テナジー80





















投稿者:かんなぎ


テナジー・80 【Butterfly】
0.モニター環境

使用ラバー:テナジー・80(レッド/アツ)

普段の使用用具
R:タマス製柳3枚合板
F:月PRO 40度 1.8mm
B:金星2ゴクウス


1.ざくっとレビュー
テナジー・64を微妙に硬めに飛びは控えめに。
ハイエンドクラスのスタンダード、使い手を限定しない大衆派テナジー。


2.第一印象
ITTFラバーリストに登録されてから公開まで話題の絶えなかったテナジー第7段。
様々な憶測が飛び交っていましたが、結果的にはテナジー・05とテナジー・64の中間といった位置付けのスペックが公開されました。
大ハズレの考えにくい無難なラインナップとはいえ、テナジーの名を冠するからには高パフォーマンスに期待せざるを得ません。

シート:やや突っ張って粒の浮き気味なザラっとした表面はテナジー・64チック。
見た目だけでなく質感もテナジー・05よりテナジー・64に近く、回転を掛けてトスアップしたボールに対し「チッ」とは擦れ難く、引き攣れて回転を返します。
粒形状はテナジー・64より低くテナジー・05より少しだけ高め。粒間隔がテナジー・64に比べ非常に詰まり気味です。トップシートはテナジー・64より薄め。

スポンジ:お馴染みテナジーレッドのスプリングスポンジは他のシリーズと共通。
ですが先に発売された3種に比べるとキメが細かく、もっちりとした手触りです。
ブルーファイアM1より軟らかく、5Qとほぼ同じか気持ち硬め。

重量:パッケージ込みでは89g、ラバー本体(180mm×168mm)が67gで100平方センチあたり22.15g。
この頃重量が増加傾向なスピン系テンションとしては随分と軽量な個体でした。

反発力:40mmボールを150mm上方から落とした際の跳ね返りは105mm。
フィルムを貼った状態では119mm。
※あくまで参考値(フィルム無/有):テナジー・05・FX→103mm/117mm、テナジー・05→111mm/117mm、テナジー・64→113mm/120mm

軽打:テナジーらしい打球感ですが予想よりも少し硬め。球筋は64に近いのですが、05のようにシートよりもスポンジに食い込む感じが強いです。
跳ね返るイメージの64、弾き返すイメージの05の中間的な飛び出しで、球速は2者よりも気持ち抑えめ。コントロール性が高そうな感触です。


3.攻撃技術全般
ドライブ系技術:8点
テナジーらしくオートマチックにドライブが掛かる独特の感覚。自分で打っている感が弱く、やはり他ラバーからの移行時には多少の慣れが必要に思われます。
弾道はテナジー・64より高めですが回転量はほぼ同じくらい。よくボールを持ちスピン系テンションでは非常にコントローラブル。
テナジー・05に比べると引っ掛けたり薄く擦った際に落ちやすく、下回転も持ち上がりにくく感じました。厚く当てて反発力で上げるタイプです。

フラット系技術:6点
良い意味でも悪い意味でもフラット打法でドライブが掛かり気味で、安定性が高い代わりに威力は然程‥といったところ。
スピードもテナジー・05より出づらく、中途半端な角度打ちするくらいならドライブ掛けに行ったほうが良さそうです。

カウンター:8点
カウンターはボールをしっかりと捉えれば確実にコートに収まるくらいのイメージ。
打点にもかなり融通が利き、感覚としてはまさにラウンデルの上位互換。
5Qのように勝手に決まるラバーではありませんが、コントローラブルな特性もあって自分から緩急をつけていけるのが○。単調なボールになりづらいです。


4.守備技術全般
ブロック:7点
合わせるだけでは素直な球筋です。その代わりカウンター同様に自在性の高さを感じられるので、どれだけ自分から緩急や変化を付けるかがキーです。

カット:7点
飛び出しが上気味で失速しづらくよく伸びる軌道です。
かっちりした打球感、打球音の割に食い込みがよく送るカットが好印象。
ただし球を持つ感覚は強いのですが、テナジー特有のオートマチックに回転が掛かる特性のため切れ具合の微妙な判別が曖昧。
回転量の変化よりもカットの速さ、弾道、深さの変化を主体としたプレー向きです。切れ味はテナジー・64+α。

ツッツキ:6点
やや浮き気味ですが制御はしやすいといったくらいでクセはありません。
いかにもスピン系テンションの平均といったところです。


5.台上技術・サービス・レシーブ
台上技術:7点
台上ドライブ、チキータの感覚が引っ掛かりのかなり向上したA+[黒Ver.]といったイメージで、持って掛けて飛ばすのバランスが良いです。
弾くフリックでは一転カッチリ硬く鋭い飛び。それでいてストップは飛び出さずよく止まります。

サービス:7点
ショートサービスに於いてはツッツキ、カットと抱いた感想は同じです。
ロングサービスはテナジー・05およびテナジー・64よりも微かに山なりなバウンドですが伸びが良好。ナックルロングとの併用も効果的です。

レシーブ:8点
引っ掛からずに引き攣れて返すトップシートがレシーブで活きます。
自分から切れる割には回転の影響を受けづらく、そのうえ回転を残したり利用したりを後押し。
アップ系は掛け返し、ダウン系は合わせつつ回転を残すといった対応でトップスピンの展開に持ち込みやすいラバーです。


6.おすすめラケット
極度に軟らかい木材ラケットを除き、あらゆるラケットに問題なく合わせられると思います。
個人的な好みでは板厚の薄いアウター素材ラケット。


7.どんな人におすすめか
多彩なプレーをオールラウンドにこなしたい方。
チキータ、台上ドライブを多用し威力やピッチの早さよりも緩急を重視しラリー戦で勝負する方。
テナジー・64に安定性をプラスしたいが軟らかいFXスポンジはダメという方。


8.総合評価:8点
扱い易さと性能の高さ。
相反する2つのバランスを最も高いレベルで保っていると言えます。
中高生の間で「とりあえずこれ」といった存在であるラウンデル。その上位互換的スペック版。まさにそんな位置づけです。
個性的な顔ぶれの「もっと」を叶えるシリーズに遅れて加わった「やっと」なラバーです。


9.備考
使用ラケット
・ディフェンスα
・メイス
・王道01