
投稿者:アンチマン
[自己紹介]
[自己紹介]
こんにちは。シェークバック異質、前陣異質攻守型のアンチマンです。
[レビューする商品名]
オメガ7チャイナ影(イン)
黒 2.1
[使用環境]
ラケット TRiAD
フォア オメガ7チャイナ影 黒(2.1)
バック Virus-2 赤(OX)
[はじめに]
ヴェガシリーズやオメガシリーズが有名な卓球用具メーカーのXIOM。初心者向けラバーの筆頭『ヴェガイントロ』から選手用の『オメガ7ツアーi』まで、多彩なラインナップがあり、誰もが一度はこのメーカーのラバーを耳にしたり手にしたりしたことがあるのではないでしょうか。近年はフォア面バック面の特殊素材が異なる『アイスクリームAXZ』などのラケットでも有名になってきたメーカーですね。
そんなメーカーが、『中国ラバーを超える』というキャッチコピーで売り出したこのラバー。XIOMのラバーで使用される『カーボスポンジ』の硬度はまさかの60度! ドイツ硬度になおした時の『キョウヒョウプロ3ターボブルー』と同硬度という、大変硬いラバーとなっています。
メーカーサイトの情報によると
『急上昇&急降下するドライブの異様な弾道』
『前陣でのカウンターの精度は惚れ惚れするほど』
『猛烈に切れたサービスや、ネット際にビタ止めできるストップなどの小技も自由自在』
とのこと。メーカーサイトの情報なので多少の誇張はあるかも知れませんが、にしても凄そうなラバーですね。大変期待しながら試打しました。
まずは外観です。シートはピンと張られたきれいなシート。粘着は微粘着で、ボールがひっついて少し経つとぽとりと落ちる、といった感じです。
スポンジはみっちりと詰まっていて、確かに硬いです。こういう気泡のない詰まったスポンジは私の好きなやつです。
重量感があります。ラケットがターボブルーのときよりも少し重くなりました。玉突きしてみると、やはりテンションが掛かっているからか中国製粘着ラバーのような弾まなさはないです。少しひっついているような感触もあります。
では、レビューしていきます。今回も異質ラバーの打感変化も記録しているので、異質ユーザーの方はそちらも見て頂けると嬉しいです。
[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
ドライブ
ガチガチの粘着ラバーよりは、自動的に掛かってくれている感がありますが、それでもしっかり振れないとかかりません。しかししっかり振れた時の回転量とスピードの総合値はどんな粘着ラバーよりも高いです。前の方で連打するのも、下がって打つのも申し分ない性能を発揮してくれます。二バウンド目で伸びてくるらしく、受け手の練習仲間は『珠が重い』と言っていました。
60度ほどの硬さは感じません。シートのテンションが硬さを少し和らげてくれていますね。
スピードドライブは、少し体で抑えるようにすると低く刺さるようなボールが行くように感じました。粘着ラバーとは思えないスピード。粘着テンションの中でも早い方になると思います。
ループドライブは、ピンと張られたシートが玉をぐいっと持ち上げてくれるお陰で大変強い回転がかかります。ただしクセ球などの要素を含めて総合的に見ると、ループドライブに関してはキョウヒョウなどの本格的な粘着ラバーに軍配が上がるかな、といった感じです。
しかし、ドライブにおいてこれだけのスピードと回転を両立させた粘着テンションラバーはそうないのではないでしょうか。個人的には大変好印象です。
スマッシュ
硬いスポンジのお陰でスマッシュのスピードが出ます。打感もすごく良いです。粘着を生かして、少し擦るようにすると伸びてくれるので、それが嫌らしいとのことで、決め球として大変良いのではないかな、と思いました。
粘着ラバー特有の、粘着で一瞬引っ付くような感覚が無く、叩けばしっかりバシーンと飛んでいってくれるところはテンションっぽさが現れているような気がします。
ミート打ち
低い位置でのミート打ちが非常に良い印象を受けました。先述したスマッシュもそうですが、打ったタイミングで飛んでいってくれるので打感もいいし違和感を感じること無く打つことが出来るのではないでしょうか。
攻撃技術まとめ
シートが強く相手のボールの回転や威力に押し負けないので、打ち合いでも心強く、またカウンターも良かったです。またシートがしっかり掴んでくれるお陰で下回転打ちもやりやすく、死角の少ないラバーだな、と思いました。
ドライブのクセ球に関してはどうしても、キョウヒョウの方が出やすいです。しかし回転量に関してはキョウヒョウに匹敵するほどの。スピードに関してはキョウヒョウを凌駕するほどのものがありました。
最後に比較です。今回は同硬度のキョウヒョウプロ3ターボブルー(以下、ターボブルー)と、硬度52.5度のテンションラバーDNAプラチナXH(以下、DNA)と比較します。オメガ7チャイナ影はチャイナ影と表記します。
ドライブの回転量(平均値)
DNA<チャイナ影≦ターボブルー
ドライブの回転量(最大値)
DNA<チャイナ影<ターボブルー
ドライブのスピード
ターボブルー<チャイナ影≦DNA
ドライブの威力(回転とスピードを総合的に見て判断)
DNA≦ターボブルー≦チャイナ影
ループドライブのクセ球
DNA<チャイナ影<<<ターボブルー
スマッシュのスピード
ターボブルー<チャイナ影≦DNA
ミート打ちのやりやすさ
ターボブルー≦チャイナ影≦DNA
[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
ブロック
これがすごく良い。相手のボールに負けない。安定感があります。これはラケットの重さもあるでしょうが、にしても安定感が凄いです。ブロックに関わらず、押すだけでなく『引く』こともこなせるので、それもこのラバーの良さです。
強粘着ラバー特有の粘着で引っ付く感じが無く、この技術も比較的テンションに近いものを感じます。
カットブロックやサイドスピンブロックに関してはやっていないのですが、これだけ掴んでくれるシートですからしっかり掛かってくれるのではないかな、と思っています。
ツッツキ
これに関しては普通です。悪くないし突出した良いところもありません。
粘着ラバーらしくプツと切れば切れますし、刺さるような弾道のツッツキも出せます。サイドスピンツッツキも良いのではないでしょうか。
カット
私はカットができないので、検証はしませんでしたがメーカーサイトには『硬さを生かしたスマッシュやカットにも適して』いるとのことで、『攻撃を織り交ぜるカットマンにもおすすめしたい』という記述がありました。
守備技術まとめ
なんて呼べば良いのかわからず、ブロックとも少し違う気がして書かなかったのですが、下がってボールを拾う(当てるだけ)のにも、ボールが落ちず安定感を感じました。守備技術に関しては突出した良いところはないものの、しっかりとこなしてくれる安定感が良いところなのかな、と思います。
ブロックの安定感
ターボブルー≦チャイナ影≦DNA
ブロックの打感(これに関しては感じ方の問題かもしれませんが)
ターボブルー≦チャイナ影<DNA
ツッツキの切れ味
DNA≦チャイナ影<ターボブルー
ツッツキの安定感
DNA=チャイナ影=ターボブルー
[サーブ・レシーブ・台上技術]
サーブ
硬いスポンジのお陰かキョウヒョウのときと同じ感覚で切ることができました。切れ味も遜色なく、個人的にはYGがやりやすいように感じました。
テンションの、食い込ませて切るというのが私にはどうしてもできないのですが、このラバーは硬いスポンジと微粘着で擦って掛けるという粘着ラバーの掛け方が出来るので大変好印象です。
ロングサーブのスピードも申し分ないです。ターボブルーのときよりもスピード感はアップしました。ただオーバーも増えたのでそこは調整が必要ですね。
レシーブ技術まとめ
どの技術も安定してこなせます。長めのサーブならば多少掛かっていてもドライブしてしまっても良いかもしれません。シートがしっかり掴むので下回転は難なく持ち上がります。
台上技術まとめ
これにも安定感があります。粘着ラバーは台上技術に優れているところがありますが、そのところもしっかり取り入れられているなと思いました。
ちょっと引っ付く感じが感じられるので、短く止めることもしやすいですね。
サーブの切れ味
DNA<チャイナ影≦ターボブルー
短いサーブの止まり
DNA<チャイナ影=ターボブルー
ロングサーブのスピード
ターボブルー≦チャイナ影≦DNA
レシーブの安定感
ターボブルー≦DNA=チャイナ影
台上技術
DNA≦チャイナ影=ターボブルー
[おすすめな方]
・強回転卓球をしたいがスピードもほしい方
・威力のあるドライブを求めるドライブマン
・前陣で回転を掛けながら素早く攻撃したい方
万人向けというラバーではありません。硬い上重いので筋力は必要ですし場合によってはラケットやもう一方のラバーとの兼ね合いも必要になってきます。
しかしそれを踏まえてこのラバーを使いこなすことができれば、一気に強くなれるでしょう。
また、シェークバック異質の方にもおすすめです。粒高でそれこそOXを使う方は重量の兼ね合いもそこまで必要ないでしょうし(それでも重くはなりますが)、ラケットが重いことはバックのブロックの安定感の確保に繋がります。
粒面に与える影響に関しては後述します。
[まとめ]
ものすごいラバーです。やりにくい技術というものが殆どない。ドライブの威力も申し分なく、中国製粘着ラバー特有の引っ付く感じがないのでスマッシュ、ブロックなども違和感なくできる。
このラバーは強力な武器です。使い手を選びますが、これを使いこなせるようになればほかを凌駕する圧倒的な力を得られるでしょう。
『使用するにはそれなりの覚悟が必要だが、使いこなせた時には新境地が待っている。相手を影の世界に引きずり込むYINGの超絶スピンプレーは、一度覚えたらやみつきだ』
メーカーサイトのこの謳い文句は本当です。暫くはこのラバーを使おうと思います。
[補足]
粒高の打感はそんなに変わりませんでした。硬度も同じですし同じみっちり詰まったスポンジなので。
ちょっとプッシュのスピードが増した気がするのと、重さがあるので少しブロックの安定感が増したかな、とは思いました。
私は硬い打感が好きなので、このような詰まったスポンジのラバーが良いのかな、と思っています。