テンキョク3-60






















投稿者:ザーシー


テンキョク3-60 35度(紅双喜)

◆自己紹介
・卓球歴 10年
・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

◆試打環境
・使用ラケット
キョウヒョウ皓-中国式
馬琳エキストラオフェンシブ-中国式
インテンシティNCT-中国式
キョウヒョウ王-FL
キョウヒョウ龍-FL
インナーフォース・ZLC-ST

◆第一印象
紅双喜は中国が誇る世界的卓球用具メーカーです。
その名を広く知らしめた主力商品の粘着性ラバーは中国ナショナルチーム選手の使用率が非常に高く、フォア面での使用は勿論、プラボール移行後はフォアバック両面に使用する選手が増えてきています。
テンキョク(天極、SKYLINE)はキョウヒョウ(狂飈、HURRICANE)と対をなす紅双喜の二枚看板ラバーで、王励勤選手や張継科選手などのシェークハンドの選手はキョウヒョウ、王皓選手や馬琳選手などのペンホルダーの選手はテンキョクを使用する傾向があります。
昨年気泡が大きいタイプのスポンジを搭載したキョウヒョウ3-50が発売されましたが、それに続く形でこのテンキョク3-60が発売されました。
スポンジ色はキョウヒョウ3-50がレッドスポンジだったのに対し、テンキョク3-60は黄色味の強いオレンジスポンジです。
トップシートは非常に粘着力が強く、同じ紅双喜のラバーの中でも最も強い部類に入ると思います。
触るとテンキョクNEO3よりも若干軟らかく感じました。
今回のテンキョク3-60は35度、2.1mmバリエーションを試打しました。

◆攻撃系技術
・基本打ち
フラット打ちはテンキョクNEO3よりも格段にスピードが速いボールになります。
スイングスピードから予想されるボールのスピードよりも想像以上にボールが飛んでいきます。
インパクトの瞬間にボールを掴んだ後、いっきにボールが加速して飛び出すので、制御が難しく感じました。
ノングルー以降の粘着性ラバーでは初めて味わった感覚です。
長年粘着性ラバーを使っている方でもかなり慣れが必要かと思います。
打球感はスポンジ硬度が35度と軟らかめなので、中国製粘着性ラバーとしてはソフトに感じます。
またインパクトが弱いとボールをしっかり掴むことができず、ラバーの面の上で弾まずにボールをポトッと落としてしまいそうになりました。
しっかりとインパクトさせることを心がけながら、弾む感覚に慣れる必要があるという非常に変わった打球感に感じました。 

・ドライブ
食い込ませる打ち方のドライブはフラット打ち同様想像以上にボールが飛び出していく感覚がありました。
組み合わせるラケットの種類にも寄りますがラバー面に対して垂直方向の弾みは強い傾向があるようです。
しかし回転はよくかかるため弾みの感覚さえ掴んでしまえば、安定感のあるミートドライブの連打が可能です。
反対に、擦る打ち方のドライブは弾みがあまり強くません。
同じドライブでも食い込ませるのと擦るのでは、食い込ませる打ち方のドライブの方が弾みは強くなるのが普通ですが、それを踏まえた上でも擦るドライブは弾みは強くありません。
擦るドライブの弾みの強さはテンキョクNEO3と同程度に感じます。

・食い込ませるドライブの弾み:テンキョク3-60>テンキョクNEO3
・擦るドライブの弾み:テンキョク3-60=テンキョクNEO3

その為ラバー面に対して平行方向の弾みは弱いように感じました。
テンキョクNEO3は食い込ませるドライブのラバー面に対して垂直方向の弾みの強さと、擦るドライブのラバー面に対して平行方向の弾みの強さにそこまで大きな差は感じませんでした(勿論、食い込ませるドライブの弾み>擦るドライブの弾みとなります)
しかしテンキョク3-60の場合は食い込ませるドライブのラバー面に対して垂直方向の弾みと、擦るドライブのラバー面に対して平行方向の弾みとの差が極端に大きく感じました。
食い込ませるドライブではそこまで速いスイングでなくともスピードの速いボールが飛び出していきますが、擦るドライブではスピードが極端に遅いボールが高い弧線
を描いて相手コートに飛んでいきます。
このスイングのやり方次第でボールスピードが極端に変わる点がテンキョク3-60の大きな特徴だと思います。
悪く言えば、食い込ませるドライブは飛び出し過ぎて、擦るドライブは飛距離不足といった、ボールスピードの差を制御することが難しいラバーとなります。
しかし良く言えばそれは、ボールスピードの差を利用して相手を前後左右に揺さぶることが可能ということになります。
このスイングによるボールスピードの大きな差をメリットと捉えるか、デメリットと捉えるかは使う人それぞれだと思います。
ボールスピードの差をプレーに上手く活かせる方には非常におすすめだと思いました。

・スマッシュ
非常にスピードのあるスマッシュを打つことが可能です。
やはりフラット打ちや食い込ませるドライブと同様にラバー面に対して垂直方向の弾みが強い為、スマッシュのような弾くような打法には相性が良いと思います。
ただスポンジが軟らかいので、インパクトが弱いとボールが落ちやすく注意が必要です。
テンキョク3-60はラバー面に対して垂直方向の弾みが強くなったテンキョクNEO3といった感覚を受けました。 

守備系技術
・ブロック
やはり粘着性ラバーなので相手の回転の影響を受けやすいです。
また当てるだけのブロックはインパクトが弱いとボールがやや落ちやすく感じました。
逆にサイドスピンブロックなどのスピン系のブロックは回転がかけやすいため非常に安定します。

・カウンター
あまり安定しません。
相手ボールが自分のラケットに当たった場合、強い粘着力により回転はかけやすいのですが、インパクト時の当たり所によってボールスピードが大きく変わるため安定感に欠けるような印象を受けました。

・ロビング
擦り上げるスイングのロビングは飛距離があまり出ず、相手コートまでボールを飛ばすことが難しいです。
食い込ませるスイングのロビングは弾みが強い為、大きく下げられても相手コートまでボールを打つことが可能です。
ロビングを打つ時の立ち位置によってスイングを変える必要があると思いました。

◆台上系、サーブ、レシーブ
・ストップ、ツッツキ
ストップは非常にやりやすく相手コートにポトッと落とすことが可能です。
ツッツキは回転はかけやすいですが、若干上方向に飛び出すことかあるため注意が必要です。

・ショート、プッシュ
ショートにもプッシュにも共通することですが、ボールがやや落ちやすく感じました。
しっかりとインパクトさせることが必要だと思います。

・フリック、チキータ
フリックは回転がかけやすい為やりやすいです。
特に下回転に対するフリックが安定します。
チキータは強烈な回転がかかりますが、ボールにラバー面を当てすぎると飛び出していく為注意が必要です。

・サーブ
下回転や横回転などのスピン系サーブは回転がよくかかる為非常に強力です。
ショートやハーフロングなどの微妙な距離の調節もやりやすく感じました。
しかしロング系のサーブはややオーバーしやすいので注意が必要です。

・レシーブ
回転をかけるレシーブは基本的にはどれもやりやすく感じました。
しかしスピードロングなどの速いサーブをレシーブする時は、強くインパクトし過ぎるとボールが浮きやすいのでどちらかと言えばスピード系のサーブの処理が課題になると思います。 

◆おすすめプレーヤー・ラケット構成
A、スイングによるボールスピードの差で勝負をする選手におすすめです。
ラバー面に対して垂直方向の弾みが強いため、食い込ませて打てば非常速いボールを打つことが可能です。
またラバー面に対して平行方向の弾みは弱いため、擦り上げて打てばスピードが遅い代わりに高い弧線を描いた
ボールを打つことが可能です。
このボールスピードの極端な差をプレーに活かせば、ドライブなどに緩急をつけて相手を前後左右に揺さぶることも可能です。
また極端に弾んだり打球感がハードでなければ、どんなラケットとも相性が良いと思います。

B、テンキョクNEO3に弾み不足をに感じていた方にもおすすめです。
ラバー面に対して垂直方向の弾みが非常に強い為フラット打ちや食い込ませる打ち方のドライブやロビング、スマッシュなどが非常にやりやすいです。
弾み不足を理由にテンキョクの使用を諦めていた方にはぜひ使っていただきたいです。

◆まとめ
キョウヒョウ3-50はキョウヒョウNEO3のラバー面に対して垂直方向の弾みと、ラバー面に対して平行方向の弾みの両方をほぼ同様の割合で高めたようなラバーでした。
これに対してテンキョク3-60はテンキョクNEO3のラバー面に対して平行方向の弾みはそのままに、ラバー面に対して垂直方向の弾みを大きく高めたようなラバーだと感じました。
その為全体的な弾みのバランスを重視し使いやすさを求めるプレーヤーにはキョウヒョウ3-50を、制御は難しいがスイングによるボールスピードの差を利用して相手を揺さぶるプレーを重視するプレーヤーにはテンキョク3-60をおすすめします。
ノングルー以降、弾み不足によって粘着性裏ソフトからスピン系テンション裏ソフトに乗り換える傾向が増え、粘着性ユーザーは以前よりもかなり減少しました。
しかしプラボールへの移行により粘着性ラバーも弾みの強いものが増えてきました。
プラボール対応のテンキョクであるテンキョク3-60の発売を待ち焦がれていた方も多かったと思います。
またキョウヒョウとテンキョクの進化の違いが今後の粘着性ラバー市場にどんな影響を及ぼすのか期待が高まります。
今後も粘着性ラバーの進化に注目です。