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投稿者:くろかみ

[自己紹介]
  中ペン裏裏、大学体育会所属。最近は更新頻度が落ちていますがTwitterも続けておりますので、是非フォローよろしくお願い致します。

[レビューする商品名]
  ジキル&ハイドV47.5 MAX

[使用環境]
  使用したラケット
  ウーゴカルデラノ フォコoff+ (コニヨール、廃盤)

  シェークバック面でのレビューになります。

[はじめに]
  メーカー説明文は公式HPに詳しく掲載されていますが、あまりにも長いため今回は省略させて頂きます。
  要約すると、直線的(=攻撃的)な軌道と回転量の両立を重視したラバーであり、どちらかといえばバック面に推奨しているようです。以下筆者による基本情報を記載致します。

  オメガVIIシリーズに続いてXIOM社から発売された新作テンションであるジキル&ハイドシリーズは、2022年春に先行でH52.5とV47.5の2種類が発売され、同年秋にZ52.5、X50.0、X47.5、V52.5の4種類が続けて発売されます。今までのヴェガ、オメガよりも更に仕分けが分かりづらいというのが正直な印象ですが、シリーズ全体に共通して直線的かつ回転量のある重い球を実現することをテーマとしているようです。当記事が2022年9月のもので、まだジキル&ハイドXとVの違いが説明文のみでは筆者も掴めない状態ですので、これも後日調査したいと思います。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  0  基礎打ち、軽打
  メーカーが謳う通り、飛び出しは低いのに確かにシートの引っかかりを感じます。弧線が上がらないラバーは大抵の場合ボールを持ち上げるグリップ力や回転量に欠けますが、スポンジ硬度帯 47.5度と硬すぎないこともあり落ちる心配がありませんでした。一方で、説明文から弾みが強く攻撃的な先入観を持っていましたが、実際は収まりの効く程よい弾みであり、オメガV、VIIと比較しても飛距離やスピードが軽いインパクトで生まれる感触はありませんでした。打感についてはシートが硬すぎずラバー全体の一体感があり、ドイツ製の中では日本人受けもいいタイプと思います。

  1  ドライブ  7.5点
  先に結論から述べると、パンチ力は欠けるが面白い一面もある項目でした。
  軽打で感じた通り特厚でも今時のハイエンドクラスの弾みを実感することはありませんでした。ただ当て擦りのように前に振った時は、下から振って回転重視で振った時よりも球が深く入りやすかったです。これはオメガVツアーDFおよび Vプロを打った際に受けた、シートで引っ掛けて打つと相手コート深くで沈むような弧線の高いドライブが出るという印象とは対照的な結果であり、ジキル&ハイドも回転量はやや少ないものの十分確保されているため、両者で異なる球質がありどちらかが明らかに劣っているわけではありませんでした。
  また、弧線の低いラバーといえば既存のものでVICTAS社のV>15エキストラが挙げられますが、これは食い込ませて打った際に直線的な球になり、擦った際は他のドイツ製と同じように弧線が上がる印象がありました。しかしジキル&ハイドV47.5の場合は擦っても思ったほど弧線は上がらない上に擦った時に飛ばない特徴があり、ループドライブは低くて浅い厄介な軌道になります。ここにV>15のような回転量が加われば大きな得点源になるのですが、あともう一押しがなかったことで上記の点数をつけさせて頂きました。

  回転量
  V15エキストラ>オメガVツアーDF>ジキル&ハイドV47.5>ヴェガX

  スピード
  V15エキストラ>ジキル&ハイドV47.5>オメガVツアーDF>ヴェガX

  弧線
  オメガVツアーDF>ヴェガX>V15エキストラ>ジキル&ハイドV47.5


  2  カウンター  8.0点
  基本的に収まりがいいので、前中陣で合わせるように打球した際もオーバーミスが少ない印象でした。擦ると飛ばない性質を活かして、バックではボールの上を取り損ねたときも掛け返せば安定して入りました。ドライブの際も感じましたが、メーカーが万人受けしない攻撃的なラバーとしているのとは対照的に、中級者のバック面に選びやすいような安定型の性能が目立ちます。

  3  スマッシュ、フラット系  9.0点
  伸びも深さもあり、やはり擦るより食い込ませたり弾いたりして前にスイングしていくのがこのラバーには合っているように感じました。弧線は低いですが最終的に台に収まるため、フォアバック両面で5球目以降積極的に押していけます。もう少し硬さが欲しく、抜けるエースボールまではあと一歩といったところです。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  1  ブロック  9.5点
  以前レビューしたこともある、V15スティフのような安定感がありました。一体感がありホールドするように返球でき、スポンジ硬度45度であるスティフと同じような打感でした。振っても収まるのでカウンターもありですが伸びがイマイチなので、個人的には程よい鈍感さを活かしてプッシュしていった方が相手を詰まらせることができるように思います。

  2   ツッツキ  8.0点
  擦ると飛ばないため台上はどれもそつなくこなせますが、相手が持ち上げるのに苦労するような切れ味は足りないため、ここももう少し硬さが欲しいところです。打球する時の球離れのバランスはオメガVより優れていました。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  1  サーブ  7.0点
  ロングサーブはある程度速さも回転量もあり目に見えて軌道の変化も確認できましたが、ショートサーブに課題を感じました。台から誤って出てしまうようなミスはありませんが切れ味はいまひとつでした。ハイエンドと同列に比較するのは酷かもしれませんが、打球により違いが出すぎる点からもフォア面で使うのは中級者以上には厳しいと思います。

  2  ストップ  8.5点
  切っても当てただけでも程よい鈍感さと飛ばなさにより非常に安定したストップが可能でした。

  3  フリック  8.5点
  ここも思い切って踏み込んだ時に暴発せずに意図した軌道で打球できる印象が強かったです。

  4  チキータ  8.5点
  単体で点数になるような威力はありませんが、弧線が上がらない割には自分から掛けていくような打球も台上で安定していました。バック面での"そつなくこなせる"度合いは非常に高いです。

[おすすめな方]
  中級者でバック面はつなぎ中心の方におすすめします。上述したように先入観と異なり安定型のラバーでした。その上で、ファスタークC1やロゼナ、V15スティフのような売れ筋の安定型バックラバーとの差別点として台上も意図した通りに動かせる点が挙げられます。つなぐとは言ってもチキータやカウンターである程度自分からもう一手が欲しい場面も多いですし、でもハイエンドクラスは実力的に難しいと感じる時に丁度よう感じるかと思います。
  合わせるラケットは弾みの調節でカーボン系がいいように感じます。試打に使用したフォコoff+も弾む木材ラケットではありますが、やはりカーボンを球離れのバランスも含めておすすめします。