投稿者:くろかみ

[自己紹介]
  中ペン裏裏、単都6回戦(128)レベル。梅雨時で卓人としては気が滅入るところですが、この際これまでと違うラバーに貼り替えてみるというのも良いリフレッシュになるのではないでしょうか。

[レビューする商品名]
  ダイナライズACC 2.0mm

[使用環境]
  使用したラケット
  インナーフォースレイヤーZLC
  オフチャロフトゥルーカーボン

  主にバック面での使用となります。

[はじめに]
  メーカー説明文↓
  ハイパーバウンス スポンジとアドバンスト サーフェイストラクションテクノロジーを採用したトップシートの組合せによって、回転・スピード・グリップ性能・ボールフィーリング等が進化しています。ACC では、ミディアム・ハードスポンジを採用し、回転を掛けやすく、高めの弾道で精度の高いショットを可能にします。

  ダイナライズACCはヨーラから発売されている、2022年6月時点でヨーラ社最新のスピンテンション系ラバーです。ダイナライズシリーズには、トップ層を意識したスポンジ硬度50度AGR、逆に軟らかく扱いやすい42.5度のCMD、粘着テンションのZGRが他に展開されており、この中でACCは47.5度と幅広い層を意識した王道の立ち位置と言えるスポンジ硬度のラバーです。そしてダイナライズシリーズは何より、黒の他にパープルが存在するカラーラバーです。各社で様々な色が展開されカラーラバーは巷で良く見かけるようになりましたが、蛍光色が多い中でパープルは珍しい上に比較的落ち着いた色合いで、個人的にお洒落だと感じています。ヨーラ社の製品はニッチである上にショップでの価格6500円前後と高いため、それに見合った実力があるかどうか気になるところです。

  開封すると、ドイツラバー特有の匂いと共にバイオレットのシートが目に飛び込んできます。引っかかりが良さそうな曇り系シートですが、ラクザXやエボリューションなどに見られる硬さはなく、食い込みやすいように調整されているようです。球突きしてみてもややバウンドにラグを感じ、球持ちの良さそうな気配が漂います。

  重量は中国式ペンの裏面(161×150mm)に貼って、カット前69g→後49g。面積がシェークより大きいことと2.0mmであることを踏まえて、同硬度帯ではファスタークG-1(以外G-1)やターゲットGT-H47(以下GT-H47)と同程度の重量感だと評価しました。今回はこの辺りのラバーや過去のヨーラ製品(ライザー48、リズムP。いずれも記事を過去に上げていますのでご参照下さい)との比較も交えてレビューしていきたいと思います。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  0   基礎打ち、軽打
  打つ前に感じた通り、シートが程よく軟らかいため、ラバー全体でホールドしている感触がありました。さらに、シートも今までのヨーラ社のラバーでは間違いなく最も引っかかりが良く、雑に当ててもクッと持ち上げてくれました。ドイツラバーは球が揃わない、良い意味で癖球が生まれることも多いですが、ダイナライズACCは反対に若干オートマ気味に弧線が作られ球が伸びていきました。

  球持ち
  ライザー48>GT-H47≧ダイナライズACC>テナジー05>G-1>リズムP
  引っかかり
  テナジー05>ダイナライズACC=G-1>GT-H47>リズムP>ライザー48

  1   ドライブ 8.3点
  軽打と同じく、シートの引っかかりと安心感のある球持ちが安定した打球を可能にしていました。フォアに比べインパクトが足りない筆者のバックでも、球が伸びて47.5度の硬さを感じずに次々食い込ませて前に振っていけます。ただしここまでは以前のヨーラのラバーにも見られた特徴で、対上回転のラリーが安定するのは筆者の想定内です。違いを感じたのは対下回転で、ループもスピードドライブもそれぞれの球質を出せて、個人的にはテナジー05よりも気を使わずに打ち分けられると感じました。ライザー48は弧線は高いが回転量、球威ともに今ひとつ、リズムPは弾みは強いが球離れが早くループをかけ切るのが難しいといった特徴がありましが、ダイナライズACCはコンパクトなスイングでもしっかり回転量を確保しつつ強打への対応力がある点が素晴らしかったです。一方で、あくまでも2.0mmを打っているため特厚と同じ基準での評価はできませんが、弾みは昨今のテンション系に比べると特筆するものはありませんでした。また弧線がやや低く、決めにいった時は鋭い軌道で球威も充分なのですが、チョリドラで伸ばす程度だと回転量は確かにあって面を狂わせることはできてもバウンドに相手が合わせやすい印象を受けました。

  飛距離
  テナジー05>GT-H47>G-1≧ダイナライズACC
  回転量
  テナジー05≧ファスタークG-1>ダイナライズACC>GT-H47

  2   カウンター 8.5点
  相手の回転に負けず、強いシートに任せて平行スイングでかけ返していけます。今回バックでの使用がメインでしたが、前陣でドライブに対して上から掴むように打つ場面も安定していました。

  3   スマッシュ、フラット系 8.0点
  やや持ちすぎてしまう印象はありましたが、先述したオートマ感や弧線が上がりすぎないことが細かな調整を可能にし、咄嗟に強打しにいった場面でふかしてしまう心配をせずに済みます。何より打感が気持ち良く、爽快にスパンスパンと振り回すのが楽しいです。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  1   ブロック 10点
  筆者は満点をつけたいです。というか付けました。先月レビューしたネクサスEL48の方が鈍感力や台への収まりという意味では上回っていますが、ダイナライズACCは様々な打法に対応してくれる上にそれぞれの球質が高く、守備から反撃への素早い移行を可能にしています。ラバー全体のホールド感によって、サイドスピンを加えたり上から押さえつけたりしても球が暴れずに上書きされますし、少しかけ返せばテナジー05と同等以上の伸びを発揮して相手が角に当てる場面が増えました。

  2   ツッツキ 7.5点
  回転をかけることに不自由はありませんが、47.5度にしては食い込みが目立つためナックル気味のボールに対しふかしてしまう場面もありました。Q5やG-1など、スポンジに加えシートも硬いラバーならばより強く上書きしたり鋭く差し込んだりできるため、比較すると物足りなさはありました。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  1   サーブ 8.0点
  かけやすい上にしっかりかかってくれます。硬さが足りないためゴツっとかかった手応えは物足りませんが、食いつきの良さ故か、思ったよりかかっているという相手の反応が得られました。ロングサーブはもう少しラバーの硬さと弾きが欲しいところで、鋭い軌道が出しづらく感じました。

  回転量
  テナジー05>G-1=ダイナライズACC>GT-H47

  2   ストップ 7.0点
  ここもツッツキ同様、鋭さで他のドイツ系ハイエンドに劣っていました。相手に合わせるように返すだけでも回転がかかりますが、思ったより打球が長くなってしまう場面もあり、やや気を使いました。

  3  フリック 8.0点
  流し、強く弾くなど色々な打法への対応力がありました。

  4   チキータ 9.0点
  コンパクトなスイングでシートが持ち上げてくれるという特徴が特に台上において遺憾無く発揮され、強い下回転に対するチキータも持ち上げやすく感じました。

[おすすめな方]
  中級者、特にブロックもしたいがチキータやカウンターで起こして仕掛けてもいきたいという方の両面におすすめします。従来のドイツラバーに見られるようなシートの扱いにくさが無く、守備も攻撃もこちらが安心して打てる割に相手が予想以上の伸びに苦しむような展開が作れます。弧線はそこまで高くないもののネットミスが非常に少ない印象で、インパクトが強い方にも弱い方にも心強いギアとなるバランス感を最も評価しました。逆に、擦り打ち主体の方や、ブロックにとにかく鈍感力や止まり具合を求める方にはおすすめしません。47.5度らしいはっきりとした硬さは持ち合わせておらず、遅いループを打ったり相手の強打を無意識に抑えたりするのはやや食い込みが邪魔して不得意な分野となります。
  合わせるラケットはカーボン系をおすすめします。食い込みは十分確保されているので、好みに応じて飛距離を補いつつ球持ちを調整し、前中陣での鋭さに磨きを掛けていきましょう。

[まとめ]
  ヨーラ社の強気の価格設定にふさわしい一品でした。しれっとWRMさんも取り扱って下さっているにも関わらずとにかく知名度が足りないラバーですが、既に筆者のバックのメインラバーに定着していて、あと1000円安ければ天下取ってるんではないかと本気で思うほどの性能です。筆者はブルーストームビッグスラム(donic)やロゼナ(バタフライ)をこれまでバックで好んで使用してきましたが、ダイナライズACCはこれらより回転のかけやすさ、絶対値共に勝っている上にブロック性能の高さにも文句なく、47.5度といってもハイエンドまではいかない絶妙なバランス感に惚れてしまいました。最近はこのダイナライズに加え、DNAプラチナやラザンターR48などシートがゴツゴツしていないドイツラバーが増えて日本人好みの選択肢がどんどん広がっていることを喜ばしく思う一方で、未だ売れ筋のラバーが固定されている実状との乖離が悩ましいです。まさにこのサイトのような口コミによって良い物は次第に広まっていきますので、自分や他のレビュワーさんの記事がどなたかの新たな挑戦の手助けになることを願って今月のレビューは締めさせて頂きます。