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投稿者:ザーシー

[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

[レビューする商品名]
  TRIPLE Double Extra(VICTAS)

[使用環境]
  ・使用ラバー
  TRIPLE Double Extra 黒 MAX

  ・使用ラケット
  吉田海偉
  馬林エキストラオフェンシブ-中国式
  幻守-中国式
  KOKI NIWA WOOD-FL
  張本智和インナーフォースALC-FL
  松下浩二-ST

[はじめに]
  TRIPLE Double Extra(トリプル ダブルエキストラ)はVICTASから発売されている強粘着性裏ソフトラバーです。
  2020年12月の新製品として発売されたTRIPLE Double ExtraですがTRIPLEシリーズと聞くとTSPから発売されていた微粘着ラバーの名作を思い浮かべる方も多いと思います。
  昨年10月頃、VICTASブランドとTSPブランドを2021年の春から統合するという発表がありました。
  元々ヤマト卓球株式会社には老舗ブランドのTSPがあり、2010年にはカットマンのレジェンドである松下浩二選手を社長に迎え、2011年にはよりトップ層を意識した用具展開のVICTASブランドが立ち上げられました。
  またヤマト卓球株式会社がXIOMの代理店だったこともあり、一時期はTSP、VICTAS、XIOMの3ブランド展開がされていました。
  TSPでは表や粒などの異質ラバーとラケットが主な売れ筋だった為、テナジーを初めとしたスピン系テンションやノングルー時代への波に乗り遅れている感が否めませんでした。
  そこでXIOMのオメガシリーズやヴェガシリーズでスピン系テンションのラインナップの存在感を高めつつ、VICTASブランドからもV>401やV>15、VO>102などの高品質なラバーやFire Fallシリーズや松下浩二シリーズ、KOKI NIWAシリーズなどのトップ選手仕様のラケットが続々発売されていきました。
  その後XIOM製品は別の会社から発売されるようになり、つい最近まではTSPとVICTASという直営の2ブランド展開となっていましたが、2021年からはVICTASブランドのみとなり、TSPブランドは姿を消してしまうようです。
  そこで気になるのはTSPブランドの名作名品の今後の行方です。
  トリプル、ヴェンタス、スペクトル、スピンピップス、カールの各シリーズは名前が残りVICTASラバーとして刷新されるようです。
  ほぼ同一の性能で引き継がれるラバー(旧TSPスペクトル→スペクトルS1、旧TSPカールシリーズ→カールPシリーズ)もあれば、テンション技術等を加えて現代卓球に合わせた強化を施したラバー(スペクトルS2、S3)、これまでにない全く新しいラバー(スピンピップスD2※シート、スポンジ共に中国製)、といった製品によって大きな違いが存在し最初は戸惑うかもしれません。
  TRIPLE Double Extraを含む新TRIPLEシリーズ(新TRIPLE)は旧TSPトリプルシリーズ(旧トリプル)とは全く異なる新しいラバーとして展開されています。
  旧トリプルは日本製の微粘着性シートに日本製のスポンジを組み合わせたラバーでした。
  スポンジ硬度の豊富なバリエーションや、カットマン仕様などもあり、回転重視のドライブマンや安定重視のカットマンから卓球を初めたばかりのビギナーまで使う人を選ばない万人受けをする性能を持っていました。
  一度は使ったことがあるという方も多いと思います。
  対して新TRIPLEは中国製強粘着シートに弾みの強い中国製スポンジを搭載し、回転性能に優れた攻撃用ラバーとして生まれ変わりました。
  今回レビューするTRIPLE Double Extraは3種類あるバリエーションの中でも最も硬い57.5度のスポンジを搭載しています。
  高密度のブルースポンジということでポツポツと気泡が点在しているものの、全体としてはスポンジ繊維が密集して詰まっており強い弾力があります。
  ※TRIPLE Extraは55度の高密度ブラックスポンジ、TRIPLE Regularは42.5度の気泡が大きいレッドスポンジを搭載しています。
  またDouble Extraのトップシートは逆さにしてもボールがしばらくくっついているほどの強い粘着力を誇る中国製強粘着シートです。
  VS>402Double Extraも粘着ラバーですが、TRIPLE Double Extraの方が格段に粘着力は強いです。
  トップ選手も含め粘着テンションユーザーがどんどん増加していく中で新TRIPLEは存在感を残せるラバーに仕上がっているのかを意識して試打をしてきました。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  ・基本打ち
  打ち始めは硬くて飛ばない印象を受けましたが、コツを掴むと飛距離を出せるようになります。
  飛距離を出せる打ち方に慣れるとそれに合わせて球のスピードも速くなっていきました。
  強い粘着が弾みの邪魔になることはないもののシート、スポンジ共に中国製の純粋なチャイナラバーなので独特の打球感やクセのようなものはあります。
  普段からキョウヒョウなどのチャイナラバーを使用している方にとってはやや弾む程度に感じるようですが、ディグニクス09Cなどの中国製ではない粘着性ラバーを使用している方には、打ち方などをラバーに合わせる必要があります。
  また密度の詰まったハードスポンジは硬さで弾き飛ばす感覚でボールに速度と飛距離を与えている感覚があり、スピン系テンションの気泡の大きいスポンジの弾力があって掴んで投げる感覚とは異なります。
  VLCTASは流行りの粘着テンションを作ったのではなく、飛距離と速度を上げた現代向けのチャイナラバーを作ったんだなという感想を抱きました。

  ・ドライブ
  シートの強力な粘着力がボールを捉えることで強烈な回転を生み出します。
  TSPやVLCTASがこれまでリリースしてきたラバーの中で間違いなく最高の回転性能を誇ります。
  単純に粘着が強いだけではなく、シートのゴム質自体もグリップ力が非常に強くボールをぐっと捉える感覚があるので軽く上に擦っただけで強い回転をかけることが可能です。
  粘着力はキョウヒョウと同程度かそれ以上でチャイナラバーとして求める粘着力を満たしています。
  ディグニクス09Cと比較すると圧倒的にTRIPLEの方が粘着力が強いですが、09Cは気泡の大きいスポンジや日本製トップシートを採用したスピン系テンションをベースとしたラバーなので、純粋なチャイナラバーの延長線上にあるTRIPLE Double Extraとはコンセプトの方向性が異なります。
  ミートドライブはスポンジが硬いのでボールを食い込ませることが難しく回転がかかったとしても下に落ちたりネットに引っ掛かることが多いです。
  ほぼスマッシュのような大きいスイングから開いたラケット面をボールに叩きつけるように打てば食い込みはするものの、打球はほぼスマッシュと変わらないです。
  中国製粘着ラバーなのでミートドライブ向けのラバーではないのは覚悟していたものの、食い込ませること自体難しいと感じるほど硬く感じました。
  続いて大本命の擦るドライブですが、ミートドライブ以上の回転がかかることに加えて、ボールが物凄い勢いで相手コートに飛んでいきます。
  コンパクトなスイングで上に振った場合でもスイングの大きさからは想像出来ないほど強烈な回転がかかったボールが山なりの弧線を描いて勢い良く相手コートに突き刺さります。
  大きいスイングで上下前後に振り抜いた場合、強いを通り越してクセ回転がかかった速度が速いボールが低めの弾道を描いて飛び出していきます。
  相手コートで低くバウンドしたボールはさらに深く沈みこんでクセ回転もかかっているので、相手をしてくれた方は非常に取りづらいと仰っていました。
  裏面ドライブでは高密度のハードスポンジの球持ちが悪く擦り上げる角度が悪いとネットに引っ掛かってしまいます。
  またシェークのバックドライブもフォアと同様にミートよりも擦り上げるスイングが求められるので、フォア以上にボールが落ちやすくバック向きではないように感じました。
  バックに使用するならば硬度を落としたTRIPLE Regularなどが適していると思います。
  また、TRIPLE Double Extraのドライブを自分も受けてみましたが当てるだけのブロックではほぼあらぬ方向へボールが跳ね返ってしまい返球がうまくいきません。
  相手のドライブは速度が速い上に弾道にもクセがあるので、ブロック側はラケット面を合わせるだけでも大変です。
  またドライブの重いクセ回転がブロック側のラケット面にダイレクトに当たるので、相手ボールを捉えた瞬間の面の角度の調整や押し負けない強さが求められます。
  ここまで返球しにくいドライブを連発できるTRIPLE Double Extraは粘着テンションが主流になりつつある現代卓球に更なる衝撃を与えると思います。
  ドライブ対ドライブの引き合いの場面では強粘着とグリップ力の強さを活かして相手の回転により強い回転をかけ返すことが可能です。
  また硬いスポンジのお陰で打ち負けにくいというメリットもあるので両ハンドドライブマン同士の試合でも強気に臨むことができます。
  長らくTSPは表と粒だけと言われていただけに、VICTASブランドからここまで回転性能に特化したラバーがリリースされたことは個人的に嬉しかったです。

  ・スマッシュ
  スポンジが硬く食い込ませることが難しい為、面を大きく開いて大きいスイングで強くインパクトすることで速度のあるスマッシュを打つことができます。
  球離れが早いので硬いスポンジでボールを弾き飛ばすような打球になります。
  またラバーが硬く重いのでスマッシュ対ロビングの場面で相手に粘られると思った以上に腕がやられます。
  重いラバーでのスマッシュの連打の際に、相手にわざと打たされている場面だと想像以上にスタミナを消耗して苦しい展開になるので、一度ボールを擦りあげて強烈な回転のループで緩急をつけて展開を仕切り直すことも有効だと思います。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  ・ブロック
  当てるだけのブロックの場合スポンジが硬く重いので相手の強打に打ち負けにくいというメリットがあります。
  しかしチャイナラバー特有の強粘着シートにより、相手強打の回転をモロに食らってしまうデメリットも持ち合わせています。
  転じてラケットを横に振るサイドスピンブロックや面を被せ気味にして前方に打球する上回転ブロックなどは相手の回転にこちらの回転を加えることができるのでその後の展開に繋げることができます。

  ・ツッツキ
  チャイナラバーなので強く切れた下回転をかけられることはもちろんですが、TRIPLE Double Extraでのツッツキは短い打球になる傾向があります。
  ツッツキ対ツッツキの場面ではこちらのツッツキがだんだん短くなってくるので相手をネット際に引きずり出すことが可能です。
  逆に深くツッツキを打つ場面はオーバーにならないように調整するのがやや難しく感じました。

  ・カット
  ペンのカット性ショートではツッツキ同様に良く止まる性質を活かして短いカットボールを打つことができます。
  ペン粒との相性も良く、下に切れば止まる、上に擦れば飛ぶという二面性が理想的なレベルで両立されていると感じました。
  またシェークでのカットの場合、強烈に切れたクセのあるカットボールを打つことができます。
  硬い高密度スポンジのお陰で相手のドライブ強打にも打ち負けにくいのでカット対ドライブの場面ではこちらのペースでガンガン切ってミスを誘うことができます。
  VICTASにはタキファイアドライブにグルーを塗った感覚に近い性能で話題になったVS>401が存在しますが、新しいTRIPLEシリーズの登場によりチャイナラバーを貼っているカットマンのニーズにも応えられるラインナップになりました。
  また新しいカールシリーズやスピンピップスD3(スーパースピンピップスチョップスポンジ2の後継品)、松下浩二シリーズやYuto Muramatsuなど、ラバー、ラケット共にVICTASはカットマンへの磐石なラインナップを固めたと思います。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  ・サーブ
  強粘着を誇るチャイナラバーなのでサーブの回転のかけやすさは折り紙つきです。
  粘着テンションの中には弾みが強くなった分、回転が掛けにくかったりショートサーブが伸びてしまったりするラバーもあるのですが、純粋なチャイナラバーであるTRIPLE Double Extraは回転の掛けにくさや伸びる感覚はありません。
  長年チャイナラバーを使用してきた方は勿論、強く切れたサーブの感覚を掴む練習をしている中級者の方にもおすすめです。

  ・レシーブ
  ツッツキやストップが短く止まるので相手の下回転サーブに対する展開の作りやすさを持っています。
  また下回転サーブからのダブルストップなどにも対応出来るため相手が下回転サーブを使ってくる間はほぼ優勢を保つことができると思います。
  相手のロングサーブに対しては強粘着シートのお陰でこちら側の強い回転をかけ返すことができる為有効ですが、フラットに当てにいってしまうと相手の回転をモロに食らってしまいます。
  レシーブからのポイントでもこちら側の回転から展開作りをする気持ちが求められるラバーだと思いました。

  ・台上技術
  ツッツキやストップが良く止まるので使う場面も多く非常に有効です。
  またペンのカット性ショートや被せ気味に打球するプッシュなども回転が作りやすく使いやすいです。
  チキータは回転はかかるもののバックドライブ同様に角度がシビアで落ちやすいので、得意な技術ではないように感じました。

[おすすめな方]
  弾みを強化したチャイナラバーはこれまでも度々リリースされノングルー直後はまともに使えないものもありましたが、ここ最近リリースされたものに関してはグルーを塗ったチャイナラバーに近いものもありました。
  しかし粘着テンションブームの波によって、粘着ラバーが再注目されたことの嬉しさの影で、純粋なチャイナラバーの血統は途絶えたかのようにも見えました。
  しかしTRIPLE Double Extraはシートやスポンジはもちろん製造まで中国で行っている純血なチャイナラバーでありながらここまで高いパフォーマンスを誇ります。
  今後のチャイナラバー市場の指針となる決定版と言っても過言でないほど完成度が高いTRIPLE Double Extraは、全てのチャイナラバーユーザーに試して頂きたいです。
  粘着性ユーザーの中には粘着テンションの速いボールではなくチャイナラバーのクセ球を求めている方が必ずいらっしゃると思います。
  長年のチャイナラバーユーザーだけでなく、チャイナラバーに興味を持っている方や、これからチャイナラバーに挑戦したい方、粘着テンションが合わない方にも試して頂きたいです。

[まとめ]
  VICTASブランドへの一本化やTSPの名作用具のリニューアルには正直言って戸惑いや疑念のようなものを抱いておりました。
  特に微粘着の名作であるトリプルシリーズが、名ばかり同じで全く方向性の異なるチャイナラバーへ刷新されると聞いた際には寂しさや驚きを覚えました。
  しかし蓋を開けて見れば非常に完成度の高いチャイナラバーへと変貌を遂げており、良い意味で期待を大きく裏切られました。
  VICTASブランドのリニューアルは2021年の春以降本格的に始まりますが、TRIPLE Double Extraのポテンシャルを見る限りでは幸先の良いスタートを切ったように感じました。
  用具ユーザーの端くれとしてVICTASの今後の展開に注目していこうと思います。