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投稿者:くろかみ

[自己紹介]
  高2、中ペン裏裏、5回戦負けレベル。今回紹介するQ5は、今年ITS三鷹で開催されたメーカー合同試打会にて好感触を得て購入に至ったラバーです。こういった試打会が頻繁に行われるようになることを切に願っております。

[レビューする商品名]
  ミズノ   Q5   2.1mm

[使用環境]
  使用したラケット

  インナーフォースレイヤーZLC-cs
  オフチャロフトゥルーカーボン
  970XX KLC

[はじめに]
  メーカー説明文↓
  独自開発のスポンジにより”食い込みの良さ”と”反発力”の両立を実現。さらにエネルギー効率を高めた日本製トップモデルラバ

  「Q5」は2019年にミズノ社から発売されたスピン系テンショラバーです。住友理工と共同開発し、独自の打感と性能を持った日本製のQシリーズの中でも更にハイエンドに位置するミズノのトップラバーとなっています。メーカーはQ5のバランスやエネルギー効率に自信があるようですが、果たして。
  さて、紫×ゴールドの高級感漂うパッケージを開封すると、中から独特な臭いの本体が出てきます。ゴムは曇り系ですが、ドイツ製やタマス製とは全く違う触り心地を感じます。引っかかりはかなり強いのに、硬さや厚みはあまり感じません。似ているとしたらQ4か、テナジー80あたりでしょうか。スポンジは濃い紫色で、気泡がきめ細やかなみっちりタイプです。テナジーやラクザほどの弾力は感じず47.5度相応の硬さもあります。球突き時の弾みもヘキサーパワグリくらいのやや落ち着いたものでした。
  重量は中ペンフォア面で47gと、硬めスピンテンションとしては普通です。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  0   基礎打ち、軽打
  球突き時の感触と同じくコート深くには入らないものの、軽いタッチでも落ちることなく少し食い込んで飛んでいくので、触った時の硬さほどには感じませんでした。引っかかりが強く、若干シートがぺちゃっとした打感がしてドイツ製テンションとは全く異なるテイストなのが分かりました。また筆者には硬すぎますがバックでも試してみました。吹っ飛ぶ感じが無く、程よい弾きのバランスと簡単に弧線を描いてくれることで安定していました。フォアよりバックにQ5を使用する選手を多く見ますが、前陣でコンパクトに回転を掛けられるので納得です。

  1   ドライブ   9.0点
  程よい硬さのスポンジと強烈なシートの引っかかりによって、チョリドラからバチバチ、様々な場面で楽に入れることができました。過去ドライブが強い、として紹介したテナジー、ラクザ、ターゲット等と比べると球威や飛距離は劣りますが、弱いインパクトでも擦って打てるため、下から上のスイングになりがちな筆者でも安心して実戦で振っていけました。充分な回転量に加え弧線はやや低めでバウンド後に沈むような弾道になるので、カウンターされづらい球質になります。ロングボールだと浅く入って押されることもありましたが、下回転打ちにおいては持ち味がフルに発揮され、質の高さと安定感を両立できていました。1発で抜くよりはループから粘っていく使い方に向いているでしょう。

  2   カウンター   10点
  満点で良いと思います。引っかかりが強く、台の収まりも良いので、まるで粘着のようなカウンターの安定感があり、非常にやりやすかったです。前で軽く被せても後ろから振っても回転負けせずに持っていけるので、ミスを恐れず攻撃的にプレーできました。逆にフラット系のカウンターは相手の回転をまともに食らうので難しかったです。

  3   スマッシュ、フラット系   7.0点
  弾きは悪くないのですが、スピードが乗らないため得点力に欠けました。シートが敏感なのでコントロールも難しく、Q3やテナジーに比べると評価は落ちます。

  攻撃技術全般
  回転量 MX-P=80<05≦Q5
  スピード MX-P≦Q5<80<05
  コントロール 80<Q5<05=MX-P

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  1   ブロック   6.0点
  強回転ドライブが来ても"チップして落ちる"ことはないのですが、普段の角度で行くと吹っ飛ぶので注意が必要です。このラバーに関しては恐る恐る当てるより被せて合わせる方が安定すると思います。

  2   ツッツキ   9.0点
  このラバーを使ってまず驚いたのが、ツッツキしようとして最初の5球くらいを全部ネットミスしたことでした。笑ってしまうくらいボトッと落ちるので、この敏感さと面の角度には慣れなければなりません。これを掴むとツッツキはお手の物で、台上で弾まないおかげで強く切りに行きやすく、しっかりと上書きするとバウンド後沈んで粘着のような軌道が出ます。

  3   カット   9.0点
  下回転を打った時に低い軌道になる、という特徴を生かしてカットは素人でも引きやすかったです。以前Q4を使用しているカットマンからラケットを借りて打った時カットがとても安定した覚えがあり、それに比べるとQ5は球離れが早いために、その分安定感は落ちると思います。

  守備技術全般
  やりやすさ 80=Q5<05<MX-P

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  1   サーブ   9.5点
  最近のハイエンドはシートがピンピンに張っていてインパクトが無いと回転をかける前に飛んでいってしまうイメージがありましたが、Q5は強く引っかかってかつ飛んでいかないので、非常にコントロールしやすかったです。逆にドナックルは出しづらくなりますが、スイングの印象より実際は掛かっているというシーンが増えました。

  2   レシーブ   9.0点
  シートの敏感さに慣れるかどうかで変わってくるでしょう。台への収まりがいいので面の角度さえ掴めば楽に返球できます。

  3   ストップ   9.0点
  止めようとしなくても早い打点で合わせれば勝手に下回転をかけて止まってくれるので、ストップからの展開が安定していました。 ツッツキ同様上書きしやすいですね。

  4   フリック   8.5点
  硬めかつテナジーやMX-Pより弾きがいいので、いつもより手応えが良くやりやすかったです。

  5   チキータ、台上ドライブ   8.0点
  下回転を持ち上げるのに苦労しましたが(筆者のインパクトが弱いだけです)、グッと回転が掛かって伸ばせました。大島裕哉選手もチキータの質を求めてバックをQ5に変更しましたし、トップ層の選手でも前陣でしっかりグリップしてくれる感覚を味わえると思います。

  台上技術全般
  80=MX-P<05<Q5

[おすすめな方]
  前中陣で、スピードや飛距離より回転とグリップ力を重視したチョイスをしたい方におすすめです。インパクトのある方ならバックでもバランスよく使えると思います。サーブやツッツキの切れ味、ループドライブの弾道、いずれもドイツテンションには見られないもので、プレースタイルによってテナジー超えするスペックを有しています。
  合わせるラケットは試打した中ではインナーZLCがベストチョイスでした。フォルティウス系列もかなりマッチしていました。

[まとめ]
  個性があり、トップレベルの性能がある。これからいつまでQ5はこのポジションを独占するのでしょうか。引っかかりがあり、じゃじゃ馬でもない、ハイエンドなのに中級者でもコントロールできる心強いラバーです。価格が高いこともあり筆者が思ったより売上は伸びていないようですが、試打会で1発で心を射抜かれたQ5の性能を是非体感してほしいなと思います。