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投稿者:ぬりかべ 

1.ざくっとレビュー
 粘着性テンションに匹敵するレベルの回転量と、テンション系ラバートップクラスのスピードを持つお化けラバー。ただし、攻撃時にその性能を発揮するにはスウィングスピードがかなり必要なので、ハードヒッター向け。

2.第一印象
 重量は カット前65g→カット後45g(中国式の根元から1.5cmあけています) となっています。R50が幻守Lに同じように貼って47gだったことを考えると、硬度の割に軽いようです。
 球突きをすると硬度相応の硬さがあり、1.7mmスポンジとは思えないほど弾みます。回転をかけてみるとシートの引っ掛かりはかなり強く、ラザントパワーグリップ(以下PG)やラザンターR50(以下R50)と同じかそれ以上の引っ掛かりの良さがあるように思いました。

3.攻撃技術
 ドライブ  9点
 スマッシュ 9点
 カウンター 8.5点
ドライブをこのラバーで初めて打ったとき、びっくりするぐらいの回転がかかったスピードボールが出て、「本当に私が打ったボールか?」と驚きました。そして、試合形式の中でドライブが手打ちになったときは、回転量が少なくスピードにも欠ける棒球が出て、「さっきと同じラバーなのか?」と別の意味で驚きました。このラバーは、インパクトの強さによる攻撃の質の違いが大きいようです。
まずドライブでは、シートの引っ掛かりが強く、強めにスウィングすれば「ボールの食い込み」が生じて「球持ち」が良くなり、かなりの回転量がかかります。シートで引っ掛けるように打つと弧線高めでバウンド後にボールが沈むループドライブに、ボールにぶつけるように打つとスピードがありバウンド後のボールの伸びが大きいドライブになります。しかし、遅いボールやナックル性のボールに対して手打ちになってしまうと、ラバーの硬さに負けて「食い込み」が起きず、ドライブが棒球になってしまったりボールが落ちてネットミスになってしまったりします(自分の場合、踏み込みや腰の回転がない手打ちだとほとんど棒球でした…)。回転量・威力・安定感ともに素晴らしいのですが、その力を安定して発揮するには、十分なスウィングスピードが必要ですね。
スマッシュは、弾みの良さ+オートマチックにかかる前進回転で、威力・安定感ともにハイレベルなボールが出せます。失速も比較的少なく、飛距離も十分。ただし、ドライブと同様にスウィングスピードがある程度ないとボールが食い込まず、あまりスピードのない棒球になってしまうようです。
カウンターでは、(相手のボールの威力で)ボールがラバーに食い込んで自然に前進回転が強く掛かり、強めに打っても台に収まります。普通のラバーで厚さがこの程度なら強く打つとボールが落ちてしまうこともあるのですが、このラバーは硬度が高いぶんボールの勢いに押されず、ボールが落ちることがほぼありません。高速の上回転ラリーにはめっぽう強いと言えます。1.7mmでも十分な回転とスピードが出るので、2.3mmでカウンターを打てれば…相当な威力が出そうですね。

【攻撃技術結論】
 フルスウィングしたときの回転量とスピードは秀逸。手打ちになると威力は落ちて棒球に。カウンターはオートマチックに強めの前進回転がかかるので、威力も安定感も高め。高速ラリーの中で真価を発揮する。

4.守備技術寸評
 ブロック 9点
 ツッツキ 8.5点
 ブロックに関しては、ほかのスピン系テンションと比べて、相手の前進回転に鈍感であるように感じました(ここらへんはR50あたりと同じですね)。スポンジの硬さもあって相手のボールの威力に押されにくく、ラケットをかぶせ気味にしていれば自然に前進回転がかかってボールが返る印象があります。スピードもあり、ブロックで相手を振り回すタイプにはうってつけですね。難易度はやや高めですが、R47やR50では難しかったナックル性ブロックもできました。
 ツッツキに関しては、まずは下回転の強さに対して鈍感であり、回転の強弱を気にせずに安定した返球ができます。また、ボールが浮きにくいので安心して強く切ることができます。そのかわり横回転の影響は受けやすく、横下回転をツッツキで返すときは予想以上に返球位置が横にずれ、若干の注意が必要です。弾みが強いぶん短く抑えるのは難しいように思います。ここまではR50とほとんど変わりませんが、「切りやすさ」はPGやR50以上であり、粘着ラバーに近い切れ味があるように感じました。切る・切らないの変化でチャンスボールをつくったり、切れたツッツキを持ち上げさせてカウンターしたり、といったプレーに適していると思います。

【守備技術結論】
 ブロックは安定感抜群で、カウンターに近いスピードボールが入る。ツッツキは相手の下回転に鈍感だが、横回転には敏感。回転量は多いが短く抑えるのが難しい。

5.台上技術・サーブ・レシーブ全般
 サーブ 9点
 台上技術 7点
 レシーブ 7.5点
サーブに関しては、シートの引っ掛かりが良いので回転のかけやすさも回転量の最大値もかなり高め。この点に関しては、PGやR50を上回っているように思います。R50やPGではちょっと難しかったナックルサーブも出しやすいように思います(硬さの影響でしょうか)。欠点は、弾みが強く回転の強いショートサーブは出しにくいこと。しかし、スピードが出せるぶん、回転やコースを読ませにくくすることできるので、さほど大きな問題とは感じませんでした(自分が守備選手ということもあるのでしょうが)。テンション系ラバーで短くサーブを出すのが上手な選手にとっては、サーブに関して全く穴のないラバーと言えるでしょう。
 レシーブに関しては、回転の影響をかなりうけやすく、角度を合わせるレシーブが難しいように思います。回転を上書きするとレシーブはある程度安定するのですが、回転を読み違えたときの影響はR50やPGよりも大きいように思います。台上攻撃では、私はフリックの威力が出ず、台上ドライブとチキータは回転量多めでスピードがまずまずのボールが出せました。私は、フリックはラバーに食い込ませる打ち方、台上ドライブやチキータはシートの摩擦力でとばす打ち方なので、「台上技術でボールをラバーに食い込ませるのは難しいが、摩擦力でとばす打ち方は有効」なのかもしれません。ストップは、回転量は良く浮きにくいのですが、短く抑えるのは難しいように感じました。

【台上技術・サーブ・レシーブ全般結論】
 サーブでは回転量、スピードともに上々だが、ショートサーブはやや難しめ。レシーブ攻撃は威力が出るが、相手の回転の影響を強く受け、回転を読みそこなったときはかなり厳しい。台上攻撃は小さいスウィングで威力を出すのは難しい部分があるが、シートの表面で薄くボールを捉える打ち方なら、回転量と安定感の高い台上攻撃ができる。ストップは難易度高め。

6.お勧め構成
 攻撃選手が使う場合、スウィングスピードが必要なので、全体の重量を軽くして振り切れるようにする必要があると思います。硬いラバーなので軟らかいラケットでバランスをとるのも良いでしょうが、長所を生かして「スピードを回転で制御する」と考え、硬めで弾みの良いラケットに貼って使うのがお勧めです。あくまでも県上位レベルの攻撃選手が使う場合ですが、特殊素材入り(IN,OUTどちらもOK)または7枚合板に貼るとラバーの良さが引き立つと思います。
 ペン粒の裏面に貼る場合、弾みを完全に抑えたものよりも、幻守や幻守Lのようにある程度弾みのあるラケットと組み合わせると良いでしょう。

7.どんな人にお勧めか
 ドライブのところで述べましたが、スウィングスピードがある程度ないと高い回転性能が発揮されないので、基本的にはハードヒッター向けかと思います。また、レシーブを安定させるにはハイレベルな回転を上書きする力とボールタッチの感覚が必要なので、中学生なら県大会で8に入れるレベルの技術力は必要かと思います。また、上回転に対するブロックやカウンターの性能がかなり高いので、ハードヒッターでなくとも、カウンター主体の選手には使いやすいのではないかと思います。
 高いサーブ力とブロック力に絞って考えれば、ペン粒がサーブや裏面ブロック(カウンター)で使うにはうってつけのラバーです。

8.総合評価
 攻撃選手が使う場合、県大会上位レベルなら「びっくりするぐらいの回転量とスピード」があるボールを安定して出せるので、9.5点ぐらいつけて良いかと思います。パワーヒッターでもサーブの回転を読んだり、回転を上書きしたりする能力がないと、上回転にもっていくまでのつなぎで安定感を欠いてしまうので、「パワーはあるけど技術に欠ける」という選手には7.5〜8点というところでしょうか。「技術はあるがパワーに欠ける」という選手にとっては、質の高いレシーブやブロックができるかわりに攻撃技術のボールの質にばらつきがあるので8〜8.5点ぐらいかと思います。正直なところ、卓球経験が浅い、パワーにも技術にも欠ける選手にはちょっとお勧めできません。
 ペン粒が使う場合、「サーブが切れる」「裏面(および反転)ブロックがやりやすい」ことから、9点前後をつけて良いかと思います。

9.その他
 一般ユーザーが使うには「攻撃技術の質(回転・スピード)にはばらつきがあるが、最大値は高め」なラバーですね。私が普段指導している中学生なら、県トップクラスでないと扱いは難しく、「普通の学校のレギュラークラス」にはお勧めできないような気がします。とは言え、いいスウィングができたときの豊富な回転量&スピードは捨てがたく…