
投稿者:零號立会人
[自己紹介]
戦績
県大会シングルスベスト8
全国レベルの大会にも何度か出場経験あり
現在は大学の監督やいろいろなところでコーチをしております。
私のプレースタイルは裏ソフトドライブ型+粒高でして、相手のプレーに応じて プレーを変えます。
裏ソフトと粒高どちらの技術も同じようなレベルです。粒高では守備も攻撃もやります。
裏面粒高もかなり振ります。
100種類以上のラケット、あらゆるラバーを打ったことがあります。モニターですがアンチラバーについてもいくつか試打したことがあります。
[レビューする商品名]
【ネバギバ】トリックウェーブ
[使用環境]
ラケット:特注(ハードウッド+特殊素材)
フォア:ディグニクス09C
バック:トリックウェーブ
[はじめに]
マニュアル性能で力を発揮するラバーとの謳い文句を見て購入しました。紹介動画とかは内容を見れておりませんので、重複する部分などあればすみません。
パッケージを空けた瞬間、ゴム質・臭い・接着シートから第一印象は、
『カールやん!』でした。
恐らくですがカール系やジャイロ・オクトパスといった粒高ラバーと同じ工場で作られていると推測します。
カールやファントムといった昔からある粒高ラバーですが、ボールがプラスチックへ移行した現在でも高い性能が発揮できるゴム質だと思います。
しかし最近の流行りはドイツ製の粒高。
オートでスピン反転・変化する粒高ラバーのほうが、こだわりのある粒高プレーヤーの方々にとっては、いまや主流とも言えるのかもしれません。
ボールによっては、VICTASのボールのように、いくらカットブロックが切れていても簡単に打ててしまうようなボールもありますので、シンプルに当てるだけでもそれなりに変化してくれるラバーを選択するのも正解の一つだと思います。
ただ、私が使うことが最も多いのはカール・ファントムといった昔ながらの日本製ラバーが多いです。
理由ですが、
(1)プレースタイルの主軸が粒高の攻撃なので、感覚として攻撃しやすいものが良い。
(2)自分の力で変化をつけたりコントロールするラバーのほうが安心できる。
(3)裏面粒高でも振る技術を使う事が多いので、引っ掛かりの強いゴム質が好み。
(4)インパクトが強い技術を使う事が多く、ドイツ製の粒高では多くのラバーが2、3回の練習で粒が切れてしまい使いたくても金銭的に厳しい。
以上の4点があります。
今回のトリックウェーブはゴム質としては好みですので、非常に期待して試打にのぞみました。
なお、カール系のラバーを使用する際には接着シートを剥がして他社製の接着シートで貼るのですが、今回は素のラバーの性能を試すため敢えて剥がさずそのままの接着シートで使用しました。
ただ、やはり接着シートを剥がしてから使用することをお勧めします。
このタイプの接着シートは無駄に接着力が強く、?がし方がうまくないとラケットの上板が持っていかれます。また長期間貼っておくと、?がしたあとに粘着質の一部がラケットに残ってしまったり非常に厄介です。
このタイプのラバーのゴム質は比較的引っ張っても強いので、?がすのに慣れるといいかなと思います。
剝がしてからバタフライ製の接着シートで貼るのが良いと思います。
[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
まずはフォアハンドでのドライブ・スマッシュ・カウンターについてです。
カールP1などと比較していきたいと思います。
まず、カールP1についてはゴム質の引っ掛かりの良さに加え、粒自体が倒れやすいため非常に引っ掛かる感触があり、攻撃しやすいです。
ミートしてもドライブ気味に打っても対応力が非常に良く安定します。
カウンターの時も粒が上手く倒れてくれるので、威力のあるボールに対しても対応力が高いです。
それに対しトリックウェーブについてはカールP1ほど粒が倒れる感覚はないのですが、しっかりと引っ掛かりがあります。むしろカールP1ほど倒れすぎないのでこちらのほうが私としては好感触です。但しここはラケットとの相性や打球感の好みで分かれる部分になるかなと思います。
印象としてはカールP1よりむしろジャイロやオクトパスに近いかなと感じました。
ジャイロを使ったのがかなり前なので印象が朧ですが、ジャイロを少しソフトな打球感にして引っ掛かりを強くしたような印象です。適度に粒自体の硬さを感じ、後述しますが、カットブロックなどの際にはジャイロやオクトパス以上に絶妙な切る感触があります。
攻撃しやすい粒高で言うと、最近使ったフィックルはかなりインパクトを強くしても安定してくれて、打球感も心地よかったですが、トリックウェーブもフィックルほどではないにせよ、インパクトを強くしても安定してくれました。ただ、フィックルの方が粒高に摩擦力を感じやすく、引っ掛けている感覚が強いですね。
チキータをしてみると摩擦力の違いが分かりやすく出ました。
(ちなみにフィックルもハリが強いので3回くらいの練習で粒が切れてしまいます。)
裏面での攻撃やカウンターも扱いやすいです。
変に相手のボールと喧嘩することなく、ほどよく引っ掛かってくれました。
ただその背反として、少しナックルの中でも取りやすい球質になっている気がします。
このあたりは日本製ラバーらしく、打ちやすいけど、取りやすいボールになるという印象です。
ドナックルを出して相手にボテッっと落とさせるような球質を出したい方にはあまり向いていません。
安定、安心感重視の方向けですね。
プッシュについてはカールP1やフリクションスペシャル2と比べて回転の影響を受けにくくやりやすいと感じました。私はプッシュに速さをあまり求めていないので、必要十分な速さが確保できていると思います。ただ、プッシュ時の球離れの良さや揺れるような変化、スーっとボールが深く入るような伸び方はドイツ製ラバーほど大きくないです。
[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
攻撃でも非常に良かったのですが、ブロック性能も非常に高いですね。
カールP1だと回転の影響を受けやすく少しカットブロックが高い弾道で出るのですが、
トリックウェーブは低い弾道でボールが出てくれます。
このあたりもどちらかと言えばジャイロに似ていると思います。
私の中ではカットブロックは切れ味よりも浮き上がらないような弾道が重要だと思いますのでここは高評価です。
ホントに僅かな高さや飛び方の差で、強打されるかどうか大きく違うので、この浮きにくい点は非常に嬉しいです。
引っ掛かりがある割には回転に対する鈍感力が高く、打球感覚として弾かれたり回転の影響をそこまで強く感じにくいので、ブロックしていて安心感があります。
反発力も低めだと思います。
ただしこれはカットブロックの最重要ポイントの一つである、『ボールに対して押しを加えないこと』ができる前提になります。
少し押しが加わってしまったり、或いはペンのバックブロックでラケットを縦に使ってブロックするタイプで押しが加わりやすいタイプのブロックをする打ち方や、そもそもボールを押すような形(ぶつけるような)で捉える打ち方の場合には、回転に対してシビアに反応してしまい、難しくなると感じました。
フォアのカットブロックであればほとんどの方が押しを加えるようなブロックをすることがないので、非常によく切れて止まるラバーだと感じると思います。
しかしバックブロックについては打ち方によって印象が変わるラバーかなと感じました。
ペンの裏面カットブロックやシェークハンドのバックのカットブロックのようにボールに押しを加えない動きがやりやすい打ち方には非常にマッチして性能が発揮しやすいラバーだと思います。
なお先日、ガチガチのキョウヒョウ系パワードライブを受けると、さすがに回転の影響を受けました。
威力やスピン量の多いボール対してはしっかりと技術力で対応する必要があります。
[サーブ・レシーブ・台上技術]
上述の通りに回転の影響を比較的受けにくく、レシーブしやすいです。
私の感覚ではフリクションスペシャル2やカールP1は回転の影響を受けやすく、
少しやりづらいこともあるのですが、トリックウェーブにはそれがないのが嬉しいですね。やりづらい技術があまりないので色々なレシーブがやりやすいです。
ただ、ヘルファイアXのように自発的に変化してくれるラバーを求める方にはマッチしないと思います。
[おすすめな方]
何でもこなせる万能な粒高ラバーです。自分の力で切る、止める、打つときに自分の力で操作したいという方にお勧めしたいです。
フリクションスペシャル2で扱い切れなかった人でも回転の影響を受けにくいので比較的扱いやすいのではないでしょうか?
また、攻撃性能も非常に高く安心感を持ってオールマイティにプレーをこなすことができる粒高ラバーでもあります。
ただ打ちやすい分、多少相手にも取りやすいボールになるのはカール系のラバーと同様です。
高いレベルでのバランスがよく、技術のある選手にはかなり評価が高いラバーになるかと思います。
一方で変化はドイツ製粒高に比べると大きくなく、
合わせるだけのカットブロックでブツンと切ったり、ボールの揺れなどで相手のミスを誘う球をベースにしたい人には物足りないと思います。