
投稿者:烏賊
CALIBRA TOUR M ■STIGA
使用ラケット:
ビスカリア
ファイヤーフォールAC
レッドローズ
王道01
トロナムカーボトックスOFF
【ざくっとレビュー】
トップシートのスベスベ具合に騙されるなかれ、テンションラバーとしても強めの回転がかかるラバー。
食い込ませてこそ性能が発揮されるラバー。
【第一印象】
フルパッケージ100g、カット後重量45g。
海外メーカーの日本産ラバーと言う、日本メーカーが海外で製造している事が多いのに逆を行くSTIGAのラバー。
トップシートの引っかかりは指でなぞる程度ではほぼ無く、ちょっと押し込むと急にグリップ力を感じる不思議な作り。
キャリブラツアーはMと同時にHも購入、Hも昨今多い重めのテンションよりかは軽く、厚さMAXのHとMを張ったラケットは180g〜185g程度に収まる程度に軽量にまとまりました。
【攻撃技術全般:8点】
ラケットとの相性でこうも使い勝手が変わるラバーはテンションでは珍しいです。
基本的に食い込ませて使う事が前提で、軽いタッチで極々薄く擦ろうとすると滑って落ちるのがはっきりわかる位に引っかかりません。
とは言えMくらいの硬度なら、軽いタッチでも比較的勝手にトップシートを変形させて接地面積が増えるので、Hほど落ちる事はありませんでした。
*ドライブ:9点
弾道が他のテンションでは中々無い、うねりながらぶっ飛ぶタイプです。
前述の通りトップシートがすべすべのマット加工を施されており、こんなんでまともにドライブがかかるのか疑問でしたし、最初はフラット系主体じゃないと使えないかなぁと思っていましたが、ドライブの回転量は高価格帯テンションに引けを取りません
ただ、合わせるラケットで食い込み具合が変わりやすく、ある程度食い込みやすいラケットになって来るとグリップ力よりも弾き出す力が勝り、回転が殆どかからず制御不能でぶっ飛びます。
スピードドライブは非常に伸びのいい弾道で、単純な反発力はテナジー05やEVOLUTION MX-Pに引けを取らない程なので、非常にスピード感に富んだ鋭い物になります。
ループドライブは弾道が高くなり辛く低めの弧線で深く入り、回転量も粘着には劣るけど高価格帯のテンションには勝るとも劣らないと言う高性能さ。
ある程度性能が良く無いとパワードライブを打とうとしてもコシ負けしたり威力が乗らなくて打てないのですが、このラバーですと球持ちのいいラケットに限ってしっかりと威力を出すことが出来、その弾道はスピードドライブとループの中間だけど高速と言った、しっかり回転が乗ってるのが見て取れるものでした。
特筆すべきは対下回転のループドライブの容易さで、低く鋭く来るツッツキは腰を入れないと上げにくいのが普通なのに、むしろ鋭く来てくれるおかげで勝手に食い込んでくれるので、真上に振り上げるだけで持ち上がってしまいます。
バックドライブはある程度しっかり振れないと弾き出す力の方が強く、回転量で押すと言うよりもスピードで押す物になりやすいです。
打点は他のラバーより少し早めの方が食い込みがアシストされ、より安定して打ちやすく感じました。
逆に少し下がってしまって打点が下がった場合、ある程度強めにインパクトして擦りに行かないと落ちます。
*スマッシュ・角度打ち:8点
テンション系のラバーは球持ちの関係で、食い込ませても真っ直ぐでなく少し上に飛び出す事が多いのですが、このラバーは多少上がりますがほぼ直線的に飛び出します。
力加減によって上に出やすかったり直線的になったりとしやすく、スマッシュではほぼ直線で非常に素直に飛び、角度打ちは相手の回転の強さに多少合わせる必要はあれど、ある程度食い込ませるなら癖なく打てます。
フラット系と言う括りで考えるとどんなラケットに張っても性能が良く、むしろフラット系主体のプレイでも成立する程です。
*カウンター:8点
食い込んだ後の飛出し感が他のテンションと少し違うので、面の感覚を修正する必要がありました。
ブロックの延長線上で振る、と言うカウンター覚え始めくらいだと入らなくなるかもしれません。
どちらかと言えば相手の強打の弾道の上からかぶせるように振る位で丁度良く、その振り方故にカウンターバックドライブが思いのほかハマりました。
食い込めば飛出しが強いラバーなので、フォアも手首で回転を掛けに行くくらいで比較的簡単にカウンタードライブになりますが、フォアは出来るなら前陣でカウンターをするよりも、中陣でドライブの引き合いを展開した方が調子のいいラバーです。
それでも評価で8点が付くのは、感覚に慣れれば相手の回転量をあまり気にせず引っ叩いていけるからです。
【守備技術全般:8点】
フラット系が良好と言う事もあってブロックの安定感はいいのですが、カットやツッツキは少し癖を感じました。
*ブロック:9点
相手の強打が一定以上の威力になってしっかり食い込むようになると、安定感が急激に上がります。
弱いタッチのドライブを焦って合わせるだけ、ちょっと伸ばす、とやると妙に浮いてオーバーする事すらあります。
こういう部分でも食い込ませてナンボな性能を感じるのですが、相手の球威が一定以上なら、大体同じ感覚でブロックが安定します。
逆に弾道を見て微調整をするよりも、伸ばしブロックで常に同じように送ってやった方が調子がいいくらいでした。
*カット(本職では無いので点数は無し)
軽いタッチだと非常に浮きやすく感じました。
攻撃用ラケットで攻撃選手が繋ぎで振る場合も、思い切ってやるとホームランしかねないので小さく送る程度にした方が無難です。
*ツッツキ:8点
鋭角に食い込ませてやれば勝手に切れます。
ただ、角度を少し間違えると急に浮くので、バウンド直後に薄く合わせに行く程度が無難です。
手首で切ろうとすれば切れますが、相手の下回転がイレギュラーバウンドしてくると面が合わなくなるのでオーバーしてしまう事も。
【台上技術・サーブ・レシーブ全般:8点】
スベスベ加工なのに、スベスベ加工だから、と言った作りによる面が活きているようでした。
回転が掛けやすい、回転の影響を抑え込める、と面白い性能を発揮します。
*台上技術:8点
ストップは技術が無いと下回転を強める事が難しく、タイミングと差し込む角度が引っかかりの強いラバーよりも厳しかったです。
ですが下回転の回転量を気にしないで短く止める事に関しては難しく無く、むしろやり易い部類でした。
台上バックドライブは相手の球威があれば勝手に食い込むので安定するのですが、軽い球の場合はある程度弾き気味と言うか食い込ませる意識が必要になってきます。
フリック系も軽く合わせると中途半端に食い込んで回転の影響を受けるので、攻撃系技術に関しては思い切った方がいいようでした。
*サーブ:8点
ちょっとでもトップシートに食い込めば引っかかりが出る物の、極々短く出すのは他のラバーよりも難しいです。
しかし、実戦でやる程度のサーブなら特に問題は無く、回転量も十分ありますしショートサービスからロングサービスまで特に何の問題もありません。
サーブの出し方によっては滑る可能性があるので、ハイトスと言う程では無いにしろ、ある程度上げる事ををお勧めします。
*レシーブ:8点
台上処理系は台上技術に書いた通り、思い切った方が結果的にいい方向に行く事が多かったです。
ただ、チキータは球持ちが上がってしまうので、先端で拾う場合は低く抑えないとオーバーしやすいです。
ですがむしろそう言う打ち方の方が短く大きく曲がって行くので、使い勝手はいいように思えました。
これを弾き気味に横回転を掛けるようにやっても入らないわけでは無いのですが、球質が素直で曲がりもそれほど無く。
普通にやる場合も擦る割合と食い込む割合の感覚に慣れないとオーバーしたり落としたりと言う事があり、少し慣れが必要に感じました。
とは言え慣れるとこちらも思い切ってやるのが良く、他の高性能タイプのテンションでやるのと遜色ない物になります。
【おすすめラケット】
フォアに使う場合は球持ちのいい5枚〜薄めの7枚合板、薄く柔らかいインナーラケット。
バックに使う場合は硬めの木材合板ラケット、特殊素材系のラケット。
食い込ませてナンボだと思い、特殊素材系のラケットや板厚タイプのラケットで当初試したのですが、食い込みが強すぎて制御が難しいです。
上板にぶち当たるとグリップ力を置いてきぼりにしてぶっ飛ぶので、フォアに使う場合は素材入りの板厚ラケットは避けた方が無難です。
ビスカリアくらいなら力加減次第ではある物の、擦り気味調整をすると調整しづらいラバーですので、球持ちのいい5枚や7枚系の方が無難です。
特殊素材ラケットのバックに張る場合、普通に擦るのではなくブチ当てつつ擦ると言う意識でやらないとドライブが落ちる事がありますが、ある程度振れる人なら問題無い程度だと思います。
試した中で最も素直且つ性能を発揮したのはトロナム カーボトックスOFFで、普通のテンションと左程変わらない使い心地で高性能テンションに引けを取らない攻撃性能、ブロック性能でした。
【どんな人におすすめか】
上記に当たるラケットを使用している中級者〜の攻撃選手。
前陣〜中陣の前あたりでラリーをするタイプ。
擦って打つよりも食い込ませてゴリ押しするタイプ。
ラケットとの相性が合って、しっかり振り切れるようなら高い威力を発揮します。
【総評:8点】
ラケットとの相性で攻撃面のじゃじゃ馬さが出る可能性があるので、まずそこだけは注意してください。
STIGAがヨーロッパのメーカーと言う事もあり、使用ユーザー数的に特殊素材系のラケットよりかは木材合板系のラケット向けに作られたラバーなのかなと言う印象を受けました。
WRMでの値段で言えばTARGETシリーズと変わらないので、当初はこれは扱いに困る微妙なラバーだなぁと思ったのですが、木材合板に張ってから急激に感触が良くなりました。
何より弾みの面で特殊素材系に劣りがちな木材合板に張って、ここまでスピードと回転量がバランス良く発揮されるラバーと言うのも珍しいと思いました。
ただ、単純に球持ちのいい木材合板よりかは、トロナム カーボトックスOFFのような薄いインナーラケットの方が威力面では優秀です。
これがアウターのフォアになると急に扱いが難しくなるので、このラバーに合うラケットと言うのは少し難しいです。
恐らくは、STIGAのハードウッド系に張って中陣〜後陣で豪快なラリーを展開できるように設計されてるラバーなんじゃないかと思います。
と言うのも飛距離を無視して思い切り打つと、オーバーはするもののスピードと回転量のバランスは崩れにくく、弾道として安定と威力を兼ね備えた物でした。
正直なところ、ラケットとの相性でここまで扱いが変わると言う物が中々無くて評価に困ったのですが、ラケットとの相性と扱い方さえクリアーすれば価格以上の性能を発揮するラバーです。
フラット系主体のタイプなら相性を気にせず使えるかなとは思いますが、相性が合った時のドライブの威力が中々の物なので、どうせなら球持ちのいい木材合板を使われている方、トロナムカーボトックスOFFのような薄いインナーラケットを持っている人のフォアに勧めたいラバーです。
しかし、逆を言えば相性が悪いと途端にダメラバーのレッテルを張られかねないラバーでした。
自分としては例外的な使い方なのですが、板厚のあるラケット(特殊素材入りが望ましい)にMかHを張って、ひたすらフラット系でごり押しする、と言う戦法も無くは無いのかもしれません。
ループドライブの使い勝手は左程変わらないので、持ち上げてフラットに叩いて叩いて叩くと言う初心者層あたりにはありがちなタイプにも合ってしまうのかもしれません。
この場合、スピードドライブは擦り打ち調整で滑って落ちる、もしくは食い込みすぎてぶっ飛ぶと言う事が増えるので、ドライブを多用するのであれば木材合板系、もしくは薄めのインナーラケットの方がいいと思います。
【備考】
今回Hと一緒に購入したのですが、Hは硬い分食い込ませて打つと反発力が一段と強く、Mと同じ感覚で打つとオーバーしやすいです。
Mよりも弧線は出にくくMよりも鋭く飛び、こちらは中級者以上限定の技術ある攻撃選手向けと言う印象でした。
バックに使う分には初心者でも扱えそうですが、フォアに使う場合はMの方が扱いやすさがあると思います。