ラザントターボ


















投稿者:かんなぎ


0.モニター環境

使用ラバー:ラザントターボ(レッド/1.9mm)

普段の使用用具
R:タマス製柳3枚合板
F:月PRO【已打底】40° 1.8mm
B:金星2ゴクウス


1.ざくっとレビュー
弾みを強くしてシートが軟らかくなった1Q


2.第一印象
3ヶ月ほど前からチラホラと話には聞いていたRASANTのニューバージョン。
単なる硬度バリエーションと思いきや新開発のシート採用で生まれ変わり、ポップなパッケージに似合わないスペックになったとのことで期待大です。
パッケージ内の保護紙はズース選手のプロフィールからRASANT TURBO/POWER SPONGEのPVの内容に切り替わっていました。

シート:RASANTよりも薄い朱色気味のシートです。
シート構造に大きな変更点は見られず、やや粒が詰まり気味になったかなといったところ。
硬度は下がっていて軟らかくなっていますが弾力は強く、指で押すと粒が押し返して来る感覚があります。
引っ掛かりがRASANTやBLUE FIRE M1から向上しており、軟らかシートもあって引き攣れは強そうです。

スポンジ:RASANTグリーンは引き継ぎながらも気泡が細かくなっています。BLUE FIRE M1と同等かやや細かめ。
硬度はRASANTよりも上との事ですが気泡の皮膜が薄い為か然程硬くは感じません。
体感硬度はヘキサーHDとヘキサーの間。

重量:パッケージ込みでは97g、ラバー本体(169mm×169mm)が70gで100平方センチあたり24.51g。
スピン系テンションとしてはやや重め。
同じ厚さのRASANTに比べ攻撃用シェーク片面あたり約1〜2g軽いです。が、個体差の範囲内に思われます。

反発力:40mmボールを150mm上方から落とした際の跳ね返りは79mm。フィルムを貼った状態では111mm。
※あくまで参考値(フィルム無/有):RASANT→106mm/114mm、TARGET ULTIM50→109mm/121mm、EVOLUTION MX-P→104mm/122mm

軽打:RASANTのピキピキとした独特の打球感はなくなっています。シグマ2プロに似ています。
球持ちが良くなっているのに少し軌道は直線的になって深く入る感じ。


3.攻撃技術全般
ドライブ系技術:8点
球持ちが良くてボールが失速しづらいですね。レビューに用いた中では1,2を争う失速度の少なさです。
ラケット角度に因らず弾道は思ったよりも直線的‥と、言うか正確には弧のRが非常に大きいです。
その証拠に、前陣では似たような球筋であるTARGET ULTIM50と比べると下がった際の安定感に差が出ます。
擦り打ちは思いの外ボールが上がらずややマイナス。中国ラバー的なループはEVOLUTION MX-Pに軍配が上がります。
面を気持ち上に向けてかちこむ格好のドライブに強いですね。

フラット系技術:7点
ミート打ち、スマッシュは可もなく不可もなく。
シートに球威を喰われる感がRASANTに比べ強くなった気がします。

カウンター:8点
RASANTの得意分野ですが引き継がれています。
若干飛び出しが上よりも前へ強く出る格好で、低く伸びのあるボールとなりやすいです。
シートは軟らかくなっていますが詰まり気味のスポンジが押されづらさをサポートしています。


4.守備技術全般
ブロック:7点
ブロックは全体的に浮きがち。プッシュしたり快帯気味に返球することでごまかしが効きますが、
当てるだけのブロックは非常に打ち頃の球となってしまいます。
打点が遅れると厳しい展開に流れてしまう事が多かったですね。

カット:7点
シートが軟らかくなって切れの上がったヘキサーHDのような感触です。
ボールの飛び出しは非常に低いですね。擦るカットよりも送るカット向きです。
やや相手の球威に影響されやすい感じで、引き付けずに小手先だけの横着カットをしてしまうとネットとオーバーが目立ちました。

ツッツキ:7点
ちょっとタッチに気を遣います。わずかに伸びやすく浮きやすい感じです。
5Qに滑らず引っ掛かるシートを搭載したらこんな感じかなというイメージ。


5.台上技術・サービス・レシーブ
台上技術:8点
ツッツキの感触がパッとしなかった為あまり期待はしていませんでしたがなかなかに良いです。
ストップの止まり具合はRASANTと遜色ないレベルで、球持ちと弾性アップによりフリック、チキータ、台上ドライブに関しても向上しています。
強いて言えばミート系技術のもっさり感が難点ではありますが、ツッツキを吹かさないタッチがあれば台上は穴なくカバーできますね。

サービス:9点
擦っても食い込ませても抜群の切れです。RASANTと同様に長短の出し分けもバッチリ。
ロングサービスの伸びがRASANTからプラスされた点で、ドライブ気味の弾道はTARGET ULTIM50のスライダーのようなそれとは対をなします。
球持ちの良さも相まってボールの出所が判りづらく、アップダウンの変化が読まれづらいのもgood。

レシーブ:8点
引っ掛かりの割に回転の影響を受けづらいです。
順回転で流すよりもどちらかと言うと引き攣れを活かして逆回転で跳ね返す打法向き。
一旦ボールを掴む感触がフェイントや逆モーションで良い仕事をしてくれます。


6.おすすめラケット
ラバー自体は硬めの部類でしょうが、その割には球持ちが良くソフトな打球感なのでラケットは選びません。
重量が気にならない範囲内で少し固めのラケットが食い込みを活かせて良いかなと思います。


7.どんな人におすすめか
ハイエンドモデルは扱いづらくて敬遠‥でも軟らかいラバーはニガテという方。
ドイツラバーは球の伸びと台上が弱くて‥と不満を抱いている方。
カットの低さと切れ味、後陣からのドライブとカーブロングの伸びを両立したい方。


8.総合評価:8点
シートの感触は今までになかった新しいもので、例えに引き出せるラバーが見当たりませんでした。
回転性能の高さは言うまでもなく、硬いラバーとしては有り得ない程の寛容度の高さにも驚きです。
良いボールが勝手に安定して入る、あたかも"塗った"かのような感じにかなり近付いたラバーです。


9.備考
使用ラケット
・ディフェンスα
・メイス
・ディフェンシブウッドNCT
・ルーティス
・閃光-Z
・王道01

シートの引っ掛かりは3週間経過してもとりあえず保っていて、目に見えて悪化した感じはありませんが
2週間経過するかしないかの辺りから縮み始めました。5週間経過時点でほぼ収束し縦横3-5mmほど縮みました。