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投稿者:ザーシー


[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

[レビューする商品名]
  張本智和 インナーフォース ZLC-FL

[使用環境]
  ・使用ラバー
  デイグニクス05
  ディグニクス09C
  テナジー05ハード
  アイビス
  ラザンターR48
  キョウヒョウネオ3ターボブルー
  インパーシャルXB
  Grass D.tecS

  ・使用ラケット
  張本智和 インナーフォース ZLC-FL

[はじめに]
  張本智和 インナーフォース ZLCはバタフライから発売されているインナー特殊素材ラケットです。
  張本選手の現在の使用モデルはアリレートカーボンを搭載した張本智和インナーフォースALC(以下:張本ALC)
  です。
  それから約1年後の2020年の新製品ラケットとして張本智和インナーフォースSUPER ZLC(以下:張本SUPERZLC)と張本智和インナーフォースZLC(以下:張本ZLC)がラインナップされました。
  ※余談ですが2020年新製品ラケットは張本SUPERZLC(\38000+税)、張本ZLC(\25000+税)、そしてレボルディアCNF(\25000+税)を含むと3本で(98000円+税)となります。
  高性能ラケットの高額化は天井知らずですね。
  そんな3本の中では最もお手頃(!?)な張本ZLCを今回はレビューします。
  バタフライには張本ZLCとは別にインナーフォースレイヤーZLC(以下レイヤーZLC)というラケットがあります。
  この2本の主な違いはブレードサイズで張本ZLCが158×152mmで俗に言うコルベルサイズ、レイヤーZLCが157×150mmで俗に言うディモボルサイズとなっています。
  過去にラインナップされていた旧インナーフォースZLCのブレードサイズも158×152mmでしたが廃盤となり、リニューアルモデルのレイヤーZLCはブレードが157×150mmへとサイズダウンした為、コルベルサイズだった旧インナーフォースZLCの復刻を求める声も少なからずありました。
  今回新たにラインナップされた張本ZLCは旧インナーフォースZLCとブレードサイズが共通でブレード厚の5.7mmも同じです。
  ※補足ですが旧インナーフォースALCとレイヤーALCはどちらも157×150mmでブレード厚が0.1mm異なります。
  張本ALCのみ158×152mmで張本智和シリーズはコルベルサイズで統一されています。
  レイヤーシリーズはディモボルサイズで統一されています。
  またグリップは張本シリーズ共通のアシンメトリーデザインに小さめのエンブレムが配置されています。
  先にレビューした張本ALCとの特殊素材による比較や、レイヤーZLCとのサイズの違いが与える変化などを意識してレビューしていきます。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  約10年前に初めて旧インナーフォースZLCを打ったときはこんなに弾むラケットがあるのかと驚きましたが(アウターのZLカーボンを打ってさらに驚きましたが…)プラボール化で球速が遅くなり特殊素材ラケットが主流となった現在では、インナーZLカーボンの張本ZLCはよく弾みながらも安定性も兼ね備えている印象です。
  ZLカーボン搭載ラケットですが弾みを活かしてガンガン攻め込むというタイプではなく、しっかりラバーでボールを擦って回転をかけた上に威力を乗せて打ち込むといった印象のラケットです。
  張本SUPERZLCはハイスペック過ぎて比較するのも難しいのですが、同価格帯の張本ALCと比較すると張本ALCの方が多少弾んで球離れが早く感じます。
  レイヤーZLCと比較すると球の速度は同程度であるものの張本ZLCの方が球持ちが良いと思います。
  水谷隼ZLCのようなアウターZLカーボンを使用していて、球持ちのよさを求めてレイヤーZLCを試打したものの、あともう一歩安定性をプラスしたい方には張本ZLCは最適だと思います。
  バタフライのZLカーボンラケットの中では最も球持ちが良いラケットなので初めてZLカーボンを使う方にも張本ZLCは使いやすいと思います。
  ディグニクス05やラザンターR48のような回転重視のスピン系テンションとZLカーボンラケットは王道の組み合わせですが、張本ZLCはより強い回転をかけたいと方にも最適です。
  とくにディグニクス09Cとの組み合わせは秀逸でドライブの速さや勢いは二の次でとにかく回転量で勝負する方には最適な組み合わせの1つだと思います。
  球持ちが良く回転がかけやすい反面、球速が遅い球しか打てないわけではありません。
  面をフラットに開いてボールを捉えて強くインパクトすればカーボンラケット特有の早い球離れを活かして威力のある強打を打つことが可能です。
  スピンとスピードのどちらかと言えばスピン重視の戦型に適したラケットですが、威力のある強打が欲しいときにはカーボンの弾みを活かせるのも張本ZLCの強みです
  。
  元々旧インナーフォースZLCは中国女子最強選手の1人だった張怡寧選手が使用していたラケットです(別名:張怡寧ZLC)。
  長年木材ラケットを使用していた張怡寧選手が打球感はそのままに威力アップを求めて使用していた旧インナーフォースZLCと張本ZLCは同スペックのラケットです。
  張怡寧選手がトップの座に君臨していた当時よりも、ノングルー化、プラボール化といったプレー環境の変化はありますが、同スペックの張本ZLCは回転重視のプレーには折り紙付きの性能を発揮するラケットだと思いました。
  回転重視のインナーラケットと言えば、同じコルベルサイズの張本ALCや、板薄のレイヤーALC.S、カーボン無しのレイヤーZLFも候補に上がりますが、球速と回転の両立を求めるなら張本ALCと張本ZLC、その2本でスピード重視のプレーなら張本ALC、回転重視のプレーなら張本ZLCが適していると思います。

  【速度】
  レイヤーALC>張本ALC>レイヤーZLC>張本ZLC>レイヤーALC.S>レイヤーZLF

  【回転のかけやすさ】
  レイヤーZLF>レイヤーALC.S>張本ZLC=レイヤーZLC>張本ALC>レイヤーALC
  といった印象です(個人の感想です)

  また張本ZLCはバックドライブの球持ちが良くカーボンラケットとは思えないほど回転がかけやすいです。
  球持ちが良く安定性を保ったまま回転をどんどん強くかけることが出来るのでバック対バックの引き合いには抜群の強さを誇ります。
  木材ユーザーや中級者が張本シリーズへ移行する場合、張本ZLCであれば回転がかけやすく制御可能な範囲で威力アップも図れるのでおすすめです。
  しかし張本ALCはどういう訳かそこにプラスアルファのスピードや弾み、球離れの早さが加わるので一気にハードルが高くなります。
  張本シリーズへの移行の拘りがある場合は木材ラケット→張本ZLC→張本ALCやアウター特殊素材へのステップアップがベストだと思います。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  同じ合板構成で158×152mmのコルベルサイズと157×150mmのディモボルサイズのラケットを比較した場合、ほんの1〜2mmの違いで大きく変わる打球感や球持ち球離れに驚かされます。
  特にブロックはその違いが大きく影響する技術です。
  張本ZLCは大きな面でボールを捉え相手の球威を抑え込めるもの相手の回転の影響をモロに食らってしまいます。
  勢いを殺すことは得意なので相手の回転を上手く利用できればブロックで安定した返球が可能です。
  レイヤーZLCは張本ZLCと数ミリブレードサイズの小さく設計されていますが張本ZLCよりもインパクト後の球離れが早くピッチの早い返球になるものの相手の球威を真正面から食らうとオーバーミスをしたり、勢いを殺しすぎるあまりネットに引っ掻けてしまうといったミスに繋がります。
  相手の回転を上手く利用できるなら張本ZLC、相手の球威に対する微調整が上手い方にはレイヤーZLCが適していると思います。
  しかしカーボンラケットでのブロックの多様はなかなか厳しいので攻撃に転じる機会を伺うほうが得策かと思います。
  ツッツキは木材ラケットと比較するとインパクトの際にやや球が浮くものの特殊素材ラケットの中では回転をかける時間が長く、切る切らないの緩急もつけやすいです。
  張本ALCもツッツキはかけやすく切れるラケットでしたが、張本ZLCはそれをやや上回る切りやすさでした。
  攻めも守りも回転への意識が重視されるラケットだと思います。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  木材ラケットや非カーボン特殊素材よりは球離れは早いもののカーボンラケットの中ではサーブの回転がかけやすいラケットだと思います。
  張本シリーズもインナーフォースレイヤーシリーズも、インナー特殊素材なのでサーブへの回転はかけやすい合板構成ですが、ブレード面の大きい張本シリーズの方がよりサーブの回転はかけやすく多彩な回転を作り出すことが可能です。
  木材ラケットから特殊素材ラケットへ移行すると基本の下回転サーブも慣れるのに時間がかかりますが、張本ZLCはそこまで時間がかからずに下回転を切ることができました。
  またバックドライブでの球持ちの良さと回転のかけやすさを活かして回転量の多いチキータを打つことが可能です。
  チキータは弾みの強さ重視のカーボンラケット全盛期にはあまり多用されず、弾み+安定性を兼ね備えたインナー特殊素材やZLカーボンのようなハイブリッド特殊素材が浸透したタイミングで流行しました。
  ちょうどチキータが流行り始めた頃に多くの選手に選ばれていた旧インナーフォースZLCと同じスペックなので、レシーブからチキータで攻める攻撃的なプレーにも適したラケットです。
  3球目やチャンスボールのみならず、レシーブや台上でのチキータや緩急をつけたツッツキなど全ての場面で攻めを意識したプレーを求める現代卓球には最適なラケットだと思いました。

[おすすめな方]
  回転がかけやすく安定性の高いカーボンラケットを求める選手におすすめです。
  木材ラケットや非カーボンラケットでは威力不足を感じているものの、カーボンラケットが上手く制御できるが不安な方には張本ZLCの球持ちの良さと回転のかけやすさは強い見方になると思います。
  同じインナー特殊素材の張本ALCよりも弾みが抑えられていて、レイヤーZLCよりも大きい面によりボールの勢いを上手く殺すことでこちらの回転が抜群にかけやすい設計になっています。
  一度ZLカーボンを手に取り上手く扱えず断念した方にも張本ZLCの高い安定性と回転性能、そしてフラットに強打した際のボールの威力を試して頂きたいです。
  回転重視のプレーで積極的に攻める方に最適なラケットの1つだと思いました。

[まとめ]
  同じスペックの旧インナーフォースZLCが廃盤となり、面をサイズダウンさせたレイヤーZLCがラインナップされても復刻を求める声が多かったことに納得しました。
  数ミリ単位の設計による小さな違いかもしれませんが、繊細な感覚がプレーを左右する卓球においてはこの数ミリ単位の拘りが重要なのだと感じさせられました。