アウォード オールラウンド



















投稿者:ハクション・フルイ

アウォード オールラウンド 中国式【TSP】 レビュー

■自己紹介
 戦型:ペン粒前陣攻守(反転多用)
 卓球歴:10年
 戦歴:中体連団体戦…市・地区優勝 県ベスト8
    高体連個人戦…県大会出場(3・4回戦進出程度)
    オープン戦…市大会レベル優勝2回 ほか
 現在は、時間のある時に知り合いのいる中学・高校にお邪魔して学生の相手をしています。ここしばらくの間、大会らしい大会には出場していません。

 □過去に使用経験のあるラケット(全て中国式)
 ・ブロックマン(TSP) ・オフェンシブCR(STIGA)
 ・馬琳ソフトカーボン、馬琳エキストラオフェンシブ(ヤサカ)
 ・アコースティック、バイオリン(Nittaku)
 ・天王星3(銀河) ・パーソンパワープレイ(DONIC)
 ・コルベル、SK7、インナーフォースZLC(Butterfly) ほか

■まえおき
 2001年の発売以来、着々と使用者を増やしているTSP社製ラケット、アウォードオフェンシブ……の、陰に隠れてなかなか目立たない「アウォード オールラウンド」。OFF・ALL・DEFの三種類からなるアウォードシリーズ(キッズはまた別)ですが、今回レビューするのはオールラウンド、いわゆるアウォード三兄弟(?)の次男坊であります。
 私は公式戦には出場しませんが、中高生の練習試合や遠征に参加することはよくありまして、その中でアウォード オフェンシブの使用率はそれなりに高く、アウォード ディフェンシブを使うカットマンもちらほら見受けられるのですけれど、どうにもオールラウンドの使用者がなかなか見当たらないんですよね。八年近く愛用している私にしてみれば、使用者が少ないのが不思議でなりません。
 ということで、「個性の強い長男・末っ子に挟まれた二男は、アウォード一家のバランスを保つために没個性なラケットになってしまったのか?」――そんな冗談を交えながら、(やや贔屓気味に)レビューしていきたいと思います。

■第一印象
 ブレード面を見て最初に目に映るのが、青色をしたネコ科の動物(詳しくは不明)であり、次いで目につくのが、でかでかと書かれた「REFLEX 50」の文字。そしてそれらの下に、やや控えめに「TSP AWARD AllRound」と書かれています。中学生に見せると「カッコいい!」と言っていましたが、高校生にどう思うか訊ねると「グリップはともかく、ブレードのデザインがなんか子供っぽいっすね」と嫌がっていました。まあ、この辺りは好みによるでしょう。

 ブレードサイズは154mm×151mm。中国式ラケットとしてはやや小ぶりで、ブレードの先端が丸みを帯びており、卵のようなスリムな形になっています。そのメリットとしては、微妙にですがラバーの重量を抑えられること、フォア・バックの切り替えがスムーズに出来ることなどが挙げられます。ブレード厚は6.0mm、重さは平均80g。厚さも重さも、中国式ラケットとしては平均的でしょう。
 グリップは細くて握りやすく、ブレードとグリップの接着部分に(中心からブレード方向にかけて)薄い緩衝材が入っています。ちなみにこの緩衝材こそが、でかでかと書かれていた「リフレックスシステム50」の正体。一言で表すと「強制的にしなりを生みだすための仕組み」と言えるでしょうか。
 グリップレンズはフォア面のみで、プラスチックなどの硬い素材でなく、グミのような柔らかくぷにぷにした素材でできています。そのため反転した時、レンズが手に当たっても違和感が少ないです。私はグリップの感触を大切にしているので、これはありがたい配慮です。……比較的レンズが外れやすいのは困りものですが。

「中・硬質洋材料を組み合わせ、しなやかな打球感を実現」とカタログにもあるように、打球感はやや硬めです。公式ではミッドとなっていますが、同じミッドであるヨーロスピンやシャインよりは硬く、ラバーを貼っていない状態で球突きをした時点では、打球感はハード寄りであるように感じました。それでもミッドとなっているのは、先述したリフレックスシステム50による「しなり」によって、カタログにある「しなやかな打球感」が生まれるからだと思います。

※スペックは中国式のものです。シェークは板厚が5.5个如▲屮譟璽疋汽ぅ此▲哀螢奪廛汽ぅ此⊇鼎気眩瓦動磴い泙后 


■裏ソフトとの相性
 だいぶ長い間使っているので、数えるのを諦めたくらい様々な裏ソフトを貼りましたが、中でもいいと思っているのは「シートのグリップ力が強いラバー」。というのも、リフレックスシステムによるしなりのため非常に球持ちが良く、擦り打ちに非常に適しているから。キョウヒョウやテンキョクなどの粘着ラバーを使えば、スピードは出ないものの回転量は豊富ですし、粘着テンションやラザント系など、グリップ力の強いテンションラバーを使えばある程度ですがスピードを補うことも可能です。まあ、あくまで「ある程度」ですけれど。当然ですが、特殊素材の弾みを期待してはいけません。
 食い込ませて打つラバーとの相性も、決して悪くはないのですが、私はあまり使いませんね。これまたリフレックスシステムのせいで否応なしにしなるので、攻撃時にボールを持ちすぎてしまうことが多々あるのです。とはいえ悪いことばかりではなく、ブロック時にはその「しなり」が活きます。少し回転の影響を受けやすいものの打球の威力を殺すことができ、自分のボールにして返すことが可能です。ラケット自体がどんなラバーにも合うオールラウンダーですので、戦型に合わせてラバーを変えられるのは嬉しいところです。
 組み合わせの球持ちが強すぎると台上技術がやりづらくなりますが、その辺りは重視する技術によってラバーとの組み合わせを調整していくべきでしょう。
 ちなみに個人的に好感触だったのは、ラクザ7、ブルーファイアJP01、オメガVプロなどです。弾みを重視しないのであればエクシズF-1 21sponge、マークVなども合いました。

 なお、攻撃時にあまり力を入れすぎると、「人工的なしなり」が却って邪魔をし、暴発することがあるので注意が必要です。弾く技術よりも回転をかける技術、そして一発で打ち抜くパワーヒッターではなく、小技で勝負するラリー重視の選手に向いているでしょう。

■異質ラバーとの相性
 異質ラバー、といっても貼ったことがある異質ラバーは表ソフトだけ、しかもその表ソフトというのもパチスマとスペクトルの二種類だけであり、あまり好感触ではなかったためすぐ剥がしてしまいました。なので書けるのは主に粒高のことだけ……。ここからだいぶ偏った内容になりますが、ご了承ください。

 カールP1-R、オクトパス、ファントム0012、オールラウンドプレミアムなど、自分で切っていくタイプの粒高に関しては、ラケットの球離れが早いせいか決して相性抜群とは言えません。とはいえ、何度も言うようですが「しなり」があるのでブロック時に威力が殺しやすく、守備用ラケットほどではないにせよブロックは短く止まります。また、カット性ブロックだけで点が取れるほどの切れ味はありませんが、切る切らないの変化もしやすく、自分から回転に変化をつけてゲームメイクをする選手には適していると思います。

 そしてテンション粒との相性ですが、こちらはかなりいいと感じています。アウォードで使用したことのあるテンション粒はカオス(andro)、バッドマン(JOOLA)、Grass D.TecS(TIBHAR)。私は現在、ブルーファイアJP01(赤・2.0mm)、バッドマン(黒・OX)を貼り、サイドバランサーを5g分ラケットサイドにぐるりと巻いています。
 はじめはどのテンション粒もコントロールが難しく、やや跳ねすぎるきらいがあり、いわゆるじゃじゃ馬感が強かったのですが、サイドバランサーを貼り付けてからは非常に使いやすくなりました。ブロックはよく止まり・よく切れ、プッシュはノータッチが狙えるほどではないにせよ相手を崩せる程度のスピードはあります。加えて面が固定されたせいか、粒高でのフリック、流し打ち、ドライブなどの攻撃系技術も安定して入るようになりました。反面、裏ソフトの弾みが落ちたような気はしますが、これといって問題のない程度です。また、独特なラケットの形状のおかげか通常のブレードよりサイドバランサーの重みを感じないため、重いラバーを貼っても比較的容易に両面ドライブを打つことが出来ます(もちろん、サイドバランサーを貼っていない状態よりは重心が先端寄りになりますが)。 

■おすすめプレーヤー
 テンション粒を駆使するペン粒の方。
 私自身、テンション粒での変化を軸に、裏ソフトでのループドライブやスピードドライブを多用するスタイルなのですが、二年ほど前に現在の組み合わせにしてからミスが激減しました。加えて粒高の変化量が多くなり、変化そのものも不規則になったようで、最近では練習試合に顔出すたびに中高生から嫌がられます。特に態度の悪い選手からは、練習試合中に暴言を浴びせられたことも。中でも印象に残っているのは、「てめえ粒だくぇうるぁひきょんだらぁ!」。どうやら、日本語の使い方を忘れる程度にはやり辛かったようです。

 攻撃型の場合は、テクニックで勝負するラリー重視の方。
 一発で打ち抜くほどの威力はないので、前・中陣から多彩な回転をかけたり、前陣ブロックでコースを突いたりという戦い方が基本になります。一度、ロビングばかり上げている使用者に会ったことがありますが、彼のロビングは伸びたり曲がったり沈んだり、妙にやり辛かったのを憶えています。スピードよりも回転を重視したい方にはいいでしょう。

■まとめ
 攻撃的なオフェンシブ長男、守備的なディフェンシブ三男という、二人の個性的な兄弟に挟まれた二男・オールラウンド君は、自分の個性を磨くことは諦め、二人の引き立て役に回ることに決めました(ォィ
 しかし、確かに没個性気味ではありますが、どんなラバーでも基本性能を引き出すことは出来ますし、扱いやすいためオールラウンドなプレーがしたいという人にはもってこいのラケットです。リフレックスシステム50の打球感は少々特殊ですけれど、何でもかんでもフルパワーで打たない限り、すぐに慣れることができると思います。

 また、正直、テンション粒+サイドバランサーの組み合わせではほとんど文句が見当たりません。
 唯一の欠点はブレードサイズが小さめのため、大きなブレードのラケットと比べてボールを捉えにくいという点でしょうか。しかし「ラケットに当たらなくて困ったぜ」ということは記憶している限りでは一度もありませんので、よほど大きなラケットから転向しない限りは特に問題はないでしょう。価格がそれほど高くないのもオススメできる要因の一つです。
 中級者でテンション粒の扱いに困っている方は、是非一度使ってみて下さい。
 
■余談
 あくまで私の体感ですが、テンション系の粒高というのは、柔らかいラケットに貼ると扱い辛くなる傾向があるように思います。詳しい理由はわかりませんが、たとえばGrass D.TecSなどは、ブロックマンに貼った時はじゃじゃ馬すぎてコントロールに苦労しましたし、だからといってハードすぎるラケットに貼ると、変化はあるものの今度は弾みすぎて制御に苦労します。テンション粒に合うラケットは「重い」、「薄くてしなる」、「上板が硬め」の三種類が揃ったものがいいと何かで読んだ記憶があったのですが、なかなか理想のラケットは見つからず……。
 ということで倉庫で眠っていたアウォード オールラウンドを引っ張り出して、半ばヤケクソでサイドバランサーを貼ったら上記のような結果になりました。私は現在、アウォードはあくまで「サブラケット」であると言い張り、他のラケットとラバーを試していますが、練習試合などではどうしてもアウォードに戻ってしまいます。変化度を重視ならもっと変化するラケットはありますし、守備重視ならもっと弾まないラケットがありますが、攻守を4:6くらいの割合で行う私にとっては最適なラケットであると感じています。

 また、誰に影響されたのかは知りませんが(笑)、私のお邪魔した学校に所属しているペン粒選手の半分(四人)が、いつの間にか、
・アウォード オールラウンド + テンション粒 + サイドバランサー
 という組み合わせになっていました。攻撃が苦手な人は、マークV極薄を貼って弾みを調節しているようです。
「カールなどを使っている時より不規則な変化が出て、相手が思いもよらない場面でミスをする。ボールはよく揺れるし、何より自分が切っているつもりでも切れていなかったり、切っていないつもりでも思ったより切れていたりと、相手どころか自分も戸惑うようなボールが出やすくなった。ただ、予想だにしないところでスマッシュを打たれたりするから、コース取りは気をつけなければいけない」
 というのが生徒たちの意見です。ご参考までに。
 以上、長文・乱文失礼しました。