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投稿者:ザーシー


[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。
[レビューする商品名]
  ディグニクス09C
[使用環境]
  ・使用ラバー
  ディグニクス09C 赤 トクアツ

  ・使用ラケット
  吉田海偉
  ダイナスティカーボンXuXinエディション中国式
  馬林エキストラオフェンシブ-中国式
  幻守-中国式
  張本智和インナーフォースALC-FL
  松下浩二-ST

[はじめに]
  ディグニクス09Cは2020年4月の新製品としてバタフライから発売された粘着性スピン系テンションラバーです。ディグニクス05の衝撃的なデビューの後、64、80が発売され、次のリリースはテナジーのナンバリングに従いディグニクス25かとも噂されていましたが、まさかの「09C」でした。
  「09」のナンバーよりも気になるのはアルファベットの「C」で、察しの良いバタフライユーザーならばかつてのタキファイアCなどから勘付いたかもしれませんがディグニクス09Cは粘着性ラバーです。
  各メーカーからテナジー越えのラバーが出揃ったタイミングでバタフライがディグニクス05を発売し用具市場の覇権を揺るぎないものにしたかと思われましたが、粘着性を加えることで更なる回転性能を追及したディグニクス09Cを発売しました。
  いわゆる粘着テンションというジャンルなのですがバタフライはスピンアートの発売以降、粘着テンションラバーの発売からは遠ざかっていました。
  テナジーやディグニクスの粘着無しのグリップ力で勝負をしてきたバタフライですが、ヨーラのゴールデンタンゴPSなどの昨今の粘着テンションのブームにはわずかに一歩遅れて参戦した形となってしまいました。
  そんな09Cですがドイツ代表のティモボル選手が開発に携わり数年前から実際に使用しているとの情報が記載され、発売前からユーザーの注目を集めました。
  またディグニクス09Cが発売される一年ほど前にテナジー09Cというラバーをティモボル選手が使用していることも確認されており、開発、試作段階から使用していたことが伺えます。
  スレイバー→テナジー05→ディグニクス05を使用していたティモボル選手が粘着性ラバーを使用していたことに驚かれた方も多いと思います。
  シートの色は濁りの薄い透んだ赤色でボールがくっつくほどのベタベタな強粘着ではなく、表面でボールを転がした際に少しペタっと感じる程度の微粘着です。
  開発コードNo.209という粒形状を採用したディグニクス09Cの粒の太さは1.5mmで05、64、80に共通する1.7mmの太さと比較すると09Cの方が若干細いです(肉眼ではあまり違いは感じられず)
  また粒の高さが他の3種類よりもやや低く、シートの厚さは肉厚です。
  また09Cのスポンジは硬度44°で他の3種類の40°よりも硬く、気泡と気泡との間隔も比較的広くなっています。
  この粒が細くて低い肉厚なシートと硬いスポンジの組み合わせが性能面にどのように影響してくるのか楽しみです。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  ・基本打ち
  09C以外の3種類と比較すると09Cのスポンジ硬度は4°の差しかありませんがかなりハードな打球感です。
  中国製粘着ラバーの硬い打球感に近いものがあり、フラットに当てた場合だと球持ちはあまり良いとは感じませんでした。
  ボールがシート表面でボトッと落ちる感覚ではなく、シート表面に食い込む前に硬さでバチっと弾かれて飛んでしまう感覚です。
  しかしスイングスピードを上げてインパクトを強めに打球するとボールをギュッと掴んでくれます。
  この掴む感覚により09Cもれっきとしたディグニクスシリーズだと感じさせてくれます。
  しかし通常の軽いラリーでは全く別物のような打球感なので戸惑う方もいらっしゃると思います。
  左右のコントロールはしやすくフォアサイドバックサイドへの打ち分けはやりやすいです。
  しかしやや難しかったのは前後の調整で浅く止めようとすると止まり過ぎてネット手前で落ちてしまい、深く入れようとするとボール1〜2個分オーバーしてしまいます。
  ちょっと力を抜けば手前に落ちて、ちょっと力を入れればポーンと飛んでしまうので、フラットな打ち方で前後へ打ち分ける際の力加減の調整が難しく感じました。

  ・ドライブ
  ミートドライブでは素早いスイングスピードで力強くインパクトすれば回転量が多く速度のあるドライブを打つことが可能です。
  またスマッシュとあまり見分けがつかない直線的な弾道のボールとなるのも特徴です。
  しかしスイングスピードが遅かったりインパクトが少しでも弱いと回転がかかる前にボールが飛んでしまい回転量不足の中途半端なドライブになってしまいます。
  ボールに面を厚く当てるミートドライブを多用する方にはディグニクス64や80などの方が比較的食い込みがいいので神経質になることなくドライブの連打が可能です。
  また擦るドライブでは非常に回転量が多くぐいっと沈み込む重みのあるドライブを打つことが可能です。
  元々グリップ力が強いディグニクスのシートに微粘着が加わることで中国製粘着ラバーと同等以上の回転量とスピードを両立したドライブを打つことが可能です。
  また相手の方にループドライブを打ってもらい、ブロックやカウンターで返球しようとするとズドンとラケットにのしかかるような重さを感じました。
  相手に攻め込まれている場面や、サーブレシーブから不利な展開に持ち込まれても、擦り上げて十分に回転をかけたドライブを一本打ち込むことさえ出来ればそれだけで試合の主導権を握ることが可能です。
  ノングルー化で粘着ラバーからスピン系テンションに乗り換えた方にディグニクス09Cを試して頂いた際には、グルーを塗った粘着性ラバーに最も近いボールを打つことができるラバーだと太鼓判を押していました。
  またゴールデンタンゴPSやキョウヒョウターボブルーと比較すると回転量とスピードがどちらかに片寄ることなく高いレベルで両立されていました。
  格上のカットマンの方に強烈なぶち切れカットを打ってもらったのですが09Cでは真上に擦るだけで返球することができました。
  試合で打ち込まれると普段は3本に1本ほどしか返球できないぶち切れカットを安定して打ち返すことができたので、09Cへの転向を真剣に考えてしまいました。
  またペンの裏面ドライブは面がやや被せ気味になるので面を開いて上方向に擦り上げて回転をかけると安定したドライブを打つことができます。
  またカウンターでは力強くインパクトしてボールを掴むことで相手の回転にこちらの回転を上書きすることが可能です。
  ディグニクス09Cは他の粘着テンションよりも弾みが強いので球威で打ち負けることもなくドライブ対ドライブの引き合いではここ一番の強さを発揮します。

  ・スマッシュ
  やや上方向に素早くスイングし強くインパクトすることでスピードが速く威力のあるスマッシュを打つことが可能です。
  スポンジが硬いので軽く弾くだけでもボールにスピードを出すことができます。
  しかしスイングが遅くなったりインパクトが弱かったりするとボールがネット手前に突き刺さってしまうので、やや上方向にスイング力強くインパクトすると弾道が安定します。
  またほぼ同じスイングから面を少し被せて前方向に振り抜けばミートドライブ、面をほぼ垂直にやや上方向に打てばスマッシュになるのでその緩急だけでも相手のミスを誘うことが可能です。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  ・ブロック
  元々グリップが強いシートに粘着性がプラスされていので強い回転がかけられる反面、相手の回転の影響はモロに受けてしまいます。
  しかしスポンジが硬くシートも厚いので、ブロックでのインパクトの際に前方向の動きを加えるだけで相手の回転の影響をあまり受けずに返球することが可能です。
  やや面を被せ気味にして上方向へ押すようなスイングで相手強打を捉えれば安定したブロックをすることが可能です。
  またペンのサイドスピンブロックは相手のドライブ回転を書き消すだけでなく強烈な横回転をかけられるので、コース次第では相手をミスさせることも可能です。
  またペンのカット性ショートは軽く下方向へ擦るだけでネットスレスレの際どい弾道の下回転ボールを打つことが可能でした。
  粒高との組み合わせでも09Cは高い回転性能を発揮してくれると思います。

  ・ツッツキ
  硬いスポンジと引っ掛かりの強いシートにより回転量の多い下回転をかけることができるので、軽く上から下に擦るだけで素早く鋭い角度のツッツキを打つことが可能です。
  ツッツキ対ツッツキの場面では相手の下回転により強い下回転をかけ返すことが可能で安定性は抜群です。
  また左右の打ち分けはやりやすいですが、浅いツッツキと深いツッツキのコントロールが難しいです。
  しかしストップをピタッと止めることができるので深いツッツキとビタ止めストップで前後に振る方が安定性も高くやりやすいです。

  ・カット
  擦るドライブ同様に上から下へ強く擦ることで非常に回転量の多いカットを打つことが可能です。
  スポンジが硬いので相手の球威に打ち負けず、キョウヒョウなどの硬い粘着ラバーと同じ感覚でカットを打つことができます。
  また09Cはグリップ力が強いディグニクスのシートに粘着性が加わっているので同じディグニクスシリーズの05、64、80と比較するとより強い下回転をかけることが可能です。
  スピン系テンションでのカットで切ることが難しく感じている方にはぜひ09Cのカットの回転量の多さを実感して頂きたいです。
  また反発力の強いスポンジとシートにより、中国製粘着ラバーと比較すると飛距離が出しやすく攻撃に転じる場面での切り替えがスムーズです。
  硬いスポンジと厚いシートで相手のドライブの勢いに打ち負けることなくズドンと切り下ろすことが可能です。
  私はカットマンが本職ではないので実感はできませんでしたが、グルー時代にキョウヒョウプロ3を使用していたカットマンの方はグルーを塗った粘着に近いカットを打つことが出来ると言っていました。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  ・サーブ
  グリップ力のあるシートと粘着性の組み合わせにより、ディグニクス05、64、80と比較すると格段にサーブの回転がかけやすいです。
  同じシリーズのラバーでも微粘着ラバーへ多少の仕様変更をするだけで全く違うラバーでサーブをしているような強いギャップがありました。
  特に下回転系のサーブは初見の相手のツッツキに対して高確率でミスをさせることができました。
  粘着テンションの中ではトップクラスのサーブの安定性を誇りその回転量の多さや球種でサーブからの展開を有利に運ぶことが可能です。

  ・レシーブ
  相手のサーブの影響を受けやすいので様子見程度に当てにいくとモロに回転を食らいます。
  しかし相手のショートサーブに対してはどんな球種のサーブが来ても、こちらのグリップ力の強さを活かして相手の回転により強い回転をかけ返すことが出来るので相手に先手を取らせない展開を作りやすいです。
  ロングサーブの場面では多少体勢を崩された場面でも、強く擦りあげたドライブを一発打ち込むことでこちらへ主導権を奪うことが出来るので確実にレシーブで返球をして4球目からの展開を組み立てると良いと思います。

  ・台上技術
  元々ディグニクスの強いグリップ力がチキータで抜群の威力を発揮することは過去のレビューや多くのディグニクスユーザーの方からも明らかですが、そこに粘着性が加わることで更に上の回転を作り出すことが可能です。
  ネット近くのボールはほぼチキータでカバーできそうなほど威力のあるチキータを打つことが可能です。
  また中国製粘着ラバーのような角度の鋭いツッツキやビタ止めストップ、ペンのカット性ショートやサイドスピンブロックなどの前後左右様々な技術がやりやすいです。

[おすすめな方]
  単に回転量の多さで勝負したり、スピードの速さのみで勝負をするのではなく、その両方を追及する方におすすめです。
  ディグニクス09Cは元々グリップ力が強く球威のあるボールを打つことが可能なディグニクスシリーズに、粘着性を加えることでディグニクス05のトップレベルの回転を越えたワンランク上の回転を作り出すことが可能です。
  また中国製粘着ラバーや他の粘着テンションよりも強力な反発力で圧倒的なボールスピードと勢いを生み出し、回転とスピードを高レベルで両立させています。
  球種の多さや技の多さで相手のミスを誘い、相手のボールにはこちら側の回転をかけ返す、不利な場面でも主導権をひっくり返して攻めに転じるテクニックタイプの方におすすめします。
  また粘着ともスピン系テンションとも多少異なる独特な性能なので扱うことは難しく初〜中級者にはおすすめしません。

[まとめ]
  ディグニクス世代に入りポストディグニクスの背中を狙って他メーカーが追従するようなテナジー世代のような展開を予想していましたが、ここにきて粘着テンションの時代が到来しました。
  各メーカーの粘着テンションも高性能でそれぞれに良さがあり、テナジー世代のラバーほど圧倒的な性能差ではなくバタフライの独占市場といった様相は見られませんでした。
  そん中登場した粘着をプラスしたディグニクス09Cは今後どのように評価されていくのか注目していきたいと思います。