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投稿者:ぬりかべ

NEVAGIVA社 トリックウェーブ(黒・OX)
 ※Wizard株式会社特注7枚合板に貼って試打しました。裏面は太陽PRO極薄ブルースポンジです。
 ※同じラケット、裏ソフトで、シュメルツを貼ったものを用意し、比較しながら試打しました。

1.ざくっとレビュー
 オートマチックな変化は少ないが、やりにくい技術がなく、技術力の高さに比例して先述の幅が広がる、中〜上級者向け万能型粒高ラバー。

2.第一印象
 このラケットには、もともと接着シートがついています。カールシリーズの接着シートと同じぐらいの接着力があるので、簡単には剥がれないように思います。
 シュメルツと比較すると、粒の高さは同程度ですが、粒がやや細く、粒と粒の間隔はやや広めであるように思います。シュメルツが半径大きめの間隔狭めだったので、トリックウェーブは標準的なのかもしれません。
 触った感じでは、粒はシュメルツよりもやや硬めで、弾みは同程度(なかなかの低弾性です)。重量はSTIGAのペンエースと同じサイズのブレードに貼って17gでした。

※以下の点数は、すべて「粒高として」の点数です。
3.攻撃技術
 プッシュ 8.5点
 スマッシュ 8.5点
 ドライブ 9.5点
 まず、粒が硬いためにプッシュやスマッシュのように弾く技術全般がやりやすいと感じました。また、粒が潰れないために粒高ラバーとしてはスピードが出しやすいように思います。詳しいことはカウンターのところで述べますが、粒の硬さを生かして上回転を叩いて返すことができ、ペン粒が嫌がる「弱い上回転で徹底的につながれる」というパターンにカウンターで対抗することができます。さらに、シートの引っ掛かりが強いため自分から上回転をかけて返すことができ、低いボールやナックル性のボールに対して上回転を加えることでプッシュやスマッシュの安定性を高めることができます。ただし、弾道は特に揺れたり落ちたりするわけではなく、比較的素直な弾道のボールになります。
 そして、攻撃技術で特筆すべきはドライブ。粒が硬いので「ボールが落ちやすいかな?」と思いましたが、シートの引っ掛かりが強いので強めにスウィングするとボールが落ちることはありません。対下回転はもちろん、対ナックルや上回転でも上回転をかけて返せます。一般のドライブマンに相手をしてもらったところ「弾道が弧線だし、普通に当てるとオーバーするし、裏ソフトとまではいかないけど、表ソフトぐらいにはかかっている気がするなぁ」とのことでした。
 攻撃全般に関して言うと、弾道の変化が大きかったり、当てたら落ちるようなものすごく取りにくい球質になったりするわけではないので「特徴がない」ようにも見えますが、攻撃しにくいボール(ナックルや上回転)がなく、ドライブとミート系の打ち分けがやりやすいと感じました。びっくりするようなボールが出るわけではありませんが、やりにくい攻撃技術がない、と言っていいでしょう。初心者がこのラバーを使ってもさほど脅威は感じませんが、中〜上級者が使ったらかなりやりづらいでしょうね。
4.守備技術
 ブロック 9点
 ツッツキ 8点
 カウンター 9点
 ブロックでの最大の長所は、なんと言っても「止めやすい」「低い」こと。2バウンドブロックがやりやすく、ブロックしたボールを相手に上から叩かれることが少なく、普通に当てるだけのブロックでもなかなかに質が高いと感じました。ただし、粒が硬い影響もあり、当てるだけでボールが揺れたり切れたりすることはほとんどありません。カットブロックは、普通の中学生程度のボールではなかなか粒を倒すことはできずにあまり切れませんでしたが、高校生や一般のボールであればしっかり粒を倒すことができて「ブチ切れ」のボールが出せます。詳しいことは後述しますが、弱めのドライブに対しては積極的にカウンターを使い、強めのドライブにはカットブロックの回転の変化で対応するのが良いように思います。なお、バックブロックでは切れたブロックとナックルブロックがナチュラルに混ざり、フォアブロックは意識しないとナックルブロックは混ざりませんが、ブロックの切れの最大値はバックよりも大きいです。
 カウンターに関しては、攻撃技術のところで述べたように上回転を叩いて返せるので、カットブロックをループドライブで持ち上げさせ、プッシュやスマッシュでカウンター、という戦術がたいへん効果的です。また、上回転をドライブでかけ返せるため、カウンタードライブも可能。カウンターの威力そのものは「粒高としてはまぁまぁ」という程度で一発で打ち抜けるようなボールは出ませんが、カウンターのプッシュはナックルか弱い下、ドライブにはきっちり上回転がかかっているので、打ち分ければ相手からするとかなり取りづらいのではないかと思います。弱いドライブで粘られる、という粒高にとって嫌な戦術にもカウンターで対抗できるので、戦術の中にカウンターを組み込むことで粒高の弱点はかなり解消できるように思います。
 ツッツキは、標準的な粒高と比べるとよくかかります。ボールの斜め下を強く擦った場合は、スピード系表ソフトと同じぐらいの回転量があるように感じました。ツッツキに対するプッシュをカウンターで狙ってくるような相手には、このツッツキを混ぜると効果的でしょう。とは言え回転量の最大値がそれほど高いわけではないのでネットミスがとれるほどではありませんが、強く擦らないと一般的と同様にほとんど下回転がかからないので、「ちょい切れ」「ナックル」を混ぜることでチャンスボールをつくることができそうです。
 守備全般に関して言うと、「ドライブを短く止めやすい」というとびぬけた性能はあるものの、驚くような切れや変化があるわけではありません。カウンターの技術やツッツキの技術と混ぜることによって粒高の欠点を補う、または戦術の幅を広げることができるので、やはりこのラバーの真価を発揮するには中〜上級者レベルの技術力が必要でしょうね。

5.台上技術・サーブ・レシーブ全般
レシーブ 8点
 台上技術 9点
 レシーブでは、私が普段使っている粒高(HellFireX、Shmerz、TACTICS LP)と比べると、回転の影響を受けやすいと感じました(GrassDtecsGSほどではありませんが)。「とりあえず一定の角度が出せれば返る」という感じではありません。サーブに応じた角度を出す、ということが他の粒高よりも若干シビアに要求されます。ただし、低弾性なので下系か上系かの読み違えが無ければさほど返球は難しくありません。また、ラケットを横にスライドさせて回転軸をずらしたり、フリックで弾いたりかけたりすると安定して返ります。
 台上処理では、先述した通りフリックが好感触です。硬さを生かして弾いてもよし、シートの引っ掛かりを生かして回転をかけてもよし。ただし、ある程度ボールに対して厚く当てないと「ちょっと回転がかかった棒球」になってしまうので、裏ソフトでのフリックよりも弾く意識を強く持った方が良いと思いました。低弾性であることを生かして、ストップもやりやすいように感じました(切ったツッツキはできませんでしたが)。
 初心者がこのラバーを使った場合、レシーブではあまりメリットはありませんが、自分から台上技術で仕掛けたりラケットをスライドさせたりできる中〜上級者が使うと、レシーブがかなりの脅威になるように思います。

6.お勧め構成
 ラバー自体が低弾性なので、プッシュや攻撃の威力を出すために、オールラウンド以上の弾みがあるラケットに貼ると良いでしょう。逆に、弾みを抑えたラケット(DEFぐらい)に貼ると、このラバーの真価が発揮できないように思います。
 
7.どんな人にお勧めか
 回転の影響を若干受けやすいことと、自然に変化が出るわけではないことを考えると、自分から攻撃したりブロックの変化をつけたりできる、中〜上級者向けでしょう。最もフィットするのは攻撃を多用するペン粒ですが、私のようなバック主体の止め専でも安心して使えると思います。シェークバック粒の選手でも、ハーフボレーやドライブなどで攻めたい選手にはたいへんフィットすると思います。
やりにくい技術がなく、自分の技術力に比例して先述の幅が広がるラバーなので、全国大会で活躍するレベルの粒高ユーザにもぜひ使ってほしいですね。

8.総合評価
 中〜上級者が使う前提で考えると、自分から粒で攻撃することができる攻守兼備のペン粒あるいはシェークバック粒ならば9〜9.5点、私のような止め専のペン粒なら9点をつけて良いかと思います。もし粒初心者が使うのであれば、当てるだけのブロックでもまずまず質の高いボールが出せるので、7〜7.5点ぐらいでしょうか。
 
9.その他
 「やりにくい技術がない」「粒の引っ掛かりが強い」「低弾性」ということを考えると、今までに使ったラバーの中ではFrictionSpecial2に近いように思います。旧タイプよりは若干粒が軟らかいので、旧タイプのものよりも、新タイプのものに近いのではないでしょうか。TacticsLPとはまた違ったベクトルで、万能タイプの粒高ですね。