投稿者：かんなぎ
0.モニター環境
使用ラバー：エボリューションMX-P（ブラック/1.9mm）
普段の使用用具
R：タマス製柳3枚合板
F：月PRO 40度 1.8mm
B：金星2ゴクウス
1.ざくっとレビュー
トップシートの引っ掛かりと、スポンジでボールを掴む感覚が強まったブルーファイアM1。
2.第一印象
インテリジェントグレーを基調としたパッケージで1Q、5Qと同様のつくりです。欧州ラバーとしては違和感を抱くほどにカタカナがどーんと使われています。言ってはアレですがジャケ買いは期待できなさそうなデザインです。。
シート：パッケージ裏の説明には「粘着を帯びた」の表記が。ラバーには白い保護紙が同封されており、シート表面にぺったりと貼り付いていました。ですが手で触れても粘着力は感じられず。
表面の質感はラザントに光沢と細かいザラッと感をプラスした感じです。引っ掛かりは非常に強く、軽く撫でただけでも「表面に吸い付くような」感触があります。
トップシートはラザントに比べ肉薄でやや低めの粒。そのためシートの体感硬度はラザントよりも若干硬めです。
シートのロゴ部分にもカタカナで「スピード」「スピン」「パワー」と刻まれていたのにはツッコミをいれたくなりました。トリプル愛用者なだけに尚更・・です。
スポンジ：GRIP-S Europeと同様にRPSテクノロジーの表記があるレッドスポンジですが、非常に色が濃くレッドと言うよりかはもはやブラウン気味。
各所で気泡の粗さが取り上げられていましたが、今回使用した個体はラザントと大差ない粗さでした。厳密にはエボリューションのほうが気泡の壁が薄く、そのぶんだけ量も多く見えましたが微妙な差です。
硬度はブルーファイアM1より気持ち軟らかめといったところ。
重量：パッケージ込みでは109g、ラバー本体(178mm×167mm)が77gで100平方センチあたり25.9g。
1.9mmを使用しましたが、ラザントの2.1mmと殆ど変らない重量でした。非常に重たいです。
反発力：40mmボールを150mm上方から落とした際の跳ね返りは104mm。
フィルムを貼った状態では122mm。
※あくまで参考値(フィルム無/有)：ラザント(108mm/119mm)、ブルーファイアM1(115mm/122mm)
軽打：粒が低く変形し辛いシートのためか、カツカツした打感はラザントよりもブルーファイアM1寄りです。
スピードはブルーファイアM1に劣っているとは言い難いのですが、硬度の割にスポンジへの食い込みが良くボールを掴むので安定する印象を持ちます。
3.攻撃技術全般
ドライブ系技術：8点
当て打ち、擦り打ちのどちらかに偏ったラバーでないというのが好印象でした。ドイツラバーの得意分野である当て打ちは言わずとも、
擦り打ちも抜群の引っ掛かりで非常にやりやすく対下回転におけるループドライブでの持ち上げやすさ、しっかりと弧を描く軌道はエボリューションMX-Pの顔です。ターゲットULTIM50のような独特なレスポンスの早さもないため比較的万人向けなキャラクターです。
ラザントと比べても回転量は豊富でバウンドが良く伸びますが、反面ボールの走り具合やノータッチで打ち抜く爽快感といった面を求める方にはあまりパッとした印象は持たれにくいと思われます。
フラット系技術：7点
ミート時の感触がやや特徴的で、シートがあまり変形せずにスポンジがフラットに潰れて食い込んでいるようなイメージです。点ではなく表ソフトのように面でスポンジを押している感じで弾みのムラが少なく感じました。
飛びは悪くなく、最近のスピン系テンションの平均値といったところ。ただしラザント同様に球持ちの良さがスマッシュの打ち辛さにやや影響しているのも否めません。
カウンター：7点
ピッタリと台に張り付いて跳ね返すカウンターよりかは1ステップ、ないし半歩引いて掛け返してグイグイ伸ばすカウンター向きに感じました。
従来のドイツ製スピン系テンションよりも飛び出しが上方向なので、思い切って面を伏せ水平スイングすることで弾道を抑えられます。
球持ちの良さが使い手によってはメリットにもデメリットにもなり得ますが、相手のドライブに対しドライブが返りやすいのは魅力的です。
4.守備技術全般
ブロック：8点
ラザントのボールを包み込んで送り返す感覚と、ブルーファイアM1のシートが押されずしっかり弾き返す感覚のいいとこどりなイメージです。
回転を跳ね返す特性がありながら、サイドスピンやナックル等の変化を付けやすく高いブロック力です。
カット：6点
カットの弾道は低く直線的でラザントのそれを少し鋭くした感じです。
当てて送るカットよりも擦るカット向きで切れ味も本来なら悪くない筈なのですが、ドライブでは球を持つのにカットでは球離れが早くなってしまうTensaと同じ現象が。
抑えが特別効く訳でもなく、カット用としてわざわざ選ぶ理由もないかなといった印象でした。
ツッツキ：7点
ブルーファイアM1よりやや飛び出しが上方向ですがキレは良いです。
速い球足で積極的に切って攻めに行ける、良い意味でドイツラバーらしくない球質です。
ナックルも変にフワフワした軌道にならず読まれ辛いです。
5.台上技術・サービス・レシーブ
台上技術：8点
台上には強いラバーです。
球持ちによる自在性、引っ掛かりによる調整力はチキータ･台上BD向けでまさに今の流行だなと。
ストップも良く止まりじゃじゃ馬な感じはありません。
サービス：9点
回転量は豊富で、ロングサービスに於いてもバウンドが高くなる事もなく。
ターゲットがテンションとしてかなりの切れ味を誇っていましたが、エボリューションは中国ラバーチックな感触。
持ってから飛ぶ特性もあって切れ具合を読まれ辛いです。
レシーブ：7点
回転への影響が不安要素でしたがまあまあ妥当なとこかなと。
引っ掛かりの割にあまり影響を受けていないといった感想です。
合わせると浮きやすく、自分のボールにすると低く飛びがちなのでタッチには若干気を遣います。
6.おすすめラケット
カットで使用するのであればカトラス等の薄くしなり球を持つもの。
攻撃型であればラケットを然程選ばないと思います。
弧線を低く抑えたい場合はアウター素材や硬いラケット、弧を重視する場合はその逆といったチョイスで問題ないでしょう。
単板ではドライブでの粘りとブロック･カウンターの確実性･伸びが持ち味です。
7.どんな人におすすめか
ある程度オートマチックに回転が掛かり尚且つ自分でも掛けている感触が欲しいという方。
一発で決め切らずにループドライブ、ブロック、カウンターを駆使して詰め将棋の如くじっくりと攻め入りたい方。
硬めの高弾性ラバーにグルーを塗り使用していた方。
8.総合評価：7点
ドライブ、ブロック等の上回転×上回転の展開では好感触で
下回転の持ち上げやすさ、サービスの切れでも引っ掛かりが抜群の仕事をしてくれます。
残念なのはカットでのパフォーマンス不足。ドライブが良かっただけにガッカリ感が目立ってしまいました。また重量があるのもマイナスポイント。
シートの耐久性は高いので、相性の良いプレイヤーが長い目で見ればかなりの良ラバーでしょう。
9.備考
使用ラケット
・ディフェンスα
・メイス
・閃光Z
・韓陽ファイバースペシャル
・スカッド7
・王道01
