インナーフォース レイヤー ALC.S-CS










投稿者:ザーシー
[自己紹介]
  ・卓球歴 約10年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。
[レビューする商品名]
  インナーフォース レイヤー ALC.S-CS
[使用環境]
  ・使用ラバー
  テナジー05、64
  ブライスハイスピード
  ラザンターR47、V47
  キョウヒョウ8
  スピンアート
  インパーシャルXB
  スピネイト
  フェイントAG
  カールP-1R
  Grass D.tecS

[はじめに]
  インナーフォースレイヤーALC.S-CS(以下レイヤーALC.S)はバタフライから発売されている特殊素材ラケットです。
  前回レビューしたインナーフォースレイヤーZLFと同時に新たにインナーフォースレイヤーシリーズに加わったラケットです。
  元々ラインナップされていたインナーフォースレイヤーALC(以下レイヤーALC)を、より回転重視タイプに設計したラケットでその証として「S」の一文字が与えられています。
  インナーフォースレイヤーシリーズは組み合わせる特殊素材の違いによってラインナップが充実しているラケットですが、その中でも「ALC」に回転重視の「S」というバリエーションが存在しているということは、如何にレイヤーALCがユーザーに支持されているモデルであるかがわかります。

  前回は中国式ペンホルダーのレイヤーZLF-CSを試打したので今回もレイヤーALC.S-CSを試打していきます。
  国内のカタログにはレイヤーALC.Sに中国式ペンホルダーがラインナップされています。
  私の周りでもALCの中ペンを求める声は旧インナーフォースシリーズの頃から多かったですが(海外からALC-CSを輸入した方もいました)、あえて「ALC」ではなく「ALC.S」の中ペンを用意する辺りが、ペンホルダーユーザーから回転性能を求める声が多かったのだと勝手に推測しています。
  粘着性ラバーをフォアに貼っている中ペンユーザーも多いので、レイヤーALC.S-CSと粘着性ラバーの相性も良いのではと予想します。

  レイヤーALC.Sの合板構成は木材5枚合板+内側ALC2枚です。
  最大の特徴は5.5mmの板厚でレイヤーALCの6.0mmよりも0.5mm薄くなっています。
  ブレードサイズは161×150mmとバタフライの中国式ペンホルダーの標準的なサイズです。
  グリップデザインは外側がブラック、内側が濃いめのブルーとなっていてます。
  レイヤーALCのグリップは外側が濃いめのブルー、内側が薄めのブルーの鮮やかなデザインなので、2本並べるとALC.Sの方が落ち着いていて渋い印象を与えます。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  アリレートカーボンラケットの打球感は特殊素材ラケットの中でもソフトな部類ですが(カーボン無しのアリレートやZLファイバーと比べるとハード)レイヤーALC.Sの打球感はこれまで打ったどのアリレートカーボンラケットよりもソフトに感じました。
  レイヤーZLFよりはやや硬いものの、レイヤーALC.Sも負けず劣らずの木材ラケットに近い打球感です。
  恐らくカーボンを使用しているラケットの中でも最も木材ラケットに近い打球感だと思います。
  弾みもそこまで強くはなく木材ラケットユーザーでも違和感なく基本のラリーを続けられます。
  また板厚が薄く球持ちの良さが抜群でレイヤーALCよりも回転性能と安定性が向上しています。
  カーボンを使用しているラケットであることを一瞬疑うような球持ちの良さとコントロール性能の高さは、初めてカーボンラケットを使用する方にも安心して使っていただけるポイントだと思います。

  同様にドライブも球持ちの良さからボールにしっかりと回転をかけることができます。
  レイヤーALCもぐっとボールを掴んで、ぐいっと回転をかける感覚がありましたが、より板厚が薄いレイヤーALC.Sはさらにその上をいく回転のかけやすさです。
  個人的には木材7枚合板の吉田海偉やハッドロウSKよりも回転がかけやすいと感じました。
  レイヤーZLFは特殊素材ラケットで最も回転がかけやすいと声を大にして言えるラケットでしたが、レイヤーALC.Sはカーボンラケットの中で最も回転がかけやすいです。
  ドライブを打った後のボールの伸びやスピードはレイヤーALCの方が上ですが、レイヤーALC.Sは回転量が多くより高い弧線を描て相手のコートに沈み込むようなドライブを打つことが可能です。

  スマッシュは基本のラリーやドライブで感じていた球持ちの良さからは想像できないほど球離れが速くバチっと弾いて素早いスマッシュボールを打つことが可能です。
  レイヤーALCのスマッシュの方が球離れとボールの速さは上ですが、レイヤーALC.Sもカーボンラケットとしては十分な速さのスマッシュを打つことが可能です。
  ドライブを打つときはしなりを活かしてぐっと食い込んで強い回転を生み、スマッシュを打つときは芯で捉えた際の球離れの良さが素早いボールを生み出すといった具合です。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  ブロックはカーボンラケットとは思えないほどよく止まります。
  インナー配置と板が薄いことによる球持ちの良さで相手の強打をぐっと抑え込むことが可能です。
  カーボンラケットは攻撃力が魅力の反面ブロックを苦手とする傾向があります。
  しかしカーボンラケットながらそのブロックがやりやすい点はレイヤーALC.Sの優れたポイントです。
  ただ回転性能が良いことの裏返しでブロック時は相手のドライブの回転をモロに受けてしまう為注意が必要です。
  またペン粒として使用した場合、板厚が薄いのでボールが切りやすく、相手のドライブを上手くカット性ショートで返球することができました。
  ただ、レイヤーZLFと比較すると弾むのでカールP-1Rなど守備メインで自分から切ったり止めたりを繰り出すタイプのペン粒にはレイヤーZLFをおすすめします。
  逆にGrass D.tecSなどのオートマチックにスピン反転をするタイプの粒高と裏ソフトとの攻撃を組み合わせるペン粒にはレイヤーALC.Sをおすすめします。

  ツッツキはボールを切りやすく回転量の多いボールをコースに打ち分けることが可能です。
  レイヤーALC.Sはラケットがしなるので下回転もよくかかります。
  しかしツッツキはレイヤーALCやレイヤーZLFなどのレイヤーALC.S以外のインナーフォースレイヤーシリーズも共通して得意な印象を受けました。
  逆にアウター特殊素材ラケットはツッツキが苦手なものが多いです。
  ツッツキはアウターかインナーかで得意不得意の違いが大きく現れる技術の1つだと思います。

  レイヤーALC.Sはカーボンラケットながら意外にもカットを安定して打つことができました。
  ブレードがよくしなるのでツッツキ同様に強い下回転がかかります。
  そこにカット時は強すぎない弾みが加わって回転量の多いカットボールを何本も打つことが可能でした。
  粒高はもちろん、回転系表ソフトのスピネイトでのバックカットも安定して打つことが可能でした。
  異質ラバーでのカットが得意な点は安定性の高いレイヤーALC.Sの魅力だと思います。
  またカットから攻撃に移った場合のコンビネーションも良いので、現代卓球の攻撃重視のカットスタイルにぴったりだと感じました。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  カーボンラケットとは思えないほどショートサーブがよく切れます。
  特に木材ラケットから特殊素材ラケットにステップアップした際にネックになりやすい下回転サーブがレイヤーALC.Sは非常にやりやすく回転量も多くて魅力的です。
  またロングサーブもよく回転がかかるので横回転などの回転を加えたサーブで相手を崩すことが可能でした。
  またレシーブはチキータやツッツキなどの自ら回転をかける技術が得意な反面、相手の回転の影響を受けやすいので置きにいった返球は厳禁です。
  台上はチキータやツッツキなどの回転系の技術が得意な点はレイヤーALC.SとレイヤーALCを比較しても大差はありませんが、気持ちレイヤーALC.Sの方が回転がかかりますかけやすい印象を受けました。

[おすすめな方]
  木材ラケットやZLファイバーなどのカーボン無しの特殊素材ラケットから、カーボンラケットに移行する際の最初の1本目におすすめです。
  回転性能の高いアリレートカーボン+インナー配置+板が薄いといった特徴により、カーボンラケットとは思えないほど回転性能と安定性が高いです。
  木材やZLファイバーにもう少し威力が欲しいが、ティモボルALCなどのアウターアリレートカーボンは難しい方にはレイヤーALCをおすすめしますが、そのレイヤーALCにより安定感が欲しいといった方にレイヤーALC.Sはぴったりだと思います。
  またカットマンの方でカーボンラケットに初挑戦する方にもおすすめです。
  ブレードがしなってカットはよく切れて、攻めに転じた際にはボールに威力が出せるといった攻撃重視のカットマンに適した性能をレイヤーALC.Sは持っていると思います。

  個人的には粘着性ラバーとの組み合わせと、表ソフトとの組み合わせが良かったです。
  スピンアートやキョウヒョウ8と組み合わせた場合、球持ちが良いので粘着性の回転性能の高さを無駄なく発揮することが可能です。
  アリレートカーボンと粘着性の組み合わせはトップ選手にも多く定番の組み合わせですが、実際に使ってみると想像よりも球離れが速くて回転がかけにくいことがあります。
  しかしレイヤーALC.Sはインナー配置で板も薄くて回転がかけやすいのでカーボンラケットながら粘着性との相性は抜群です。
  またインパーシャルXBとの組み合わせではナックルでの揺さぶりやショートサーブなどの弾みをあまり必要としない技術では安定していて、スマッシュや角度打ちなどの攻撃的な技術ではバチっと弾んで威力あるボールを打つことが可能です。

[まとめ]
  ティモボルALCの爆発的な人気が続く中で、もう少し安定感が欲しいという方に、アリレートカーボンにインナー配置といった組み合わせのレイヤーALCはぴったりの選択肢のラケットでした。
  そんなレイヤーALCの回転重視モデルが登場した背景が気になってはいましたが、レイヤーALCとレイヤーALC.Sを比較して試打したことでその違いを求める声が多いことを確信しました。
  同じアリレートカーボンのインナー配置ラケットを好む方でも弾み重視の「ALC」と回転重視の「ALC.S」を選択できるように、バタフライがラインナップを用意しているだけのことはあるなとレイヤーALC.Sの高いポテンシャルから感じました。