06080_01




投稿者:ザーシー

[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

[レビューする商品名]
  アイビス

[使用環境]
  ・使用ラバー
  アイビス 黒 トクアツ

  ・使用ラケット
  吉田海偉
  ダイナスティカーボンXuXinエディション中国式
  幻守-中国式
  張本智和インナーフォースALC-FL
  ティモボルALC-ST
  松下浩二-ST
  ハッドロウシールド-ST

[はじめに]
  アイビスはバタフライが2020年の新商品として発売した粘着性ラバーです。
  回転性能に特化させたトップシートに「スプリングスポンジの製造技術を応用した硬めのスポンジ」を組み合わせているとのことで、スプリングスポンジではないアイビス専用の50°のハードスポンジを搭載しています。
  同じバタフライのスピン系テンションラバーのロゼナは中価格帯でスプリングスポンジを採用しています。
  しかしアイビスは粘着性シートと硬度や反発力などの兼ね合いを考慮してスプリングスポンジとは異なるかなり硬いスポンジを採用しているようです。
  カテゴリーを見ても分かるようにスプリングスポンジを搭載したディグニクス09Cは「粘着性ハイテンション裏ラバー」に分類されているのに対し、アイビスは「粘着性裏ラバー」に分類されています。
  かつてバタフライには粘着性シートにスプリングスポンジを搭載した「粘着性ハイテンション裏ラバー」に分類されるスピンアートというラバーがありました。
  福原愛選手や平野早矢香選手も使用していた実績のあるラバーでしたが、今年になってディグニクス09Cが発売し続いてアイビスが発売されると、入れ替わるような形でスピンアートは廃盤になってしまいました。
  アイビスの価格は¥5000+税でロゼナと同じです。
  お求め易い価格に設定することで、スピン系テンションユーザーがロゼナからテナジー、ディグニクスへとステップアップするように、粘着性ユーザーにもアイビスからディグニクス09Cへとステップアップさせる狙いがあるように思えます。
  シートの粘着性あまり強くはなく、キョウヒョウのような中国製粘着ラバーのベタベタなシートとは異なります。
  これはバタフライの粘着性ラバーに共通した特徴で、粘着成分をシート表面に施すのではなく、ゴム自体に練り込む製法でラバーを生産されているそうです。
  09Cとの比較や他の粘着性ラバーとの違いを意識しながらレビューしていきます。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  ・基本打ち
  スピン系テンションや粘着テンションと比較すると弾みは劣るものの、非テンションの粘着ラバーの中では弾む部類のラバーです。
  スプリングスポンジの技術を応用したスポンジ(※以下:応用スポンジ)はバタフライのカタログ値では50°ですが、他メーカーと比較すると55度以上の硬さはあるように感じます。
  しかし硬すぎてバキバキという印象ではなく、シートがしっかりボールを掴んで回転をかけるので従来の硬い粘着ラバーよりもかなり使いやすく安定した打球を打つことが可能です。
  また他の粘着性ラバーと比較すると球離れは速いものの飛距離は出しにくく、中陣よりも後ろに下がったり大きく左右に振られるとすくい上げて相手コートに入れるだけの棒球になってしまいます。
  回転がかかりボールも掴む、球離れは速いが飛距離が出しにくいといった印象です。

  ・ドライブ
  ラバー表面の粘着力からは想像できないほど強烈な回転がかかります。
  引っ掛かりの強いシートがボールをぐっと掴んで回転を生み出しディグニクス05やラザンターR48などのスピン系テンションとのドライブ対ドライブの場面でも回転負けせず強気で引き合いに挑むことができます。
  そこにスピードが加わった場合、トータルの球威ではディグニクス05やラザンターR48の方が上ですが、回転量勝負の場合はアイビスが上回っていると感じました。
  また軽く擦り上げるだけで強い回転がかかるのでディグニクス09Cのように弾み過ぎてしまう心配に悩まされることもなく、回転重視のプレーに集中することができる部分もアイビスの特徴です。
  また球離れが速いので回転がかかっていないような感覚がありますが、当てるだけのブロックに対して大きくボールが跳ね上がるほど強い回転がかかっています。
  また飛距離が出しにくい点はドライブも同様で、浅いボールになりやすくスピン系テンションの深いボールに慣れた方は違和感を感じるかもしれません。
  またペン裏面ドライブやシェークのバックドライブでは弾み過ぎずしっかりと回転がかけられるので安定したドライブを連打することが可能でした。
  近年は粘着テンションブームによりバック面にも粘着ラバーを使用するドライブマンも多くなってきましたが、ラバーが硬くて食い込みが弱くボールが落ちてしまう方や、スピン系テンションとは異なる粘着性特有の独特な打球感がバックではモロに出て来てしまい中々よいバック用粘着性ラバーは見つからない方もいると思います。
  そんな方にはボールを掴んで安定した回転を生み出せるアイビスをバック面で試して頂きたいです。
  個人的な感覚ですが、09Cが元々スピンとスピードがハイレベルに両立されているディグニクスシリーズに粘着をプラスして回転性能を強化しているのに対し、アイビスは回転性能の高い粘着性のシートに応用スポンジを組み合わせることでスピードを強化しているようなイメージです。
  アイビスは同じ粘着性ラバーの09Cのスピードを抑えたラバー、使いやすくしたラバーというイメージ私自信は勝手に想像していたのですが、アイビスと09Cは全く異なるコンセプトのラバーです。
  むしろタキネス、タキファイアシリーズなどのバタフライ伝統の粘着性ラバーの進化の延長線上にアイビスは存在し、09Cがこれまでとは異なるオンリーワンな存在といった印象です。
  とにかく回転が多く山なりの弧線を描くドライブを打つことが出来るのでループやカーブ、シュートなどの多彩な回転や緩急をつけたドライブで勝負する回転最重視の戦術の方におすすめのラバーです。
  逆にパワー重視のハードヒッターの方やスピンとスピードが両立された威力重視のドライブマンの方にはディグニクス05などのスピン系テンションが適していると思います。

  ・スマッシュ
  球離れが速くラバーも硬いのでフラットに当てて弾く感覚でスマッシュを打つことができます。
  放たれたボールは初速も速く直線的な弾道を描きます。
  アイビスは面を被せて擦りあげることで強烈な回転を作り出しますが、少しでも面が開いて食い込ませるようなドライブを打とうとするとラバー表面でボールが落ちてしまいます。
  その結果、回転はかかっていても飛距離が足りない浅いボールや最悪の場合ネットボールになってしまいます。
  被せが足りず中途半端に面を開いたドライブを打つくらいなら、思いきって面をフラットに開いて硬さを生かしてスマッシュを打ち込んだ方が決定打として優秀だと思います。
  ドライブはしっかり被せて擦る、スマッシュは面を開いて硬さで弾くといった打ち分けがアイビスには必要だと思いました。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  ・ブロック
  当てるだけのブロックは粘着性なので相手の回転をモロに食らいます。
  しかし応用スポンジが硬いので少しプッシュ気味に弾く感覚でブロックする相手の回転を抑えたテンポの速いボールで、強打を打って間もない相手を詰まらせることが可能です。
  またディグニクス09Cや05は相手強打の回転の他に、勢いもモロに食らってしまいブロックからのオーバーミス
  にへ繋がる場面も多かったのですが、アイビスは飛距離が出にくく浅いボールになるため低く浅いブロックで相手を台上寄りに引っ張り出す場面もありました。
  ペン粒の方で裏ソフトに回転重視のドライブと鉄壁ブロックを求めるかたにはかなりオススメなラバーだと思います。

  ・ツッツキ
  ドライブ同様にツッツキの下回転もかけやすいです。
  09Cもツッツキはかけやすいですが、スプリングスポンジよりもアイビスの硬い応用スポンジの方がより弾みが抑えられているので、アイビスの方がよりツッツキの回転はかけやすいです。
  また前後の調整や回転の緩急もつけやすいのでカットマンとのツッツキ対カットでも粘り強くラリーを継続することが可能です。

  ・カット
  引っ掛かりの強い粘着性シートにより強く切れたカットボールを打つことが可能です。
  硬い応用スポンジが相手の球威を抑えて、こちらの回転をかけやすくしてくれるので強打に対するカットに抜群の安定性を出すことが可能です。
  アイビスがタキネス、タキファイアの延長線上のラバーであると確信した最も大きな部分はカットの切れ味と強打への強さで、カットマン用ラバーと言っても良いほど
  アイビスはカットに適しています。
  またカットから攻撃に転じた場合は軽く擦るだけで強い上回転を作り出せるのでカット+攻撃のプレースタイルのカットマンに最適だと思いました。
  かつてグルーを塗ったタキファイアを使用していてノングルーによりテナジーやキョウヒョウへ仕方なく移行したものの、やはりグルーをぬったタキファイアを求め続けていた方には一度試して頂きたいラバーだと思います。
  09Cには出せないタキファイアに近い打球感をアイビスは再現できていると思います。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  ・サーブ
  強い回転がかかり弾みも抑えられているのでサーブで回転をかけることはアイビスが最も得意としている技術の1つです。
  まだサーブの回転をかける感覚が身に付いていない初心者や新入生の方には回転を体得するのに最適なラバーだと思います。
  また巻き込みサーブやYGなどのテクニカルなサーブに挑戦したい方にもアイビスは適していると思います。
  軽く擦れば強い回転がかかるので、モーションを工夫したりフェイクをかける練習に集中することができます。

  ・レシーブ
  ある程度のショートサーブに対してはこちらのツッツキでより強い回転をかけ返すことが可能です。
  また深く面を被せた状態から前方向にラケットを振れば台上ドライブに似たボールをレシーブから打つことも可能です。
  またシェークバック粘着やペン裏面粘着でも強い回転がかかったチキータを安定して打つことができるのでサーブ、レシーブの強さもアイビスの魅力です。
  スピン系テンションでのレシーブで回転よりも弾みの調整が上手くいかずオーバーミスが多い方にはアイビスに張り替えて頂くだけでレシーブの安定性を強化することが出来ると思います。

  ・台上技術
  強い下回転を作り出すツッツキやチキータの他に、シェーク台上バックドライブやペン台上裏面ドライブもやりやすく感じました。
  また応用スポンジの弾く感覚を活かして威力のあるペンのプッシュを打つことが可能でした。
  台上で攻めのボールを打てるのは攻撃重視に向かっている現代卓球において心強い見方になると思います。

[おすすめな方]
  「使いやすい09C」や「スピンアートの代替品」を求める方には違和感を感じると思います。
  アイビスにはスプリングスポンジではなくその技術を応用した50°の硬いスポンジが採用されているので、打球感が大きく異なります。
  09Cなどの回転を強化したテンションラバーではなく、弾みを強化した粘着ラバーという印象がアイビスは強いです。
  むしろタキファイアやタキネスなどの粘着性ラバーにグルーを塗って使用していた方にはアイビスはオススメです。
  表面に強い粘着力を施した中国製粘着ラバーとも違うバタフライ特有の粘着性ラバーの血統にアイビスは存在していると感じました。
  かつてのタキネス、タキファイアシリーズ独特な感覚を探し求めている方や弾みよりも回転を重視するプレーの方にオススメです。

[まとめ]
  昨今の粘着テンションブーム乗っかった、廉価粘着テンションをバタフライが発売したと勝手に想像していた自分を悔いる形になった試打となりました。
  この短いスパンで09Cとは全く異なる粘着性ラバーを作る技術力はさすがバタフライだと感じました。
  まだまだ探れば良い部分が出てきそうなアイビスを他の粘着ユーザーの方にもぜひ試して頂きたいと思いました。