投稿者：ぬりかべ
THIBAR社「EVOLUTION MX-D（赤，1.9mm）」レビュー
※バイオリン中国式の裏面に貼りました。表面はClassicDeffence黒・ＯＸです。
１．ざくっとレビュー
扱いさすさと威力、高い攻撃性能と守備性能を併せ持つ、中〜上級の前陣攻撃選手向け裏ソフトラバー。
２．第一印象
バイオリン中国式の、グリップの根元から1.5�冦イ靴禿修辰藤苅�g。ラケットの面積やラバーの厚さを差し引いて考えても、かなり重いと言えるでしょう。MAXを普通の大きさのシェークに貼れば、53〜54ｇぐらいでしょうか。
シートの端をつまんでみましたが、なかなかに硬く52.5度という数字に見合った硬さが感じられました。軽く回転をかけてみると、シートの引っ掛かりはかなり強く、玉突きの印象では弾みに関しては「まずまず」という感じです。
３．攻撃技術
ドライブ 9.5点
スマッシュ・角度打ち 8.5点
ドライブでは、シートの引っ掛かりの良さの影響で、かなり強めに回転をかけられるように感じました。対上回転ではボールがしっかりラバーに食い込み、オートマチックに前進回転がかかります。ラケットをかぶせ気味にして振れば強く打っても強さに比例して回転がかかり、自然と台に収まって安定感はかなり高め。対下回転でもシートの引っ掛かりの良さで簡単に持ち上げることができます。回転量の最大値はMX-Sにはわずかに劣るように感じましたが、ドライブではMX-Pと同程度の「かけやすさ」を持ちながら、MX-Sに近い「回転量の多さ」を併せ持っており、うたい文句の「MX-PとMX-Sのいいとこどり」にもうなずけます。
スマッシュでは、かなり好感触だったのが低いボールや弱めの下回転及びナックル性のボールに対するスマッシュ。弾くように打ってもドライブと同様にオートマチックに前進回転がかかり、自然に台の中に収まります。スマッシュで打てるボールは、他のラバーよりも多いのではないでしょうか。飛距離自体は「めっちゃ飛ぶ」というわけではありませんが、打てるボールの範囲の広さと安定感は「買い」ですね。
４．守備技術寸評
ブロック点 9点
カウンター点 9.5点
ツッツキ点 9点
ブロックではフラットに当てると相手の回転の影響を受けてオーバーしやすくなるのですが、ラケットをかぶせながら当てるとオートマチックに前進回転がかかり、低い弾道で台に収まります。相手のボールが強かったり自分から強く当てたりしても、その強さに比例して前進回転が強めにかかり弾道が自然と弧線になるので、オーバーの心配はほぼありません。また、スポンジが硬いからか「相手のボールに押される」という感じがあまりありません。安定感があるだけでなく、ボールの上を薄くとらえて伸びるブロック、斜め上を薄くとらえて曲がるブロックと、変化のつけやすさも上々。
カウンターに関しても、ブロックと同様に打った強さに比例して前進回転がかかるため、「回転をかければ台に収まる」という安心感があります。ブロックとカウンターに関してはMX-Pもかなり良いと思いましたが、MX-Dはそれ以上であると感じました。
ツッツキに関しては、強く切ってもボールが浮きにくく、全体的に弾道が低めでした。短く落とすこともやり易く、回転量も多いため、ツッツキではほとんど欠点が見つかりません。しいて言うなら、シートの引っ掛かりが良いためにナックルのつもりのツッツキもそこそこ切れてしまうことぐらいでしょうか。
自分のプレースタイルの影響もありますが、テンション系のラバーとしてはツッツキやブロック・カウンターの性能がかなり高いと感じました。
５．台上技術・サーブ・レシーブ全般
台上技術点 9点
サーブ点 9.5点
レシーブ点 7.5点
サーブに関しては「硬い」「引っ掛かりが良い」ため、薄く擦ればかなり切れたサーブが低く短く、厚く当てると回転・スピード共に申し分ないロングサーブが比較的簡単に出せます。特に良かったのは、ペン粒の生命線である短い下回転。回転系テンションの中でもトップクラスの回転量とコントロールの良さがあります。MX-Pでも同じような感想を持ちましたが、回転量とショートサーブのコントロールの良さはMX-Pを少し上回っているように感じます。難点を一つ挙げるとすれば、シートの引っ掛かりと弾みが良いためにナックル系のショートサーブを出しにくいこと。自分の技術力では弾道が高くなってしまいました。とは言え、回転量とスピードの出しやすさ、さらには長短のコントロールの良さを高いレベルで兼ね備えているので、サーブはこのラバーの大きなストロングポイントだと感じました。
台上技術では、スポンジの硬さの影響からかテンション系にしてはあまりボールがとばないため、安定感は抜群です。特に好感触だったのはチキータ。オーバーミスの心配が少なくシートの引っ掛かりが良いので、自分から強く回転をかけに行くことができ、相手ボールの回転に対して比較的容易に上書をすることができます（横上と横下ぐらいなら無視できるように感じました）。回転量が多いためボールの曲がりも大きく、練習相手（中学生）は「こんなん食らいたくないわ…」とこぼしていました。フリックも、ドライブと同様に下回転を持ち上げやすく、回転をかけやすいため安定感は高め。ストップも切ったボールを低く落とせるため、台上技術の安定感と質は全般的に高いと感じました。
レシーブでは、台上技術のところで触れたように自分から回転をかけに行くことができれば安定するのですが、自分から回転をかけに行かない場合は相手の回転の影響を受けやすく、角度をあわせるレシーブはコントロールが難しいと感じました。ツッツキやチキータで相手の回転を上書きすると安定して返るのですが、コースを読み違えて「当てるだけ」になると、他のラバー以上に返球が難しいと感じました。そのかわり、サーブのコースが限定されているダブルスだと、レシーブ攻撃がかなりの威力を発揮しそうです。
６．お勧め構成
オートマチックに前進回転がかかって台にボールが収まるので、弾みを抑えたラケットよりも、７枚合板や特殊素材入りのラケットに貼って攻撃が深く入るようにすると良いかと思います。
ラバー自体がなかなか重いので、このラバーを両面に貼るのであれば小さめのブレードで振り抜きを良くするのが良いでしょう。あるいは、軽めの異質ラバーと組み合わせて回転やスピードの差を大きくするのも面白いでしょう。
７．どんな人にお勧めか
私が一番お勧めしたいのが、なんと言っても片面ペン。このラバーだけでも攻撃力・守備力ともに高いのでうってつけでしょう。
強く打っても台に収まること、台上技術の安定感が高いことを考えると、前陣で攻撃を仕掛けるタイプにジャストフィットするかと思います。また、ラバーが重いことと回転性能が高いことを考えると、シェークバック粒やバック表の選手のフォア面に貼って、バックとの球質の差を大きくするのも良いかと思います。
ただし、相手の回転の影響を受けやすく、レシーブや台上技術で相手の回転を上書きする技術が必要になることを考えると、中〜上級者向きかと思います。
８．総合評価
前陣で攻撃するタイプの選手であれば9点、シェークの異質型の選手が使うのであれば9〜9.5点をつけて良いかと思います。片面ペンの選手ならば9.5点をつけて良いでしょう。
ペン粒が使うのであれば、重さがあるので私のような止め専であれば8.5点、積極的に反転攻撃を仕掛けるタイプであれば9〜9.5点をつけて良いかと思います。
９．その他
最初は「高めの値段設定やなぁ」と思いましたが、打ってみると、ドライブの時に述べたように「MX-Pの良さ」「MX-Sの良さ」を併せ持っているため、納得のお値段です。また、生徒の相手をするにはブロックも攻撃も球出しもしやすいので、かなり重宝しています（MX-Dを貼ったおかげで、何本もラケットを持っていかないで良くなりました）。中学校の卓球部の顧問の先生には、強くお勧めできる一枚です。
