和の極-蒼-




















投稿者:ヨーロピアン


和の極 ー蒼ー(ST)レビュー

使用ラバー:ラクザX、ラザントパワーグリップ

比較対象:アコースティック、テナー

アンドロより新しく販売した日本製のラケット。家具職人が作るラケットということで、注目されていますが、元々国内のラケット製造を行う工場はタマスのような自社工場以外、ニッタクなど含めほとんど外注です。
例えば、ニッタクなら長野の木工屋さんなどでバイオリンやアコースティックを作ってもらっています。もちろん、元々はそういった木工屋は家具や材木加工を生業としている会社が多く、決して卓球用具を作る為に作られた会社ではありません。無論、現在はそれに特化しているのでしょうが・・・
そういった意味では家具製作会社が作るラケットは決して珍しくはありません。接着のノウハウがあり、乾燥室があれば製作作業は出来ますので。

まずはラケットのレビューの前に私が使っているアコースティックについて説明させてもらいます。
アコースティックは非常に有名な木材5枚合板です。初心者に使わせるラケットは何がいい?と聞かれたら私はお金があるならアコースティック、お金が無いなら、ラバーはオリジナルでいいからアコースティックを買いなさいと言います。

何が優れているかと言うと、ラケットにボールがくっつく感覚があるので、どんなラバーでもそのラバーの特性が生きるという感覚があります。
例えば硬いカーボンラケットだと粘着ラバーは一般的に相性が悪いですが、アコースティックならボールを掴むので、粘着の良さを引き出せるので、合います。逆に軟らかい金属音がするドイツ製ラバーだと木が飛ばないラケットだと、飛距離が出なかったり、硬いラケットだと回転がかからずに落ちてしまいますが、アコースティックはしっかり食い込んで、ラケットもボールを持つので、自動的に快速スマッシュや高速ブロックは出ませんが、安定感が高く、技術的には速いブロックも、安定するので、逆説的にはそういったプレーが出しやすいです。
また、表や粒もボールがラケットにくっつくので、安定しますから、変なミスをし難いです。
アコースティックの最大の魅力は、変なミスが出ないので、練習の成果を試合で発揮しやすいラケットだという事です。弾むラケットはワンコースや練習では気持ちよく打てますが、初めての相手のサービスやドライブを確実にまずは「入れる」事から始まりますので、弾むラケットで入れに行くと、どうしても変なミスや、ほんの少し力が入り、オーバーミスというパターンが増えます。
その為、誰でも回転を制御しやすく、強く打てば速い球も出せる・・・しかし打法もラバーもあまり選ばない、ボールがくっつくラケットで打球感も良い、更に品質が安定しているというアコースティックが選ばれるのだと思います。
同じタイプでコルベル、アバロックス、オールラウンドエボリューションなどがありますが、これらは時期や木の材質が違うと物凄い当たり外れがある為、同じ物でも全く別のラケットに感じるため、ロングセラーではありますが、ベターなラケットにはなりませんでした。
選手が求める性能は弾みや打球感も大事ですが、常に同じ品質で手に入るという事も重要だと思います。
ちなみに私のアコースティックは3本目ですが、使い始めは湿気を吸っていないのでとても乾いていて、飛びが良いのですが、少し使うとほぼ同じ打球感、弾みになる為、外れたと感じる事はありませんでした。 


和の極みの使用感:このラケットは打った瞬間、アコースティックとは全然違うラケットだと感じました。よく弾み、よくボールを掴んで飛ばせます。
今までいくつかのラケットを打って、最終的に木材のアコースティックやバイオリンに戻ってきてしまいましたが、理由の一つに特殊素材のようなラケットは強く打つと弾むけど、逆に弱く打ってもそこそこ弾むラケットが苦手な為です。
弦楽器シリーズにテナーというラケットがありますが、これも木材にしては強く打つと弾んで、弱く打ってもかなり弾むラケットで、比較的自動的に弾むラケットでした。これに近いかなと、初め打った時は思ったのですが、テナーよりは弾みが抑えてある感じがします。

制御出来る範囲で弾むラケットがあれば良いのですが、そういったラケットはなかなかありません。和の極みは強く打つと非常に弾み、ブロックやフリックのような軽打や中打でもそこそこ弾みます。しかしびっくりしたのは台上は小さく止まりやすいという事、ループやつなぎのボールは弾み過ぎない所です。
本当に弱いタッチのときは弾まないので、コントロールが非常に良かったです。
何より良かったのは強打のボールが本当に速いという事です。弾いたときに速いボールが出るラケットは沢山ありますが、回転がしっかりとかけた時に速く飛ばせるラケットは木材ラケットではそんなに多くはありません。
しかも軟らかい打球感で、弱いタッチだと弾み過ぎないと言うのはとても良いラケットの性能だと思いました。
ただし、ブロックは弾むように感じます。弾みをコントロールするのがなかなか難しく、出来ればもう少し弾まないくらいだと丁度良かったです。材質が桐を使用しているので、おそらく少し使えば湿気を吸って重くなり、弾みも抑えられると思います。そうすると慣れもありますが、扱いやすくなるのではないかと思います。

ニッタクのテナーの弾みとアコースティックの使い易さを半々にしたようなラケットです。
どちらかと言うとテナー寄りですが、お勧めしたい人はアコースティックよりも弾むラケットが良いが、良い5枚合板を知らない人や、テナーだと弾み過ぎるが、アコースティックだとスピードが物足りない人などには無条件でお勧め出来ます。
ただし、初心者や弾むラケットが苦手な人や、カーボンのような爽快な打球感が好きな人、硬い打球感が好きな人には向いていないと思います。

正直、ラケットの性能としてはアコースティックのようなメジャーラケットになる資質を持ったラケットだと思います。
表や粒は分かりませんが、裏ソフトでは回転系ラバーを組み合わせた場合、回転もかけやすく、ラバーの特徴を生かせる打球感で、非常に良かったと思います。
ただし、ラケットのブレードが大きく、85gのラケットもラザントパワーグリップのような超重量級ラバーを貼ると190gを超える重さになり、大変でした。出来ればブレードをノーマルタイプか、リサイズした新しいタイプがあると良いかなと思います。
非常に良いラケットだと思います。湿気を吸うまでは使ってみようと思います。