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投稿者:ハクション・フルイ


翔龍 -RISING DRAGON-(赤)【ヤサカ】 レビュー

■自己紹介
 戦型:ペン粒前陣攻守(反転多用)
 卓球歴:10年

■試打環境
 天王星Uranus3 中国式(銀河)
  F面…翔龍 赤・特厚(ヤサカ)
  B面…カールP1-R OX(TSP)

 日本製檜五枚合板 中国式(特注)
  F面…翔龍 赤・特厚(ヤサカ)
  B面…NO.1(ノイバウアー)


■ざくっとレビュー
 比較的やわらかめな粘着テンションラバー。粘着とは思えない高いスピード性能、安定感のあるドライブ。粘着特有のずば抜けた回転量こそないものの、全体のバランスがいいため扱いやすいのが特徴。卓球王国・ゆうさんのレビューにもありましたが、「塗った天極」に確かに似ている。


■第一印象
 黒(濃紺?)が基調のパッケージには、黄土色で「翔龍」、それから青く光る龍の姿が描かれています。シンプルなパッケージです。この龍がタツノオトシゴに見えるのは私だけではないはずですが、まあ、性能とは無関係なので気にしない。
 裏面には日本語、英語、中国語での説明が書かれており、製造はもちろん「MADE IN CHINA」。シートは厚いですが、粘着としては平均的。粘着はしっとりしたタイプではなく、ギラギラした微粘着。開封直後ではペタペタする程度で、ほとんど粘着成分を感じませんでした。スポンジにはコシがあり、触った感じでは食い込みが良さそうに思えます。
 重量はカット前72g、カット後は未測定なので省略させていただきます。

※ちなみにこのラバー、赤と黒ではスポンジの色が違います。アカディタイチなどのようにスポンジ色で性能が違うのかもしれませんが、今回は赤しか使っていませんので、赤のみのレビューとなります。ご了承ください。


■攻撃系技術
・軽打
「思ったほど飛ばないな」というのが第一印象。打球感がカチカチに硬いわけではなく、スポンジに食い込む感覚もあるのですが、弱いインパクトではあまり飛びません。この辺りは粘着らしいと言えるでしょう。

・ドライブ
 軽打であまり飛ばなかったので、「このくらいがちょうどいいだろう」と力を込めてドライブを打ってみたところ、やや暴発気味に、想像以上のスピードで明後日の方向へ吹っ飛んでいきました。これについては後述しますが、ラバーの性能によって回転を掛けたり、ボールを飛ばしたりするタイプではなく、自分の力で飛ばす、回転を掛けるといったタイプのラバーのようです。この辺りも粘着らしいと言えましょう。
 スポンジは、ボールを包み込むようにして食い込むのを感じます。シートは硬いですが、こちらも適度に食い込みますね。このシートとスポンジのバランスがよく、インパクトの強弱に合わせてうまく変形してくれるので、ループドライブとスピードドライブの使い分けは容易です。

 スピードドライブの弾道は直線的。球離れはやや速め。金属音はほぼ鳴りません。軽く食い込ませたあと、こすり上げるように打球すると、低い弧線を描いたえげつないボールが相手コートに突き刺さります。特筆すべきはスピードで、WRM商品と比べるとBreak Proに匹敵するか、あるいはそれ以上。ただし、スピードドライブだと回転量はあまり多くはないですね。反対にループは、シートにしっかり引っかかるためしっかりと回転が得られます。しかもスピードドライブと比べてゆったりとした弾道で飛んでいくので、球速の落差で相手を翻弄することが可能です。
 それから、飛距離は出ますが弧線が低いのと打球感が少々シビアなため、後陣での打ち合いは難しめ。前・中陣で変則的な攻撃をする選手に向いているように思います。
 ループ、スピードドライブともにMAXの回転量はそれほどありませんが、試打相手によると「弾道が同じでも回転量がいちいち違う。すごく取りにくい」とのことでしたので、粘着らしい変化はちゃんと出ているようです。ドライブの感触はテンション系で、球質は「粘着っぽい(あくまで『っぽい』)」という、かなりテンションラバーに近い印象。

・ミート
 はじめは、柔らかいからどうかと思ったのですが、これが意外に打ちやすい。従来の粘着ほどには回転の影響は受けないですね。ぐにゃっとシートに食い込むので、スピードは出ますし、思った以上に飛びます。
 シートのおかげで、ナックルにしたり、伸ばしたりといった変化も出しやすいので、試打相手はとても嫌がっていました。癖はさほど強くないですが、得点源になり得る打球だと思います。 

■守備系技術
・ブロック
 前述したように、ラバーに加わる力がそのままボールの飛距離になる印象ですので、しっかり抑えられればブロックはよく止まります。また、曲げる、伸ばすなどといった変化は、テンション ≦ 翔龍 < 従来の粘着といったところ。弾みがそれほど強くなく、シートの引っかかりが強いため回転はかけやすいのですが、少なくともキョウヒョウのような癖のある球は出ませんでした。
 カウンターはやりやすく、威力・スピードともに十分。ただ、しっかり回転をかけないと棒球になりやすいのはデメリット。

・ツッツキ、台上
 ツッツキはしっかり切れますね。ただ、力加減を間違えると吹っ飛んでいってしまうので、短いコントロールは結構シビア。弾まないラバー、特にゴクウスなどを使っていた人にはこれがデメリットに感じるかもしれません。弾むテンションラバーで台上をこなしている人にとっては、それほど気にならない程度でしょう。
 フリックは擦った方が好感触。弾くと棒球になりやすく、かえって打ち抜かれてしまうことが多々ありました。チキータは、食い込ませるとやはり吹っ飛びますので、薄く擦るように心がける必要があります。

・カット
 これはその場に居合わせたカットマンの方の意見ですが、
「自分がマークVを使っているからかもしれないけれど、なかなか弾む。適度に引っかかるので切りやすさはあるが、シート・スポンジともに勝手に食い込んで飛んでいく感触があるので、抑えるのが難しい。ロビングやフィッシュも、回転をかけると飛距離が出ないし、打ち上げると飛びすぎてしまうのでやりにくい。ただ、フラット系が思いのほか打ちやすく、粘着らしいボールも出るので効果的な攻撃が打ちやすく、攻撃重視のカットマンにはいいかもしれない。テンションラバーを使うカットマンが増えてきて、テナジーを使っている人もよく見るけれど、自分は少なくともテナジーよりは使いやすいと思った。もし自分がこのラバーを使うなら、球持ち系の弾まない合板に合わせて、あまり下がらずにプレーするかな」
 とのことです。この方は私の活動する地域のオープン戦でたびたび優勝している人でして、非常に説得力のある説明をして下さったのですが、ざっくりまとめてしまったのでわかりにくかったら申し訳ないです……。

■サービス
 食い込ませれば速いロングサービス、擦れば短い下回転と、ボールタッチの質に左右されはしますが打ちやすい部類に入るはず。私が特に好感触だったのは巻き込みサーブで、擦った時と食い込ませた時の回転・スピードの落差が激しく、同じモーションから多彩なボールが打ち分けやすいと感じました。回転量は「超強力!」とまではいかないので、回転ではなく、ラバーの特性を活かした多彩なサービスで相手を翻弄する、というスタイルが合っているように思います。 

■ラケットとの相性
 基本的に、ラケットを選ばないラバーだと思います。アウター、インナー、五枚合板、七枚合板、攻撃用、守備用と、それぞれ三十分ほどですが二十種ほど打ち比べてみたものの、「この組み合わせだけはあり得ない!」というような構成は特にありませんでした。
 ただ、先述したように、選手のパワーがそのままボールのスピードとなるので、「翔龍 + 弾む特殊素材ラケット → 前陣プレー」などとなると、ラバーに力を乗せる前にボールがはね返り、棒球ばかりが出る恐れも。スポンジの食い込みのおかげで硬さや扱いづらさはあまり感じませんので、プレースタイルに合わせたラケット選びをすればいいと思います。

 ちなみに個人的なオススメは、球持ち系の木材ラケット、あるいはインナー。
 プラスチックボールの特性もあるのでしょうが、特に柔らかい木材との相性がよく、ぐっと掴んでからスピードのあるボールを放つことができるので、ドライブが安定しますしコントロールもしやすかったです。グル―時代に天極を使っていたヒノキ単板のペンドラに使わせたところ、「めっちゃいい! これいい! ちょうだい!」と言われ、特厚の方を半ば無理やりに持って行かれてしまいましたw

 同じヤサカ製品なら、馬林ソフトカーボンなんか合うんじゃないでしょうか。
 WRMのラインナップから挙げるとするなら、銀河のE-4や火山岩、androの和の極-蒼-などですかね。
 私ははじめ、特厚を天王星に貼りましたが、威力は出るもののやや球持ちに欠ける感じがして、しばらくしてから厚めの檜五枚合板に貼り替えました。するとこれがベストマッチ。天王星に比べ、ややミート系の打法がやりにくくはなりましたが、フォアと裏面ドライブの回転、変化、安定感が増し、前・中陣で反転を多用しながらプレーする私のスタイルには合っているように感じました。
 現代的な速攻ではなく、前・中陣でのドライブを重視する方は、球持ち系合板 + 翔龍 の組み合わせがオススメです。

■おすすめプレーヤー
 自分の力でボールを飛ばしたい選手。
 食い込みのいいスポンジのおかげか、力を込めれば込めるほどボールの威力となってあらわれるので、自分の力でボールをコントロールしたい人に向いてます。テンション系は勝手に飛んで行ってしまうラバーが多く、打ち合いが単調になりがちですが、翔龍はほとんど自分の力でコントロールできますので、「弾道や威力にもっとバリエーションが欲しい」という方にはうってつけのラバーでしょう。
 粘着のような癖が少ないのもオススメの理由で、打球感自体は硬めのテンションラバーとさほど変わりません。使いこなすにはある程度パワーが必要ですが、指導している高校の女子生徒何名かに使わせたところ「使いやすい」と答えた選手もいましたので、従来の粘着のようなマッチョ仕様ではないようですね。
 普段から粘着テンションを使っている人で、使いにくさを感じている人にもいいかもしれません。Maze proブルースポンジなどとはまた違った傾向のラバーでありますが、フルスイングした時の感触と、粘着とは思えないあのスピードは正直、やみつきになります。
 あとは、ペンドラ。グルー時代に天極を使っていた人にもオススメです。先述したように、彼は私からラバーを強奪するくらい気に入ったわけですから、きっとヒノキ単板では使いやすいのでしょう。でも盗むのはよくないと思うんだ。うん。

■まとめ
「塗った天極」は言い得て妙。といっても粘着のような使いにくさはなく、テンションラバーから移行しやすいラバーです。プラスチックボール対応ですから、当然、プラでも十分な回転・威力が得られます。力加減がシビアですが、裏を返せば自分の力で打球できるということ。昔、コーチに「ラバーにプレーさせられるんじゃない、ラバーを使ってプレーしろ」と注意を受けたことがありますが、ふとそんなことを思い出しました。
 ちなみに私、このスピード性能に惚れ込んで、本職での使用を決めました。全力で打ったボールが、えげつない弾道で相手のコートに突き刺さる様は、筆舌に尽くしがたい感動があります。この弾道・スピードは従来の粘着ラバー、テンションラバーではとても得られないものですね。

 粘着らしいいやらしさは影を潜めてしまっていますが、それは使いやすさとトレードオフ。テンションでもなく、粘着でもない。WRMに多くラインナップされてる粘着テンションラバーと同様、この「翔龍」も、プラスチックボール時代の一つの選択肢として、独特の個性を放つラバーとなるのではないでしょうか。値段も、店頭割引価格で三千円強。是非、高騰するテンションラバーの群れの中を、この「翔龍」に駆け抜けていってもらいたいものですね。
 以上、長文・乱文失礼しました。