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投稿者:ザーシー


キョウヒョウ王-FL(紅双喜)

◆自己紹介
・卓球歴 10年
・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

◆試打環境
・使用ラバー
キョウヒョウ3-50 35度 2.1mm 黒
キョウヒョウNEO3 39度 2.2mm 黒
キョウヒョウNEO2 39度 2.2mm 黒
キョウヒョウ2 40度 2.2mm 黒
スピンアート 厚 黒
VS>402 Double Extra 1.8mm 黒
テナジー05、64、80、05FX 厚 赤
ファスタークG-1 厚 赤
ラザントパワーグリップ 1.9mm 赤
ラザントパワースポンジ 1.9mm 赤

・比較ラケット
王励勤-FL
劉国正-AN
キョウヒョウ皓-FL
キョウヒョウ龍2-FL
コルベル-FL
ワルドナーオールプレイ-ST
オフェンシブ-FL
SK7α-ST
ティモボルALC-ST
インナーフォースT5000-ST
パーソンパワーカーボン-ST

◆第一印象
長らく世界王者の1人として君臨し、卓球界に名を刻むレジェンドプレーヤー、王励勤選手のかつての使用、優勝モデルがこのキョウヒョウ王です。
王励勤選手は木材5枚合板ラケット+粘着性ラバーという組み合わせの用具を使用していましたが鍛え抜かれた身体により、特殊素材ラケット+テンションラバー使用の選手顔負けの強力なパワードライブと厳しいコースへの正確なコントロールで、世界の名だたる強豪を圧倒しました。
本題のラケットですが、板圧は5.5mmとやや薄く上板は黒く染色されており軽く叩くとコンコンとやや高めの音が鳴ります。
グリップは細めで丸みがあり手の小さい方でも握りやすいです。
中国代表モデルということもあり一般的なヨーロッパ製のラケットに比べるとかなり細く感じます。
日本製のラケットの細めのグリップが合う方には丁度良いサイズかと思います。
レンズは表に紅双喜ロゴ、裏は王励勤選手の顔が描かれています。
グリップエンドには「狂飈王」の文字が入ったエンブレムが配置されています。
グリップエンドにラケット名が入るという秀逸なデザインです。
箱は厚みのある丈夫な紙で出来ており、真っ赤な背景に王励勤選手の力強い表情が見る者を魅了します。
また側面にはマグネットが仕込まれておりラケットを収納して開け閉めが出来る構造になっています。
雑に扱わなければそのままラケットケースとしても使えそうな高級感のある箱もこのキョウヒョウシリーズの嬉しい特典です。
しかしこのラケットには我々ユーザーを悩ませる問題があります。

それはやや入手しにくいことと、お世辞にも安いとは言えない価格です。
非常に高価な特殊素材ラケットが各メーカーから発売される中、木材ラケットでありながらそれを上回るほど高価な値段で販売されています。
この高級プライスもある意味ではこのキョウヒョウシリーズの特徴です。
果たしてここまで値段が高い理由は一体何なのか。
その点も意識しながら試打をしてみたので書いていこうと思います。 


◆攻撃系技術
いくつかラリーをした中でまず感じたのが5枚合板としてはかなりハードな打球感であるにも関わらず、普段通りの打ち方ではそこまで弾みが強くないということです。
弾みが弱いため十分過ぎる程コントロール性能が高いです。
近年は木材ラケットでも弾みの強いものが多く出回り、中には特殊素材ラケットと同等かそれ以上のスピード性能を誇るものも開発されています。
力が弱くてもオートマチックにスピードが出せるためジュニアやレディースの選手が使用しても十分なスピードが出しやすいラケットが最近のトレンドのように感じる今日この頃ですが、このキョウヒョウ王はそんな時代の流行の真逆を行くような性能です。
しかしスピードが全く出ないのかと思えばそうではありません。
振り抜きとスイングスピードを意識して力強くスイングすると木材ラケットとは思えないほどスピードが速いボールが打てます。
スイングのパワーをしっかりとラケットに伝えて打球することによりボールに威力を出すことができるのです。
つまりスイング時の力の伝え方によって抜群のコントロールと強烈なパワーを自在に操ることができる点がこのラケットの最大の特徴だと私は思います。
私はまだまだ未熟なので集中してしっかりと意識しないとそこまでパワーをラケットに伝えることが難しいです。
しかし上級者の方がキョウヒョウ王を使用すれば、高い性能を十分に引き出すことができると思います。
通常はラケットのコントロール性能を優先すると、使いやすくなる反面ボールの弾みや威力に物足りなさを感じます。
また弾みや威力を優先した場合、ボールを制御するには非常に神経を使う為コントロールがしにくくなってしまいます。
しかしキョウヒョウ王はスイングの力の伝え方によってパワーとコントロールという本来であれば矛盾する性能を高いレベルで両立しています。
この点がキョウヒョウ王の木材ラケットながら値段が高級である理由だと私は感じました。
また、回転がかけやすいのもこのラケットの大きな特徴です。
板圧が薄い為ある程度しなるので、打球感がハードでありながら球持ちが良いです。
回転のかけやすさはボールの威力とコントロールの両方に作用します。
このハードな打球感と、球持ちの良さを両立している点もこのラケットを高性能とする理由だと思います。
打球感は同じ5枚合板の中でもコルベルやワルドナーオールプレイよりもかなりハードに感じます。
しかしSK7やキョウヒョウ龍2と比べるとややソフトです。
この5枚と7枚のちょうど境界線くらいの絶妙な打球感が球持ちを良くし、回転をかけやすくしている理由だと思います。
放たれるドライブは球種のコントロールがしやすく回転量も抜群です。
ループドライブの弧線は相手コートに吸い込まれていくような見事なアーチを描きます。
またスイング時の力をしっかりとラケットに伝えることにより粘着性ラバーでも、威力のあるスピードドライブやスマッシュを放つことが可能です。
力をラケットに伝える為にはある程度の技術レベルが要求されます。
その点を考慮した上でもこの高い性能は非常に魅力的であると感じました。

◆守備系技術
ブロックはコントロール性能の高さにより、相手の威力あるボールでもしっかりとコースを狙って返球することが可能です。
特に粘着性ラバーでのブロックはラバーの硬度も相まって非常に相手のボールの威力を抑えやすいです。
攻撃戦型のドライブマンでありながらブロックに自信を持つこどが出来る点は非常に心強いと思います。
上級者であれば同じラバーでもより硬度の高いバリエーションのものを組み合わせることをおすすめします。
同じキョウヒョウでも38度よりも40度を合わせるといった具合です。
その方がより相手の球威を抑えやすくなります。
カウンターも返しやすくなるでしょう。
しかしビギナーではボールを不意に落としやすくなる為、硬度を上げ過ぎるのはおすすめしません。
また後陣に下げられた場合のロビングなどは飛距離を出す為に、やはりラケットに力を上手く伝えられるかがポイントとなります。
なかなか力を伝えることが難しい場合はバックに軟らかめのスピン系テンションを合わせると良いと思います。
テナジー05FXは軟らかめの部類ですがそれでもロビングは厳しいものがありました。
ラザントパワースポンジなどのより軟らかめのラバーを組み合わせると下げられた場合も粘りやすいと思います。 


◆その他 
サーブはショートのスピンサーブがコントロールと回転を考慮した上で好印象でした。
スピードロングは球威を出すのが難しく、ナックル系のサーブはやや浮きやすい為慣れが必要だと思います。
またレシーブや台上では総じてコースを狙うことがやりやすかったです。
特に深く切るツッツキとフリックがコース狙いやすく非常に強力でした。

◆おすすめプレーヤー、ラケット構成
粘着性ラバー使用の上級者の方におすすめします。
繊細なコントロール性能を誇りながら、威力のあるボールを放つ為にはスイング時の力を上手くラケットに伝えられることがポイントとなります。
ある程度筋力があり体格がよく、ラケットに力を伝えることが可能な方であればその高い性能をフルに引き出すことができると思います。
威力のあるパワードライブやスマッシュ、コースを突いたブロックや台上など非常に魅力的です。
組み合わせるラバーはある程度弾みのある中国製粘着性ラバーがベストだと思います。
スピン系テンションと組み合わせてもその高い性能を発揮することは可能ですが、粘着性ラバーと組み合わせることでそのラバーのポテンシャルをフルに引き出すことが可能であり、それによって本来の性能を発揮するラケットだと思います。
今回使用したラバーの中で特に感触が良かったのはキョウヒョウ3-50です。
次点でVS>402DoubleExtra、スピンアートの順になります。
他の中国製粘着性ラバーは回転性能は高いもののやはりスピード不足によりバランスの悪さがネックとなりました。
回転性能ならキョウヒョウ3-50、総合的な性能を重視するならVS>402、弾み重視ならスピンアートといった印象を受けました。
しかし欲を言えばキョウヒョウ2の50スポンジバージョンがあれば良いと思います。
またNEOスポンジのキョウヒョウ3とキョウヒョウ2を比較した場合、回転性能の良さを最大限に引き出すという点で、私はキョウヒョウ2の方が相性が良いと思いました。
これは自分でも個人の好みだと思うのですが、私個人としては2に軍配が上がりました。
もしキョウヒョウ2-50が仮に発売されればぜひ組み合わせてみたいと思います。

◆まとめ
上級者を納得させるコントロール性能を誇りながらスイング時の力を上手くラケットに伝えることにより抜群の威力をボールに与えるという、本来であれば両立が難しい性能を高レベルで兼ね備えたラケットがこのキョウヒョウ王です。
その高い性能を引き出す為にはかなりの技術レベルが求められ、使うプレーヤーを選ぶ傾向があります。
しかしワンランク上を目指す為にこのラケットを扱えるかどうか挑戦するのも良いと思います。
性能は勿論やや入手困難な点や価格など、様々な面を考慮した上でまさに上級者の為の高級高性能ラケットだと思いました。