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投稿者:ザーシー

[自己紹介]
  ・卓球歴 約15年
  ・戦型 普段はペンドラ+粒高ですが、時々シェークも使います。

[レビューする商品名]
  エボリューションMX-D(TIBHAR)

[使用環境]
  ・使用ラバー
  エボリューションMX-D 黒 2.1mm

  ・使用ラケット
  吉田海偉
  馬林エキストラオフェンシブ-中国式
  幻守-中国式
  レボルディアCNF-FL
  張本智和インナーフォースALC-FL
  松下浩二-ST

[はじめに]
  エボリューションMX-Dは2021年春の新製品としてTIBHARから発売されたスピン系テンションラバーです。
  TIBHARのフラッグシップラバーであるエボリューションシリーズにはこれまでに7種類がラインナップされていました。
  食い込みの良さを活かして回転がかけやすく日本製ラバーに近い性能の「P」シリーズには硬度別に「MX-P 50°」「MX-P」「EL-P」「FX-P」があります。
  微粘着ノンスリップシートを搭載し回転量の多さで勝負する「S」シリーズには硬度別に「MX-S」「EL-S」「FX-S」があります(発売時期が異なるEL-S、FX-Sのみ気泡の大きいスポンジを搭載しておりMX-Sとは性能が異なる為、単なるバリエーション違いではないとの意見もあります)
  そんなエボリューションシリーズの待望の新作として「MX-D」がリリースされました。
  TIBHARのHPには「威力と安定感を兼ね備えたMX-Pの使いやすさをそのままに、MX-Sの回転力が融合」と表示されており、MX-PとMX-Sのいいとこ取りの結果がMX-Dであることが伺えます。
  同時にメーカーの自信のようなものも見えてきますね。
  先に発売されたクァンタムXプロも中級者を中心にヒットしているようなので、そこにMX-Dが続けば2021年はTIBHARの当たり年になりそうですね。
  MX-Dのシート表面は食い込み重視のMX-Pのシートに近い質感と光沢が見られます。
  市場を席巻している粘着テンションのような質感はみられないので純粋なスピン系テンションに分類させると思います。
  「MX-Sの回転力」を謳っていながら「MX-P」に近いシートを搭載していることには少し驚きましたね。
  スポンジ硬度は51.5°とかなりハードで、MX-PやMX-Sの45.7〜47.7を上回る硬いスポンジをMX-Dは搭載しています。
  MX-Sは回転性能は優れているもののスポンジと共にシートも硬いので、ラバー全体としての硬さがネックになり使う人を選ぶラバーでした。
  また使いやすさが魅力のMX-Pはテナジー全盛の頃に発売されたラバーなので、ディグニクスや粘着テンションが登場した近年の用具市場においては若干のパワー不足を感じるとの意見も見られました。
  その希望に応える為にハードスポンジで威力を強化したMX-P50°がリリースされました。
  そんなハードタイプのMX-P50°を越える51.5°の超ハードスポンジを搭載したMX-Dの性能は、見る限りではトップ層向けのものに感じます。
  シリーズ8作目にして新たに「D」の文字を冠したエボリューションを今回は試打してきました。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  ・基本打ち
  数回ラリーをした感覚ではやはり飛びます。
  フラットな面で打つとハードスポンジの硬さがダイレクトにボールへ伝わる為、軽打のつもりでもふっ飛んでしまうこともありました。
  特殊素材との組み合わせではモロに飛距離が上乗せされてしまうので慣れるまでは調整が難しい印象がありましたね。
  また51.5°というスポンジ硬度からかなりハードな打球感を想像していましたが思っていたほど硬くはなく、人によっては軟らかいと感じる方もいらっしゃいました。
  触った限りスポンジは硬いので、おそらくシートに軟らかい打球感の理由があるのだと思います。
  MX-Pよりもやや硬い程度で、MX-SやMX-P50°の方がはるかに硬く感じます。
  ボールを掴む感覚もしっかりとあるのでこれまでMX-Pを使っていた方も違和感なくMX-Dにステップアップできると思います。
  逆にガチガチのハードラバーで弾く感覚を好む方はMX-Dの打球感や球持ちの良さに拍子抜けしてしまうかもしれません。

  ・ドライブ
  シートの引っ掛かりが強く回転量の多いドライブを打つことが可能です。
  先輩ラバーのMX-Pの最大の魅力であるオートマチックに上回転がかかる特徴がMX-Dにも継承されており、対粘着テンションや対ディグニクス05との回転勝負でも回転不足を感じることなく互角以上に勝負することが可能でした。
  またMX-Sのノンスリップシートも非常に回転量の多いボールを打つことが可能でしたがMX-Sが硬めの微粘着シートである為、使う人を選ぶラバーだと思います。
  MAXの回転量はMX-Sの方が上ではあるものの、非粘着シートでここまで強い回転をオートマチックに生み出せる点はMX-Dの非常に優れた性能だと思います。
  加えてMX-P譲りの打球の安定感や球持ちの良さがあるので上級者のみならず中級者の方やレディースの方にもおすすめできるラバーに仕上がっていると思いました。
  「MX-PとMX-Sの融合」というよりも「威力や回転量を強化したMX-P」または「万人受けする性能に仕上げたMX-S」といった感想を個人的には抱きました。
  また今回最も驚いた特徴はフラットに開いて打った場合はボールが吹っ飛ぶものの、ボールを擦りあげた場合は別のラバーかと思うほどコンパクトに沈み込むような弾道になることです。
  オートマチックに上回転がかかる性能も合わさって、前〜中陣から打球してちょうどいい飛距離のドライブを何度も何度も連打することが可能です。
  逆に中〜後陣に下げられた場合、ドライブで打ち返すと浅いボールになってしまって相手に打ち込まれてしまいます。
  下がって打つ場合はドライブではなくフラットに押し上げで飛距離のあるボールで前〜中陣へ体勢を立て直す方が適していると思いました。
  以上の観点からドライブの引き合いで大きいラリーをする方にはMX-Dよりも適したラバーがあると思います。
  逆に前陣寄りで素早くドライブの連打で攻め込む方にはMX-Dは最適なラバーだと思いました。

  ・スマッシュ
  面を開いて強くインパクトすることでスポンジの硬さをボールにダイレクトに伝えて速度の速いスマッシュを打つことが可能です。
  MX-Sの弾くスマッシュとMX-Pの掴んで投げるスマッシュの中間といった打球で個人的には理想的な速度と弾道だと思いました。
  MX-DはMX-P譲りのシートの軟らかさが打球に安定感を加えてくれるので、MX-Sのように当たりどころが悪いと硬すぎてボールが下方向へ落ちるという心配がMX-Dにはありません。
  その分ミスを気にせず強気にスマッシュへ臨めるので「MX-PとMX-Sの融合」というMX-Dのコンセプトの恩恵が色濃く性能に表れていると思いました。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  ・ブロック
  スポンジが硬いので相手の球威に打ち負けにくい点は良いと思いますが、シートの引っ掛かりの良さによって相手の回転の影響を受けやすいので注意が必要です。
  ややボールの上に面を被せ気味に捉えて、前方向に押すように打球すると相手の回転の影響を受けすぎる前に硬いスポンジが弾いてくれるので有効な手だと思いました。
  またサイドスピンをかけたブロックはMX-Sよりもやや飛び出しやすいので飛距離の調整が難しく感じました。
  下に切り下ろすカット性ブロックはドライブ同様に小さく収まるので守りから攻めに転ずるきっかけ作りに有効です。
  縦方向の回転を少しでも加えればブロックに安定感を足せるものの、横回転では飛距離が出てしまうと個人的に感じました。

  ・ツッツキ
  硬いスポンジと軟らかく引っ掛かりの強いシートのおかげで切れたツッツキを送ることが可能です。
  しかしボールを少しでも厚くとらえてしまった場合は擦るよりも前に飛ぶ方へ力が伝わってしまうため、ネットへ引っ掛かってしまう場面もありました。
  スイング方向とボールに当てる面の角度はややシビアだと思います。

  ・カット
  微粘着でシート、スポンジ共に硬いMX-Sと比較するとMX-Dの方がシートが軟らかいので飛距離は出しやすいです。
  しかし強くボールを切るとドライブ同様にボールの弾道がコンパクトになるので後ろに大きく下がって粘る守備系のカットマンの方には飛距離の調整や前後のコントロールが難しいかもしれません。
  ラリーの中で中陣でのカットを織り混ぜて相手を崩し、浮いたボールを叩き込むような攻撃系のカットマンの方や、守備範囲がまだ広くない中級者までのカットマンの方にはMX-Dをぜひ試して頂きたいと思いました。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  ・サーブ
  下回転やなどのスピン系サーブは強く回転がかかり弾道も安定するのでやりやすいです。
  強く擦ってもボールが飛び出しにくいのでサーブの練習に取り組む初〜中級者やサーブのバリエーションを増やしたい方にもMX-Dはおすすめです。
  また粘着テンションのサーブが切れるものの硬すぎる感覚が苦手な方にもMX-Dは使いやすいと思います。

  ・レシーブ
  切れたツッツキに止まるストップ、強く擦りあげたチキータも台にうまく収まるので自滅によるミスをあまり気にせずにレシーブへ臨むことが可能です。
  しかしブロック同様にレシーブでも相手サーブの回転の影響を受けやすいので、相手の回転を受けすぎる前にボールを擦るなり払うなりして相手へ返すことが大事だと感じました。
  特にチキータでは少し強引なスイングでも相手の台の中にねじ込めるのでこれからチキータをマスターしたり、精度を磨いていく中級者の方の味方になるラバーだと思いました。

  ・台上技術
  上述した技術以外では、ペンのバックプッシュが好印象でした。
  被せ気味にとらえることで安定感を加えながらスポンジの硬さによって速度のあるボールを打つことが可能です。
  コースが良ければプッシュだけで得点できるほど優れた打球を生み出すことが可能だと思いました。

[おすすめな方]
  エボリューションMX-Pはサーブレシーブから攻撃に守備までオールマイティーにこなせるラバーである為、片面ペンドラなどの一枚のラバーで全てのプレーをこなさなければならない戦型に適したラバーでした。
  エボリューションMX-DもMX-Pのような死角の少ないオールマイティーさに加えて、MX-Sのような回転量や威力を合わせることができているので、ペンドラの方に試して頂きたいと感じました。
  またシェークや裏面を貼ったペンで前〜中陣からのドライブの連打で勝負する両ハンドドライブの方にもおすすめだと思います。
  粘着テンションが主流になりつつあるものの、長らくスピン系テンションを使用していた方にとってはスムーズな移行が出来ずに悩んでいる方も多いと思います。
  エボリューションMX-Dは粘着系ではないスピン系テンションとして非常に使いやすく威力も出せる為、中〜上級者と幅広いレベルの方に満足頂けるラバーだと思いました。

[まとめ]
  TIBHARからエボリューションの新作がリリースされると聞いた際には粘着テンションを想像していたのですが、どちらかと言うと日本製スピン系テンションに近いラバーにMX-Dは仕上がっていました。
  各社が粘着テンションでの回転量合戦への様相を強める中、クァンタムXプロや続いてエボリューションMX-Dなど、使いやすく万人受けするラバーをリリースしビギナーの強い味方でいてくれるTIBHARは用具市場において大きな存在だと感じました。