アレス














投稿者:くろかみ
高1、中ペン裏裏、都1勝レベル。今回は久しぶりに粘着ラバーをレビューしますが、自分はまだ粘着打ちを練習途中なので参考程度に読んでくださると嬉しいです。
[レビューする商品名]
  SWORD   アレスブルースポンジ   2.2mm
[使用環境]
  使用したラケット
  カーボネード45
  王道04

  主にフォア面での使用となります。

[はじめに]
  アレスブルースポンジ(以下アレス)は、SWORD社から去年発売された粘着テンションラバーです。今までの同社製品やその他粘着と比較して、濃いブルースポンジ・強粘着・ぶっ飛びを売り文句に販売実績を残しています。WRMも木星やアポロ5に並び粘着3本柱として推しているようです。今までのSWORDラバーはバランス良くまとまっていて、本格派粘着への導入の位置に置かれているような印象があるだけに気になります。
  真空パックから取り出し触ってみると、シートもスポンジも粘着らしく硬かったです。しかし、キョウヒョウに比べると食い込む感じがしました。また、強粘着と謳われていますが言うほどではなかったです。キョウヒョウネオと同等程度ですかね。ただゴム質は良く引っかかりは十分でした。新鮮な藍色スポンジは已打底膜がしっかり貼られていて、いかにも弾みそうな感じがしました。
  重量は王道04に貼った際に46.5gでした。通常のシェークサイズでは50g前後と思われ、粘着としては普通の重さです。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  0   基礎打ち、軽打
  パキパキと粘着らしい音を立てて飛んでいく打球は、予想以上に吹っ飛びました。スピンテンションとほぼ遜色ない弾みでした。しかも、貼った次の日に初打ちしてこれですから、粘着あるあるのある程度日をおかないと弾まないことも払拭されているのが伺えました。メイスブルーを過去に打ったことがありますが、アレスの方が硬く、弧線もアレスの方が高く感じました。

  1   ドライブ   8.5点
  当然、回転をかけて運ぶには粘着打ちのスキルが必要となりますが、まずアレスの凄い点はテンション打ちでも入ってしまい、ネットミスやポトリと落ちることが少ないことでした。テンションから粘着に移行したい方にとっては、飛距離が似てるだけでなく入る安心感があるため、ハードルが低く選びやすい気がします。
  さて、改めてドライブを打っていくと、軽打では深い弧線は出るものの素直な球質で取られやすかったのが、強めに打つと勝手に球速が出て制御が難しいほどでした。沈むボールも散見され、弧線がより粘着に近く独特になりました。ボールもしっかり重く、ここが今までのスピード系粘着とは一線を画すところですね。粘着に慣れてる方からすればそこまで硬くないですし、平均的に上から威力のある攻撃ができるのが大きな強みだと思いました。一方で、やはり弾みが強いために下から持ち上げる、チョリドラなどでねちねち攻めていくスタイルだとピッチが速くなり難しそうです。球持ちは悪くないのですが、アウターカーボンのカーボネードで打った際はブレードの硬さも相まって筆者のインパクトでは回転をなかなか掛け切れず飛びがちでした(ただそれでも他粘着と違い入ってしまうので、ナックルドライブになってある意味得点力がありました)。ラケットで調節する際は、スピードが武器なのでそれを生かしつつある程度柔らかいブレードが必要になるでしょう。
  まとめると、ロング戦で上からドライブを叩き込んでいくのはただただ楽しかったのですが持ち上げる技術に関してはインパクトあるいはコツが掴めるまでは難しい印象でした。そして、威力は出ますが癖玉はあまり出ないため、スピンテンションに+αを求めている正統派ドライブマンが向いていそうだと分かりました。

  2   カウンター   9.5点
  当たれば入る感じで、スリップしない上に粘着力で持ってく感触もないのでストレスフリーで打てました。上からフラット気味に叩く、前に平行気味に掛け返す、下がって打つ全て自在にこなせるので素晴らしいですね。筆者はテンションラバー合わせるようなカウンターになりがちだったのが、アレスではこちらから振って自分のボールにすることができ、意識が変わりました。

  3   スマッシュ、フラット系   7.5点
  テンションと比べると大したことないかもしれませんが、粘着らしからぬ弾みとはっきりした打感のおかげでミートが打ちやすかったです。ナックル性の速いボールが出ていて、やや食い込むので本格派粘着には及ばずとも、案外球質差が作れている印象を受けました。そして、テンションに近いからか軽打で落ちることが少ないのも良かったです。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  1   ブロック   7.0点
  守備技術も操作性は良いほうで、ブロックもあまり落ちずにこなせますが、短く止めるのは厳しく、素直な球質になりがちでした。また、粘着の悪いところはブロックの際に弾みや弾きの打感がイメージとずれやすく思い通りにいかない感覚がある点だと思っていますが(粘着に不慣れなだけです)、アレスも例に漏れず同様の違和感がありました。

  2   ツッツキ   9.0点
  台上技術でも述べますが、攻撃の弾みからは想像できないくらい抑えが効きました。むしろ合わせるだけでは飛ばないので、回転をかけてコートに届かせる感覚でツッツキできました。回転量は粘着としては並でした。

  3   カット   7.0点
  わざわざ使うには弾みが強いので厳しいです。弾道の低さと回転量の変化をつけやすいところまでは良かったのですが。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  1   サーブ   8.5点
  普段テンションを使っているので、抑えが効くために思いきって切れて回転量は上がりました。強粘着と謳う割には普通の回転量だと思いますが、打ってテンション並に弾むのに、台上では短く切れるのが素晴らしいです。

  2   レシーブ   9.0点
  振ってもよし、合わせてもよしという感じで、かなり自由度は高かったです。ただ食い込むと飛んでしまう一面もあり、硬めテンションより打球がイメージしづらく感じました。

  3   ストップ   8.5点
  本格派粘着のように表面で擦ってビタ止めすることは難しかったです。しかし、ダブルストップの場面で打点が落ちても回転の力でストップし返せるところが流石粘着だなと感じました。

  4   フリック   7.0点
  ナックル性の球は出ますが、下手に食い込むとコントロールしづらかったです。強めの粘着もここでは邪魔になりました。

  5   チキータ・台上ドライブ   9.5点
  ここは、引っかかりの良さと球の深さがいい方向に働いて、強く振るとうねるようなチキータが打てました。粘着に慣れている方はバック面での使用も良いかもしれませんね。

[おすすめな方]
  テンションユーザーがプラスαを求める上で強い選択肢となる現代的な粘着テンションでした。生粋の粘着ユーザー(ぐっちぃさんのように時間を作りつつ変化を出す、中国選手のようにパワーあるから癖玉と一撃で仕留めるなど)の方々には粘着としての性能が物足りないように思います。サーブから3球目までの展開を大事にしている方には本格派の切れ味と癖玉に欠けるため向かないでしょう。一方で、普段テンションを使っている筆者などからすると、弾みやスピードは遜色ないのに2速や台上の回転量が上がり、粘着打ちを覚える過程でも十分に強いことが分かり手応えがありました。本格派と比べると食い込みがあるため、攻撃時はテクニックよりもパワーで押していきたいラバーです。
  ラケットは、定番の硬く薄い木材合板も良いですが、食い込みがあるためカーボンや厚め合板のほうがより合うでしょう。テンションのようなスピードと弾みを生かせるブレードが良いと思います(筆者は非力なため、振り切れる王道04がやや柔らかすぎるが高バランスでした)。

[まとめ]
  「闘神」という名にふさわしい攻撃力とコントロールに優れた粘着ラバーでした。今年の正月にこのアレスを購入した時は、SWORD社には珍しい濃いブルースポンジが中国選手の用具のような色合いなので面白がっていたのですが、使ってみると筆者のレベルではキョウヒョウよりも中国選手のプレーをイメージしやすいくらいの速さと重さが出ていて、中身も伴った優秀なラバーだと感じました。弧線は素直な方ですが、打感は重厚な粘着のそれを残していて、粘着ビギナーも上級者も手を出しやすい点も完成度が高く素晴らしいです。
  最近は粘着テンションというジャンルが業界にも浸透してきたのか、中国以外のメーカーも積極的にスポンジ開発を行うようになりました。粘着寄りのものは癖玉がある中国製が今でも強い一方で、アレスのようなテンションよりのものは大手メーカーも多く出していて、中々アレスは注目されないように思います。打感が粘着なのが他と違いますが、扱えた時に粘着とテンションの性能を両立しているという意味ではアレスが最も良いと言っていいでしょう。強粘着ぶっ飛びという謳い文句からじゃじゃ馬だと思われがちですが意外と万能なので是非試して欲しいラバーです。

[補足]
  アレスは他の粘着テンション同様に、スポンジに膜を張って弾みを上げる中国製ならではの加工いわゆる「已打底」加工がなされているのですが、筆者は試打途中でこの已打底膜を剥がして("未打底"の状態で)も打ってみました。結果、勝手に弧線が上がる感覚が強くなり弾みが程良くなったことで下回転打ち特にカット打ちの感触が向上しました。「アレスっぽさ」は残しているのですが、ただ確かに力のある方からすると個性が無いかなと思いました。今までのSWORD製品には無い性能の弾みとスピードを失うため未打底での使用はおすすめしません。