612



















投稿者:ぐらたす


612【GIANT DRAGON】

■使用環境・自己紹介
卓球歴:23年
戦型:右シェークオールラウンド型
戦績(特になし)
両ハンドドライブ・粒高カット・ペン粒を使いこなす40代後半
タイプ:裏裏両ハンドドライブ型
F面主/B副:RASANT Turbo
B面主/F副:MAZE-PRO H52

■はじめに
私の指導している中学校のライバル校に、「612」F面に使用した変化&攻撃的プレーを得意とする選手がいる。サービスを切っても、切らなくても、すべて変化プッシュ気味に先手を取られ、ナックルで左右に振られ、コースをつかれて快速連打される。
ブロックはゆれる変化で、攻撃しても、落とすは、ふかすは。
粒高のような、「変化まつり」で、試合にならず・・・。
この状況を打破すべく「612対策」をしたいというのが、今回の入手動機です。

■今回のレビューテーマ
「粒高との違い」
「攻撃粒に有りがちな 「攻撃はやり易いけど、守備的変化が少ない」 の常識は・・・。」
 この2点でいきます。

■ラバー重量
パッケージ込み:94g 「GIANT DRAGON」のパンフレットが入っているので重い。(笑)
カット前:45g 、カット後:38g
(使用ラケットは、テイモボルW7 :ブレードサイズ:157mm×150mm)
ちょっと重めの表ソフトという感じ。粒は柔らかく、太く、長い。(粒だけで1.6mm位)
カタログを見ると、Short-Pimplesと表記がありますので、間違いなく分類は表ソフト。
品質は・・・。よくある中国製表ソフトという感じで。(まあ、悪くはありませんが)

■守備的技術
◎ツッツキ・レシーブ
ふつうの表ソフトと打ち方はまったく違う。粒高的ツッツキに近い感じ。
打ち方に慣れると安定する。ジャジャウマではない。
相手にとっては、簡単ではないようで粒高的な対応しにくい球質のようである。
当然、ガッチリ切れるわけではないが、粒高よりは回転量の差は付けられる代がある。
スイングスピードが一定の速度を超えて食い込むと、粒が寝る。寝るまでは粒表面である程度切ることができ、寝てしまうと「粒高的な快速ナックル」である。ただ、この時点でもはやツッツキではなく、快速プッシュである。グラスのスポンジ有りを使ったことのある方なら分かりやすいか。上から下目にスイングする伸ばすプッシュに似ている。
粒を寝せて飛ばせてしまうと、回転の影響はまったく受けずに左右に変化プッシュで振れる。コースが読まれにくく逆を突くプレーで、ほぼ先手が取れる感じ。(レシーブから積極的にいける感じ。)
ただ、瞬間的スイングの強弱が付けられない方(初心者なんか)は、使いこなせないとも思います。
※この粒の寝る・寝ない・・・差の変化が、これからレビューするこのラバー最大の特徴になると思います。粒高的or変化表的ツッツキの差が、攻撃の起点となる感じ。 

◎ブロック
粒高と違い、反転能力は期待できるラバーではない。だが、変化ナックルは大きな武器である。初速がはやく急激に失速する球質なので、対戦相手はやりにくい。
コツさえつかめれば、ネット際に角度をつけたブロックもできる。
強打や強ドライブに対しては、フラットに当ててしまうと球質も普通っぽく、オーバーミスしやすい。強打系に対しては、勢いを吸収するようにラケット面を斜めに当てて引く感じで、コースをつきたい。当てるだけでも瞬間的に角度さえ変えられれば、意表を突くブロックになります。
ただ、ブロックで得点を上げるイメージではなく、次の攻撃につなげたい感じである。粒が寝ないと「ドナックル」で、粒が寝ると揺れて「伸びたり・沈んだり」方向性が変わる感じ。不規則だ。
レシーブもやり易く、ストップは小さく止まるし、前述の変化プッシュはかなり使える。
粒高プロックと612ブロックの最大の違いは、反転能力はない(少ない)が、ドナックル勝負ある点である。よくある低弾性粒高とは明らかに球質が違うし、揺れる変化はグラスっぽい。守備面でも悪くない。

■攻撃的技術
◎強打(快速連打・スマッシュ)
上がったボールは、粒を寝かせないようにフラット強打すると重く伸びる球質になります。ドナックルで伸びて重いので、決定球になりやすい。
低いボールに対しては、打球点を絶対に落とさない角度打ちが必須になります。
粒を寝せると安定しませんので、寝ない角度で角度打ちです。
普通の表ソフトや裏ソフト使用者は、絶対に出ない角度が必要です。
ボールの真後ろをフラットで、寝ないように弾く感じ。
(フラットですが、若干上から下にスイング)
卓球経験が長い人ほど、馴染めない打ち方でしょうか。ペン粒経験者でないと厳しい感じか。
ただ、連続攻撃が可能になると、決定力は格段に上がります。快速連打のコツをつかめれば異質ラバーの特徴をフルに活かせると思います。
単純に攻撃力(威力)を比較した場合は、粒高よりかなり高いと思います。
(ただし慣れは必要です。すぐに結果がでるラバーではないです。)

○ドライブ
粒が思いのほか引っかかるので、ドライブ風に強く擦っても上に上がります。
ですが、強烈な回転がかかる訳ではありません。
打球点が低くなっても、対処できるイメージです。
ドライブ風なのに、ネットミスで得点する感じです。粒高には出来ない打法&球質なので、対戦相手もびっくりするでしょう。
まあ、直接得点になることは少ないと思いますが。

■その他
▼サービス
切れません。ナックルしか出せません。裏ソフトに反転するしか手はありません。

▼カット
前陣ブロックが良かったので、少し期待したのですが・・・。
打球点を下げると、切れない。変化しない。
カットには向きません。 

■612を使う側としての戦術
・レシーブから変化プッシュでチャンスメイクして、連続攻撃。
・守備に回っても、前後・左右を意識して、守備から攻撃に転じる意識
・ストップとコース(前後)で相手を崩す意識
【戦術は単純です。先手を取って、快速連打】
【守る時は、ガッチリ守り、最後は攻めきる意識】

■612を攻略する戦術
・スピードナックルロングサーブから、連続攻撃を意識
・ナックルは落とさない・ふかさない
・ドライブ攻撃よりはスピード勝負
・回転量の変化をつける。(ナックルと強回転)
・守ったら負ける。攻めないと負ける。精神コントロールが重要
【相手に攻めさせないことに徹する】
【安易なミスを少ない戦い方】

■まとめ
これぞ「変化表のニュージェネ」というラバーである。
普通「半粒」と呼ばれるラバーは攻撃と変化のバランスが中途半端でがっかりだったり、「攻撃粒」は守備面の変化が少なく(脆く)と攻撃時の決定力に不満だったり・・・。
さて、612ですが、暫く使ってみたいと思います。
これまでにない性能ですし、守備面と攻撃力のバランスが良く、たぶん蝶社の攻撃粒銀以上です。ただ、間違っても、扱い易いとは言えないラバーで、慣れるまで時間を要します。すぐに結果が出るような、速効性のあるラバーではありません。(誤解しないように)
ラケットは弾まないものが合うとは思いますが、W7も悪くはなく、変化プッシュ&快速スマッシュの威力がたまりません。
初心者は、手を出してはいけない気もします。
ペン粒経験者で、OXでプッシュを得意とする選手であれば、慣れるとかなりいけると思います。
今現在、使用している選手が少ないと思いますので、興味のある方は是非。
この金額で、この変化&威力ならお買い得かと思います。

(参考:私は普段やらないのですが)
先日、612をラージボール卓球で使用してみたところ感触がよく、実力者が絶賛していました。
「回転がかかって、スピードがあり、伸びる」とのこと。

その時の会話
「これ(612)、いくら?」
「2千円以下」
「えっ!」「これ、ありあり」
「俺のラバー(N社)五千円だぞ〜」

以上