワーグリップは全く別ラバーに変わります。
とても抑えやすいです。というよりも、本当にテンションラバーなのかと思うぐらいに弾みません。浮き上がりもしません。
最初はこの感覚になれず、ネットミスを連発しました。

また、厚く当てれば当てるほど、さらに飛びません。
スポンジへの食い込み時にパワーロスが起こるのでしょうか?ガチャッという独特の異音が鳴った際には、本当に飛ばないので、体重移動を強く意識しないとネットミスします。
シート上で薄く擦った時も、テナジーと比べてかなり飛ばない方ですが、厚く当てた時が極端に弾まないため、この飛び方の違いを身体にインプットさせるのには少々慣れが必要です。

厚く当てて食い込ませる感覚がしっかり身についているカットマンからすれば、何球でも返球できる気持ちになるのではないでしょうか。
また、食い込んだか、不十分だったかが弾みで明らかに分かるために、「厚く当てるカット」の感覚を磨くのにも最適なのかなと感じました。

最大回転量は、薄く擦っても厚く当てながら擦っても、正直なところ05の方がやや上でした。
しかし、05でブチ切るためには、弾みを気にしながら球をある程度選ばないといけない節がありますが、パワーグリップは弾みがとても控えめなので、球をあまり選ばないでブチ切りに行くことができます。

その他、相手の回転量がいまいち分からない時、弱弱しくインパクトして「とりあえず」で入れにいくと、逆にコントロールが難しくなるため、そこは常にインパクトを強くする意識を持つ必要があるなと感じました。 

【バック面への影響】
ラバーの影響というよりも、重量が増した影響でしょうか。粒高面でのバックカットがより重たく、切れ味が増して安定したボールとなりました。
ただし、相手からしてもイメージとの乖離はあまり少ない、見たまんまのボールとなります。
また、これも重量が増した影響ですが、粒高面でのブロックが押されにくくなりました。

【総評】
体幹をはじめとした筋力の強さが無いと、その性能を引き出し切れずにムズムズする、非常にポテンシャルの高いラバーです。
現在チャイラバや回転系テンションを使って薄く擦るドライブを多用する選手は、乗り換えればそのままレベルが引きあがるかと思います。

私としては、柔らかめのラバーで食い込ませるドライブを主軸に使っていて、今の自分の球にどこか満足できないでいる人、卓球のトータルのレベルを引き上げたい人にこそ、チャレンジして使って欲しいラバーかなと思います。
その理由は2点。
1点目、そのグリップ力の高さから薄く擦るドライブの感覚を掴みやすく、自分の卓球に新たな引き出しが増えること。
2点目、このラバーで頑張って食い込ませれば、確実にそれまでのドライブより高次元のハイパフォーマンスなドライブが打てること。

特に2点目が大きなポイントです。
元々のスポンジの硬さから、それなりに自信のある人でないと手を出さないと思いますが、私が分不相応に手を出した結果、このポテンシャルの高さを安定して引き出せない自分に、非常にイライラしました(笑)
本文でも何度か書きましたが、自分から攻める意識を持って、回転をかけていくプレイでは、テナジーを凌ぐ非常に高い性能を発揮します。
逆に軽いインパクトでは食い込まないため、コントロールも安定せず、「とりあえず振ったらカウンター入っちゃった」みたいなことはほとんど起こりません。
つまり いいボールが打てなかった = 自分の何かしらが悪かったせい というのがよく分かります。

自分から攻めた時のボールがイマイチで、そんな自分の卓球に限界を感じている…そんな選手は、ぜひパワーグリップ先生の厳しいムチと、その向こう側に待つ甘いアメを体感してはどうでしょうか? 

「常に回転をかけたい、常に自分のボールにしたい」という、元々ストイックで完璧志向な中陣ぐらいを得意なプレイ領域とする超攻撃型には、とても合うと思います。少し柔らか目のラバーを貼っていて、前陣でのカウンタープレイを主軸としているようなプレイヤーや、臨機応変にコースを突きながら相手を追い詰めていくようなオールラウンド型の方は、触れ込み通り相当パワーが無いと合わないかなと思います。

カットマンにとっては、とにかく筋力的な部分さえクリアできれば、色々なタイプに合うラバーです。
しかし、現在攻撃の主軸としてループを打たせてカウンタースマッシュ…というパターンを多用しているプレイヤーにとっては、ちょっと合わないかも知れません。

柔らかめのラバーから移行する場合は、極端な重量増加とインパクトのバラつきに悩むため、筋力アップと身体の使い方を見直しながら3ヶ月ほど修行するつもりで試した方が良さそうです。
私もこのようなレビューを書きながらまだまだ使いこなすには至らず、しかし自分にとっても伸び代を感じられるラバーでしたので、もう少し使い続けてみようかと思います。