
投稿者:烏賊
TAU ■XIOM
使用ラケット:
キョウヒョウ寧
ファイヤーフォールAC
ビスカリア
トロナム カーボトックスOFF
【ざくっとレビュー】
前情報で聞いてたように塗ったキョウヒョウのようなラバー。
回転量は勿論の事、触ると硬い割には食い込みのいいスポンジでスピードも出やすく、以前XIOMから出たVEGA CHINAとは一線を画すラバー。
【第一印象】
カット前重量71g カット後54g(キョウヒョウ寧サイズ)なので少々重いのですが、粘着ラバーとして考えれば許容範囲でしょうか。
スポンジは黒い物の、同社のVEGA系とは違ってしっとりとした気泡が非常に細かいタイプ。
粘着は強めと言う程では無いにしろしっかりあり、引っかかりは強いです。
【攻撃技術全般:8点】
有機溶剤系接着剤全盛期の学生時代に使った感触を一発で思い出す程にらしいラバーでした。
フラットはスピードが出るけどナックルで弾道制御が難しく、ドライブを打てば球持ちが良く飛びすぎると言う、当時塗りすぎて扱いにくくて軽くトラウマになったキョウヒョウ3を思い出します。
実際使い込んでみると、粘着ラバーの打ち方が非常にマッチして扱いにくいと言う程でも無く、ドライブは弧線がしっかり出て回転量の強い物に。
*ドライブ:9点
ある程度被せて振りぬくだけでスピードドライブになる位に球持ちの良さと回転性能の高さがあります。
スピードドライブとループドライブのメリハリも非常に良く、ループの短く低めに打ちやすいのも高評価。
硬い割には食い込むスポンジなので、ちょっとフラットに食い込ませすぎると飛びやすさが先行してしまう物の、使い方次第で武器になるので有りかなと。
ドライブは全体的に評価が高いのですが、合わせるラケットによって勢いに差が出やすく感じてしまいました。
キョウヒョウ寧では普通に性能が良く使いやすく感じましたが、板厚のあるインナーのファイヤーフォールACではスピードと回転量のバランス調整が少々難しく、ビスカリアはややスピード主体。
トロナムの場合は回転量が非常に多い分スピードは控えめでした。
*スマッシュ・角度打ち:7点
フラット系は慣れが必要です。
ドライブの項目でも少し書いたように、フラットに食い込ませると飛びが強く出てしまいます。
この時面が立っているとナックル系の球になりやすく、弾速が落ちるまで直線的に飛ぶので打点によってはスマッシュを入れるのが困難になります。
が、少し被せて前進回転を与えてやれば制御が利くようになるので、そういう意味で慣れが必要です。
角度打ちは相手の回転を利用して打てるので、球持ちを利用してちょっと持ち上げて弾いてやったりすれば多少低くても大丈夫でした。
ただ、やはり粘着系の感触が強く、フラットは決して得意とは言えません。
*カウンター:8点
フラット系が得意とは言えなくてもカウンターを引っ叩いてやる場合は非常に安定します。
やはりこれも相手のドライブの回転があるからのようですが、飛びが強い割には球持ちがいいので、これ難しいかなぁと思える打点でも意外と打ててしまう面も。
カウンタードライブも食い込ませると飛びが強く出てしまうので、しっかり擦る事を意識した方がいいでしょう。
ただし、柔らかいラケット、球持ちのいいラケットでは被せて並行に振るだけでドライブが簡単に打ててしまうので、弾道さえ見えてれば比較的簡単にカウンタードライブが打ててしまいます。
ただ、相手がスマッシュマンの場合は低い打点で打つ場合擦る割合を強めるか面を開いて叩く必要があり、深く来た球に咄嗟に手を出してしまうと思いのほか持ち上がらずネットに当たる事も。
ハード系のラケットでよくある事だったので、球持ちのいいソフト系のラケットにすることで改善される点でしょう。
【守備技術全般:8点】
粘着っぽさとハイテンションっぽさがいい感じに合わさっているので、特に問題は感じませんでした。
*ブロック:8点
相手の球威で勝手に食い込んで弾きだしてくれるので、比較的オートマティックにできます。
しかしループのようなスピードは無いけど回転量のある球にそれをやると真上に飛ぶくらい影響されるので、合わせて切り落とすか弾きに行かないと処理が難しかったです。
ナックル系のブロックも粘着ラバーと言う事もあって非常にやりやすかったです。
*カット(本職では無いので点数は無し)
硬めのラケットだと食い込みやすくてやたらとホームランしてしまいましたが、トロナムくらいのラケットなら比較的抑えも利いてやりやすかったです。
攻撃選手が繋ぎでやる場合は、とにかくしっかり下回転を掛けるようにしないと浮きやすく、短めにしっかり切って返すようにした方が良かったです。
*ツッツキ:8点
合わせに行くだけでもある程度切りやすいのですが、食い込ませすぎるとナックル気味になって浮いてしまうので、薄く合わせに行くか擦ってしまった方が無難です。
切れ味は良く、切った時の弾道も低く鋭いのでツッツキを攻撃手段として使ってもいいかなと思える程度。
【台上技術・サーブ・レシーブ全般:8点】
粘着の得意分野ではあるのですが、ボールタッチがある程度繊細で無いと途端にじゃじゃ馬な面が見えてきます。
やはり一定以上食い込ませると飛びが強くなるので、多少気を付けないとミスの元に。
*台上技術:8点
ストップの止まり具合や回転の強さは合格点でしょう。
やや鋭角に差し込んでボールタッチに気を付ければ大体2バウンド以内に収まりますし、軽いタッチで球持ちを生かせばサイドスピン系のストップみたいな事をやって相手を弄り倒せます。
かと思えば払ったり弾いたりと、台上でも攻撃性能が高いです。
一定以上食い込ませて弾けば相手の回転を無視して真っ直ぐ打てる面があり、多少浮いたサーブやストップを狙い澄まして叩きに行ったり、回転に合わせつつ角度打ち気味に打ったりサイドスピンをかけて流したりと、粘着ラバーらしい弄り甲斐もありました。
*サーブ:9点
時期的に湿気ていて少々食い込ませないと安定感に欠けましたが、湿気の少ない日は回転量が多く短いサーブを出しやすく感じました。
それ以外の日もハイトス気味に変化系ロングを主軸に巻き込みサーブ等々を主体に使っていましたが、回転量は非常に良く長短の加減もつけ易いです。
*レシーブ:8点
相手のサーブに軽く合わせに行くわけでなければ攻撃的にも守備的にも平均以上の性能ではないでしょうか。
やはり粘着と言う事もあり、軽く合わせに行くと回転に影響されやすいのですが、食い込ませれば非常に弾きがいいので、相手の回転量を気にせずぶち抜きに行ける面もあります。
軽く合わせる場合も、フラットに合わせるのではなくストップ気味である程度切りに行く分には抑えが効きやすいので、相手が下回転系だけど横がどの程度入ってるかわからない、と言う時もストップ気味に軽く合わせておいて短く止める、なんて事がやりやすかったりします。
【おすすめラケット】
粘着にいいとされるラケット全般。
多少板厚があっても木材の柔らかさがあれば大丈夫ですが、インナーの場合はしなりが無いと回転量が急激に落ちます。
個人的には回転量は落ちてしまう物の、ドライブの威力、ループの持ち上がり具合、フラット系の扱いやすさ、その他諸々を考えるとビスカリアが丁度いいかなと思いました。
しかし、扱いやすさと威力を考えるのであれば断然トロナムカーボトックスOFFをお勧めします。
キョウヒョウ寧で高い性能を発揮したので、エバンホルツと言った似たような黒檀ラケットでも相性はいいでしょう。
ただ、スポンジの力でスピードが出やすい反面回転性能が少し落ちるてる感触があるので、トロナムのように少し柔らかめの球持ちのいいラケットの方がバランスが取れるでしょう。
【どんな人におすすめか】
昔からの粘着ラバーユーザー。
粘着ラバーでも高性能な物を使いたい人。
擦る、弾くのメリハリがしっかりしていてフォアで攻めたてる粘着ユーザーにはピッタリじゃないでしょうか。
【総評:8点】
フラット系の癖さえ掴めば、粘着ラバーユーザーなら高い評価を付けるラバーではないでしょうか。
意外と食い込んでスピード性能を発揮させやすいスポンジと、引っかかりの強いトップシートで擦ってしっかり飛ばせる昔ながらの粘着ラバーの感触です。
同じように性能の高い粘着系と言えばBRAKE-PRO省チーム版が思い浮かびましたが、それとはまた毛色が違います。
いまやスピードグルーが使用禁止なので若い世代にはわからないでしょうが、言うなればトップシートがキョウヒョウ3でスポンジが硬めのRASANTターボっぽいラバーです。
国狂と比較すると国狂の方がやはり上なのかなぁと感じてしまうのですが、そこは単純に回転性能の差でしょう。
TAUも擦った時の回転量は非常に多い物の、どの程度食い込ませるかによって反比例してスピードと回転が変わってきてしまうので、強い回転で短く低く抑える事は出来ても、それにスピードを増そうとすると回転性能が犠牲になってしまいます。
その点では擦る、飛ばす、と両方自分でやる分自由の利く国狂の方が上に出てしまったように感じます。
価格を考えると意見の分かれる所かなぁとは思います。
価格帯で言えばスピン系ハイテンションの高額ラインになって来ますし、粘着と言う事で寿命の短さもありはするのですが、比較対象に国狂を持ってこれるくらいに性能が高いです。
とりあえず一回使ってみて、BRAKE系のように中毒になる人が現れるラバーだと思います。
【備考】
特に無し。