
投稿者:ザーシー
[自己紹介]
・卓球歴 約10年
・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。
[レビューする商品名]
オメガVIIツアー
[使用環境]
【使用環境】
・使用ラバー
オメガVIIツアー MAX 赤
・使用ラケット
柳承敏G-MAX
吉田海偉
馬林エキストラオフェンシブ-中国式
幻守-中国式
ティモボルALC-ST
インナーフォースALC-ST
J.O.ワルドナーOFF-ST
パーソンパワープレイ-ST
松下浩二-ST
[はじめに]
・第一印象
オメガVIIツアーはXIOM(エクシオン)から発売されているスピン系テンション裏ソフトラバーです。
オメガシリーズといえばXIOMのフラッグシップラバーシリーズで、代々続いてきたナンバリングは現在「VII」=「7番目」が与えられています。
かつてはシグマシリーズも存在しましたが、現在はドップ向けのオメガシリーズとコスパ重視のヴェガシリーズの二本柱が国内向けに販売されています。
そんなオメガVIIはスポンジ硬度47.5°の「プロ」、42.5°の「ヨーロ」、52.5°の「アジア」、55°の「ツアー」の4種類がラインナップされており、今回レビューするオメガVIIツアーはシリーズ最新作でスポンジは最高硬度となります。
韓国の鄭栄植選手がオメガVIIアジアを使用しているそうですがオメガVIIツアーを今後の使用に向けて試しているとの噂もあり今後の展開が気になります。
トップシートはやや濁りがあり硬度55°のスポンジと組み合わせているのでラバー全体はかなり硬い印象を受けます。
またXIOMのブランドイメージとして定着したブラックスポンジからは重厚感のようなものが感じられて個人的には好みです。
テナジー05ハードを試打したばかりなので同じハードヒッター用のオメガVIIツアーとの違いに注目していきます。
・基本打ち
一番強く訴えてくる特徴はとにかく硬いことです。
XIOMのラバーはオメガIIIの頃から度々試打をしてきましたが全体的に国内メーカーよりも硬い印象を受けます。
しかし今回のオメガVIIツアーはこれまでのどのXIOMラバーにも増して硬い印象を受けました。
ある程度インパクトが強くなければラバー表面でボールが落ちてしまい、芯を捉えて食い込ませなければネットへ一直線に向かってしまいます。
基本のラリーとは言えども強いインパクトで芯を捉えて打つことが大前提で設計されたラバーだと感じました。
また打球感がかなりハードで特殊素材ラケットとの組み合わせでは個人的には手の平に苦手な感覚を覚えました。
基本のラリーでは何とか狙ったコースにボールを送ることができましたが少しでもインパクトが弱いとあらぬ方向へボールがふっ飛んでしまいます。
[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
・ドライブ
シートの引っ掛かりは申し分なくラザンターR47やテナジー05と比較しても遜色がないほどグリップ力があります。
強烈なドライブ回転がかかりますがやはり強くインパクトして擦り上げなければ狙ったコースを大きく反れてオーバーミスするか、棒球になってしまって相手に打ち込まれてしまいます。
スイング、インパクト、打つ体勢が整った状態であれば一撃でぶち抜くドライブを打つことができ、その回転やスピードによる破壊力はテナジー05を凌ぎますが、何発も連打することが難しいです。
ドライブに関しては一撃の威力重視のハードヒッター専用と謳ってしまっても過言ではありません。
一撃の威力の最大値をとるならオメガVIIツアー、回転重視ながらドライブの連打で攻めるならテナジー05やラザンターR47、その中間でテナジー05ハードを選ぶと良いと思いました。
初心者は勿論、中級者やハードヒッターでない方はなかなか使用は難しいかと思われます。
また全体的にドライブの弧線が低くループドライブでも低い弾道のボールになるのでネットミスが怖いですが、相手コートに収まれば低いバウンドでボールが台を跳ねていきます。
相手を大きく崩すことができるので非常に強力ですが、やはり連続してドライブを狙ったコートへ打つことは難しいです。
バックドライブは弾道が低いのでテナジー05よりも面を開き気味で被せないようにスイングする必要があります。
また深いコースを狙うことは難しい印象ですが、浅いボールでもバウンドが低いので得点率は意外と高いです。
裏面ドライブはフォアドライブよりも強くボールに当てることが難しくインパクトが弱くなってしまうのでもっと軟らかいラバーの方が適していると思います。
個人的にはオメガVIIツアーを裏面に選ぶ理由はないと判断しました。
・スマッシュ
ラバー自体が硬いので食い込ませるのではなくバチっと弾くスマッシュになります。
直線的な弾道でスピードが速い表ソフトのような弾道のスマッシュボールになります。
ただドライブ同様にインパクトが強いことが前提なので、スイングに勢いがないとラバー表面でボールが落ちてしまいます。
またスマッシュの一発の威力はオメガVIIツアーが最大ですがやはりドライブ同様に2本、3本と連続してスマッシュを打つことが難しく、連打よりも一撃の破壊力を重視する方にオススメです。
[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
・ブロック
相手の強打に対するブロックは、球威があるボールがラバー表面に食い込むので安定して返球することが可能です。
また弾道が低いボールが返るので相手のミスを誘いチャンスボールに繋げやすいです。
しかし相手の軽打や回転が控えめのいわゆる弱ドライブに対するブロックは硬いラバー表面でボールが落ちてしまいます。
球威の弱い相手ボールに対してはプッシュなど自ら食い込ませ気味に打った方が無難に返球できます。
カウンターでは相手の球威に自分の球威を足し算できるのでしっかりとボールがラバーに食い込み、破壊力のあるカウンターボールを打つことが可能です。
ラザンターR47やテナジー05のカウンターも相手の回転に自分の回転をかけ返すことが可能でしたが、オメガVIIツアーはその特徴がより際立つのでカウンターに適したラバーだと思います。
また下手にブロックで凌ぐよりは思いきってカウンターで打ち込んだ方が得点率が高かったので、攻撃型の戦型の中でもよりオフェンシブなプレースタイルの方に好まれると思います。
・ツッツキ
引っ掛かりが強くラバーが硬いので中国製粘着ラバーのような強く切れた鋭い角度のツッツキを打つことができます。
しかし前後の調整や左右の打ち分けが難しくコースを狙うことが難しい印象を受けました。
テナジー05やラザンターR47のツッツキの方が同レベルの下回転で安定感があり狙ったコースを突くことができます。
・カット
グリップ力が強いのでよく切れて強い下回転が掛かったカットボールを打つことができます。
しかしツッツキと同様に前後左右のコントロールが難しくオーバーミスが多くなる印象を受けました。
カットの方が思いきってスイングできるのでツッツキよりもボールを食い込ませることができますが、コースの安定性に欠け相手コートに納めることが難しいです。
やはりオメガVIIツアーはドライブなどの攻撃的プレーに向けて設計されたラバーだと思います。
[サーブ・レシーブ・台上技術]
・サーブ
グリップ力が強く硬いラバーなので粘着ラバーのような感覚でサーブを打つことが可能です。
特にスピン系ショートサーブでは強い回転がかかるので強力ですが、軟らかく食い込みの良いラバーでのサーブに慣れた方には同じスピン系テンションであるオメガVIIツアーの独特の切る感覚を掴むことが難しいです。
ラバー自体が硬いので回転を掛ける前にボールが弾んでしまうことがあるので注意が必要です。
またロングサーブは当たりが弱いとボールが浮いてしまいオーバーミスに繋がりやすいです。
テナジー05ハードで上手くサーブを打てるかどうかがオメガVIIツアーでのサーブの判断材料になると思います。
・レシーブ
チキータレシーブは相手のサーブでの回転に、より強い回転を上書きすることが出来て威力があり食い込みも強いので安定性が増して好印象でした。
またペンホルダーのバックプッシュでのレシーブが安定性抜群で返球率が高かったです。
・台上技術
フリックはやや落ちやすい印象を受けました。
またストップはラバー表面でボールが余計に跳ねてしまうので勢いを殺すことが難しいです。
レシーブ同様にチキータは威力と安定性が共に抜群なのでチャンスメイクにも繋げやすく、チキータ対チキータの台上合戦も強気で望むことができます。
[おすすめな方]
上級者のなかでもハードヒッターで、攻撃戦型の中でもよりオフェンシブなプレースタイルの方におすすめです。
軽打よりもドライブやスマッシュ、ブロックよりもカウンター、ツッツキやフリックよりもチキータといった、好印象だったプレーが全て攻撃技術なので攻撃専用ラバーだと思いました。
また一発の威力の最大値を重視したぶち抜きドライブはテナジーを凌ぐ破壊力で強力ですが、2、3本と打つ度に体勢が崩れてインパクトも弱くなるので連打には向きません。
一発の威力を重視しラリーではなく短期決戦での得点が得意なラバーなので、10mm桧単板ペンホルダーやカーボン系の特殊素材ラケットとの組み合わせが適していると思います。
[まとめ]
XIOMのオメガシリーズはスピン系テンションラバーへの転換期に国内に流通し、以降テナジーと並走しながら性能を年々アップさせてきた印象でしたが、オメガVIIツアーは一発の破壊力を重視した独自性の際立ったラバーだと思いました。
ラリー重視の連打プレーにはテナジーの方が向いていますが、一撃の威力はオメガVIIツアーの方が上回っている印象を受けたのでより攻撃向けに設計されていると感じました。
鄭栄植選手の活躍とともに今後のオメガシリーズのタイトル獲得に注目していこうと思いました。