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投稿者:ザーシー

[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

[レビューする商品名]
  ゴーズィ SL OFF-FL

[使用環境]
  ・使用ラバー
  ディグニクス05
  ディグニクス09C
  ラザンターR53
  ラザンターR48
  キョウヒョウネオ3ターボブルー
  インパーシャルXB
  Grass D.tecS

[はじめに]
ゴーズィ SL OFFはandroから発売されている攻撃用木材7枚合板ラケットです。
2019年1月にandroはフランス男子代表のシモン・ゴーズィ選手とアンバサダー契約を結びました。
ゴーズィ選手と言えばハードヒッターのイメージが強く、大きく下がった位置からブンブンとラケットを振り抜くパワータイプのプレースタイルが印象的です。
その剛腕に握られているラケットが今回試打する「ゴーズィSL OFF」です。
androのゴーズィラケットシリーズはバリエーションが3種類あります。
「ゴーズィBL5 ALL」は5枚合板を使用し「BL=BASIC LINE(基本のライン)」という名前からも想像できる通り安定重視で初〜中級者でも扱いやすいモデルとなっています(グリップはFLのみ)。
続いて「ゴーズィHL CO OFF」は「HL=HIGH LINE (高いライン)」、「CO=CARBON OUTER(カーボンアウター)」の名が表すように5枚合板+アウター配置カーボンという合板構成のラケットで、より攻撃に特化したモデルとなっています(グリップはFL、ST、AN)。
そして今回レビューする「ゴーズィSL OFF 」はゴーズィ選手の使用モデルで「SL=SUPREME LINE(最高のライン)」という名を冠し、硬質木材の黒壇を表面、赤い染色材を中心に配置した7枚合板ラケットです(FL、ST、ANの他に中ペンもラインナップ)。
ゴーズィ選手はandroと契約する前はコニヨールと契約していました。
その際に「シモン・ゴズィ クエストOFF」、「シモンゴズィ クエストALL+」という自身のモデルのラケットが発売されたのですが、ゴーズィ選手が使用していたラケットのブレード本体は黒壇7枚合板ラケットの「ガシアン アブソルム」のものを使用していたそうです。
中心材に赤い染色材が配置されている点も非常に似ており、契約メーカーがandroへ変わる際に近い性能のラケットを開発してもらったと考えられます。
ブレードサイズは157×150mmでバタフライで言うところのティモボルサイズです。
板厚は6.2mmで同じ7枚合板のSK7クラシックの6.8mmと比較すると薄いですが、全体的には厚い部類に入ります。
重量目安はシェークで90g(今回レビューした個体は89g)と7枚合板としては基本的な重さです。
特殊素材ラケットが主流の現在はトップからジュニア層までカーボンラケットの使用率が高いです。
シリーズにもカーボンラケットがラインナップされていながらハードヒッターのゴーズィ選手が敢えて7枚合板を使用していることからも、「SL OFF」のポテンシャルの高さが伺えます。
 定価は¥16000+税で木材ラケットとして高級な部類ですが同じ黒壇ラケットのエバンホルツNCT VII(STIGA)の¥20000+税よりはお求めやすい価格となっております。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
打球感が硬いというのが第一印象です。
エバンホルツも同じ黒壇て確かに硬かったのですがゴーズィSL OFFの方がより硬く感じます。
普段はペンですが7枚合板の吉田海偉を使用しているのですが、それでも7枚合板の硬さ+αの硬さを感じます。
黒壇に加えて中心材の赤い染色材も影響しているものと思われます。
素早いスイングで芯を捉えて強くインパクトすればボールをエンドラインまで深く打ち込むことが可能ですが、中途半端なスイングスピードや、芯を少し外す、インパクトがやや弱いといった要素が絡むと飛距離が足りず浅いボールになってしまいます。
シュラガーなどのガチガチのアウターカーボンまではいかないものの、並みのアウター特殊素材ラケットやインナー特殊素材ラケットよりは強いインパクトを必要とするラケットです。
正直な話ですがハードヒッターの型以外にはオススメできないラケットだと思いました。
中級者はもちろんジュニアやシニア、レディースの方が使用した場合プレーの途中でボールが徐々に飛ばなくなると思います。
トップ選手のゴーズィ選手がカーボン使用の「ゴーズィHL CO OFF」ではなく「ゴーズィ SL OFF」を選び使いこなしている理由が少しわかった気がしました。
また硬い打球感でありながら木材ラケットの球持ちの良さがあり、非常に回転量の多いドライブを打つことが可能です。
しかし今回試打した裏ソフトラバーでの特徴としてラザンターR53との組み合わせでは硬すぎてドライブを一本打つだけで精一杯といった印象でした。
R53の強いグリップ性能に木材の球持ちの良さが合わさり回転はかかるものの、打球感が硬くボールをライン際まで深く飛ばすことが難しかったです。
大きくバックスイングをとって強くインパクトすれば飛ばすことはできるものの、狙ったコースへのコントロールが犠牲になってしまう印象でした。
個人的には「R53+SL OFF」というゴーズィ選手仕様の組み合わせにワクワクしていたのですが、実力不足で使いこなせないという現実を突きつけられた感じです。
R53との組み合わせでドライブをバンバン打ち込むゴーズィ選手の恐ろしさが私のような草の根プレイヤーにも少しだけ伝わったような気がしました。
しかしラザンターR48との組み合わせではまるで別物のような打ちやすさを発揮し非常に使いやすい組み合わせへと変化しました。
R48の強いグリップ力とSL OFFの球持ちの良さが強い回転を生み出し、硬い打球感でもR48がぐいっとボールを掴んでくれるので狙ったコースへボールを送ることもやりやすく感じました。
その場にいた他の方にも試して頂いたのですが、満場一致でR48との組み合わせがベストといった結果でした。
ゴーズィ選手への憧れを一旦忘れ、R53ではなくR48と組み合わせることが懸命だと思われます。
またディグニクス09Cとの組み合わせでは硬すぎてR53以上にボールが飛ばずネットミスを連発したりドライブの引き合いで球威が足りずパワー負けに終わってしまう場面が多く見られました。
ディグニクス05との組み合わせは回転も良くかかり飛距離も出せたので好印象でした。
しかしボールを掴む感覚はR48の方が感じられ、ディグニクス05ではやや硬さを感じてしまい、どちらかを選べと言われればR48が適していると感じました。
キョウヒョウネオ3ターボブルーとは09C同様に粘着性の強い回転力は魅力的ですが思った以上に飛距離が出せず、無理なスイングでコントロールが犠牲になる印象でした。
エバンホルツやキョウヒョウ霞と同様に黒壇+キョウヒョウの組み合わせは適していると予想していましたが、プラボール化と特殊素材ラケットの圧倒的な普及率に加えて、各メーカーのポストテナジーラバーが出揃った現在の用具環境においては、黒壇+キョウヒョウでプレーするにはかなり上級者のテクニックを必要とし、私の実力では使いこなせないという感想が正直な結果です。
様々な結果を考慮するとR48との組み合わせがベストで、「グリップ力が強い・やや軟らかく掴む感覚がある・粘着ではないスピン系テンション」といった部類のラバーが適していると思いました。
それでもゴーズィSL OFFが上級者向けラケットであることには変わりないので、好奇心で使用するのではなく高い技術レベルを要求させることを前提に選ぶラケットだと思いました。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
芯で捉えてブロックした際には狙ったコースへの返球がしやすいものの、芯を外してブロックすると極端に飛距離が短くなって浅いボールを返してしまったりネットに引っかけてしまいます。
わざと芯を外してネット際を狙って短く止めようとすることも上級者は可能かもしれません。
しかし私の実力では自在に芯を外して返球することができず、前に踏み込んだ状態で相手の強打を芯で捉えてしまいオーバーミスとなってしまいます。
ここでもやはりR48のような掴む感覚のあるラバーの方がブロック後の飛距離が調整しやすく、狙ったコースへの返球がしやすいです。
R53や09Cなど硬いラバーになればなるほどブロックの前後左右の調整が難しくなると感じました。
球持ちが良いのでツッツキではラバーのグリップ力を生かして回転量の多い下回転をかけることが可能です。
単純な回転量勝負のツッツキ対ツッツキやカット対ツッツキの場面では心強いです。
しかし短くネット際に落とす、ライン際に深く返すという調整はやや難しいと感じました。
攻撃、守備の両方において回転量は十分ですが、飛距離や止めなどの前後の調整がネックになるラケットだと思います。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
木材ラケットなので球持ちが良くサーブの回転のかけやすさはカーボンラケットを上回ります。
特殊素材ラケットが主流の現在、飛距離や単純なパワー勝負では特殊素材が有利かもしれませんが、木材ラケットのサーブの回転のかけやすさは非常に大きなメリットです。
ゴーズィSL OFFの場合はドライブなどのラリー中の技術では特殊素材ラケットとも互角以上に渡り合えるパワーを誇りながら、サーブの場面では回転のかけやすさという木材ラケットのメリットを生かすことが可能です。
またチキータやツッツキなどの強い回転を加えるレシーブが非常に強力でレシーブからの4球目へ繋げることも可能です。
サーブレシーブに強い部分は上級者向けのSL OFFにおいて非常に欠かせないポイントだと思います。
後ろに下がって大きなスイングを使ったプレーが得意なラケットですが、台上に引っ張らり出された場合は回転を加える技術がレシーブ同様に効果的です。
逆にフラットに当てるフリックやストップなどは、力の加減が難しく硬いラバーとの組み合わせではラバーにボールが食い込まずにネット手前で落としたり、強く当て過ぎてオーバーしてしまうこともありました
またある程度重量があり表面材が硬いおかげことから台上において相手の球威に押されにくいというメリットもありました。
しかしその重量故に台上の操作性があまり良くないので、台上でのプレーが続く場面は苦しいです。
台上で細々とプレーするよりも、全身を使ったスイングでダイナミックなラリーを繰り出すプレーの方がSL OFFには適しています。

[おすすめな方]
構成的には木材7枚合板ですがインナー特殊素材以上のパワーを誇りアウター特殊素材にも匹敵する攻撃性能を誇ります。
ゴーズィ選手のようなダイナミックなプレーから抜群の威力があるボールを何本も繰り出せるフィジカルを誇る超上級者であれば、R53のような激硬ラバーと組み合わせることでワンランクもツーランクも上のプレーをすることも可能だと思います。
しかし幅広い層の方がゴーズィSL OFFの性能を引き出すにはR48のようなボールを掴む感覚のあるラバーが最適だと思います。
09Cなどの現在主流になりつつある粘着性テンションとの組み合わせではグリップ力を生かした回転量の多いボールを生み出せるものの、硬さの影響をモロに受けて様々な場面でボールを安定させることが難しいです。
粘着性テンションではなく、スピン系テンションの中で掴む感覚があるラバーとの組み合わせることで、回転量が多く安定感のあるボールを繰り出すことが可能なラケットだと思いました。

[まとめ]
黒壇ラケットは久しぶりに試打しましたが、粘着ラバーとの組み合わせで抜群の回転量を生かしたプレーに向いたラケットという以前のようなイメージは崩れた感じがしました。
新たな特殊素材ラケットが続々と開発され、ポストテナジーのスピン系テンションが出揃い粘着性テンションの時代が到来している用具環境において、ゴーズィ選手が黒壇ラケット+硬いスピン系テンションという組み合わせでプレーするのも頷けると思います。
また中級者でもトップ選手モデルのラケットの性能を引き出すことができる、R48のような硬度を落とした高性能ラバーが作られている用具市場も非常に心強いです。
特殊素材ラケットだけでなく、木材ラケットも様々な材質や合板構成で進化していると感じました。