
投稿者:FGS
[自己紹介]
戦型 右シェーク裏粒カットマン
卓球歴 約4年半
[レビューする商品名]
月ブルー【銀河】
[使用環境]
使用ラバー
月ブルー 2.2mm 39度 黒
使用ラケット
ビオンセロ
丹羽孝希
デフプレイセンゾー
ディフェンシブプロ
主にフォア面での使用ですが、反転してバックでも使用しています。
[はじめに]
お久しぶりです。約1年ぶりの投稿となりました。
今回レビューさせていただくのは、WRMさんの粘着テンション、月ブルーです。このラバーは粘着とテンションの中間の性能となっており、''下回転系の技術では中国製粘着の良さが出るのに、上回転系の技術ではテンションの良さが出るラバー”,“テンションユーザーがそのまま使える粘着ラバー”として売り出されています。
ラバーを見てみると、シートは表面が微粘着となっており、粒形状がテンションラバーに近い設計(細くて高い粒)になっています。またスポンジは硬度39度(中国基準)で、已打底の膜がないブルースポンジとなっています。
球つきをしてみると、弾みは予想以上に強く、テンションラバー並と言っても過言ではないレベルです。また硬さはそこまで感じません。中国製粘着テンションとしては珍しい感覚ですが、実際に試打してみるとどうなるのでしょうか…?
では早速レビューの方に移りたいと思います。
[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
<ドライブ>
球つきの時点でわかってはいましたが、それでもやはり弾みの良さに驚きました。同じくWRMさんの銀河ラバーである木星と比較したところ、月は弧線が出るのに木星よりも球が深くなり、木星の打ち方ではオーバーミスが連発していまうほどでした。また硬さの方も、テンションラバーよりは硬いものの他の中国製粘着に比べるとあまり感じず、比較的扱いやすいラバーだという印象でした。ちょっと硬めでかつかなり弧線が出るテンションラバー‥というイメージでしょうか。
またキャッチコピー通り対上回転ドライブではテンションラバーのような感覚でスピードが出せる一方、対下回転のドライブでは粘着の感覚でボールをしっかりと持ち上げ、回転量豊富なボールを打つことができます。しかも普通のテンションとは違いスポンジが硬くてシートも強いため、カウンターなどの対上回転でも“相手に押し負けない”という粘着の良さが出ています。この性能にはかなり驚かされました。
<ミート打ち,スマッシュ>
ミート打ちでも同様に、テンションと粘着のいいとこ取りのような性能が出ていました。テンションのようにスピードが出せる上に、他のテンションより硬いぶん弾く感覚があるので、威力の高い球を打つことが可能です。また硬さのおかげで相手の回転の影響を受けにくくなっており、上回転に対しても下回転に対しても比較的簡単にミート打ちをすることができます。球質も比較的ナックルになりやすいため、やりやすさだけでなく嫌らしさも兼ね備えているラバーだと感じました。
《攻撃技術全般》
・中国製粘着とは思えない弾みの良さ
・あまり硬くなく、テンションユーザーでも扱いやすい
・対上回転は、テンションの感覚なのに押し負けない
・対下回転は、まさに粘着の感覚
攻撃面ではこのような印象でした。
まさにテンションと粘着のちょうど間の感覚です。
全体として見れば球のスピードはテンションより少し遅く(ラバー重量が重めなのも関係?)、回転量は他の中国粘着よりやや少なめ(シートの強さが他の中国粘着よりは弱いため)ではあるのですが、他のラパーにはない「テンションと粘着の性能の高いバランスでの両立」ができているラバーだと感じました。
またこのラバー、かなり扱いやすいため、バックでの使用もアリです。バックでもドライブ・ミート打ちのどちらもこなせる万能ラバーになっているので、多くの方におすすめできるラバーだと感じました。
[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
<ブロック>
これも対上回転ということで、“粘着” よりも “硬いテンションラバー” というような感覚です。シートにボールが食い込む感覚があるので、キョウヒョウなどよりもかなり扱いやすく感じます。弾むぶんボールが適度に深く入ってくれるところも良いです。
また硬いおかげで相手の球の影響を受けづらい&ナックルブロックなどでの変化もつけやすくなっているので、ブロックを多用するようなプレースタイルにもマッチするラバーだと感じました。
<ツッツキ>
最も粘着の良さが出ると感じたのがツッツキです。粘着らしく思いきり切っていくことができ、回転量豊富な鋭いツッツキを出すことができます。他の粘着と比べると回転の質は落ちますが、弾みがあるぶん球足が速くて深い、取りづらい球になります。
またカットマン的に見ると、弾みで球が飛んでいってくれるおかげで少し下がった位置からのツッツキが楽になっていると感じました。さらに他の粘着より弧線も出るので非常に安定します。
ツッツキでコースをついたり回転の変化をつけたりするだけでも、安定感と球の嫌らしさのおかげでかなりの得点が期待できるラバーだと感じました。
<カット>
カットはシートに食いこんで飛ばしてくれるため、狂?などよりも楽に切れると感じます。その上でスポンジの硬さもしっかりと感じるため、どちらかといえば粘着らしさは強い印象でした。カットに関しては、テンションから移行する場合は翔龍やTRIPLE Extraのほうが使いやすいように思います。
ですがボールの質が高いのはやはり月ブルーです。シートでボールを掴み、硬く弾むスポンジでしっかりと球を弾き出していく感覚があります。実はこの感覚は先ほど挙げた2枚のラバーにも通ずるところがあるので、テンション→翔龍かExtra→月ブルー という流れで移行していくと、少しずつ粘着に慣れていけるので移行しやすいと思います。
逆に他の中国製粘着から移行する場合は、弾みの面と打法の面で調節が必要かもしれないと感じました。
まず弾みの面に関しては、単純にラバーの弾みが強いので飛ばし方などの調整が必要になります。月ブルーは厚さのラインナップが2.2mmしかないため、その点についても注意が必要です。
また打法の面に関しては、(カットの際食い込ませて切る方はあまり問題ないですが)擦って切るタイプの方は少し難しさを感じるかもしれません。シートの粒形状が他の粘着に比べて細くて高いうえ、シートが柔らかく、引っかかりの強さ・粘着度もキョウヒョウなどに比べれば弱めなので、擦ってカットすると滑ってしまうような感覚があります。なので、普段擦るタイプの方も少し食い込ませて切るようにしたほうが安定してカットができると思います。
<ロビング,フィッシュ>
中国ラバーにしては飛距離が出るため、飛ばなすぎでネットミスすることもあまりなく、適度に深い球球が深く入ってくれます。回転がかけやすいですし回転量もあるため、横回転などで軌道の変化をつけるのもかなり感触が良かったです。
《守備技術全般》
・守備では特に扱いやすくて、球も深くなってくれる
・ツッツキが速く刺さるし安定する
・後ろに下がっても飛ばしやすい
・擦るより食い込ませて切ると良い(カット、ツッツキ)
守備ではこのような印象でした。
ブロックではテンションらしさがあって扱いやすい感覚である一方で、ツッツキやカットでは扱いやすさがありつつも粘着らしく切れるという感じですね。
本格的な中国製粘着に慣れている方は初め多少戸惑う部分もあるかと思いますが、弾み方や切り方に慣れれば、月ブルーの攻撃的な高速ツッツキなども1つの武器にしていけるのではないかと思います。
[サーブ・レシーブ・台上技術]
<サーブ>
中国粘着ということで従来のテンションよりもボールをしっかりと擦れる感覚があるので、ショートサーブがより短く切れます。ロングサーブに関しても、よく切れますしさらに弾むおかげで威力ある球が出せます。このロングサーブはかなり大きな武器になるのではないかと思います。
<レシーブ,台上技術>
サーブと同様に、レシーブや台上でも中国ラバーの良さが出ています。
レシーブでは、回転がわかりづらいサーブに対しても、粘着なので「とりあえずツッツキ切っておけばなんとかなる」というような安心感があります。普段レシーブが不安定な方も、このラバーならかなり安定するのではないでしょうか。
また台上技術では、「やりやすさ」と「球の質」が特によく両立できていると感じました。基本的に、粘着といえばやはり台上技術がやりやすいですが、そのぶん球のスピードが落ちるということも..。ですが月ブルーは、粘着のやりやすさ、回転力を残しつつスピードも出すことができます。
[おすすめな方]
この商品は,
・粘着ラバーに初挑戦してみたいテンションユーザーの方
・狂?などの粘着ラバーに挑戦したものの弾まなさすぎて断念してしまった方
・サーブ、台上、ブロック、カウンターで戦う前陣型の方
※カットマンなら..
・今粘着ユーザーで、もっと楽にカットがしたい!という方
・今テンションユーザーで、もっとカットが切りたい!という方
におすすめです。
逆に,
・テンションラバー並の弾みではオーバーミスしてしまう粘着ユーザーの方
・とにかくループドライブをかけまくったり、回転量で勝負したいプレースタイルの方
・硬いラバーが苦手な方
にはあまりおすすめできないかと思います。
[まとめ]
まとめると,
・とにかくテンションと粘着の「中間」の性能
・硬め、重めだが回転量は豊富(粘着らしい所)
・適度に弾み、スピードが出る(テンションらしい所)
・攻撃型(フォア、バック)からブロックマンやカットマンまで、幅広い戦型におすすめできる
このような特徴のあるラバーだと感じました。
もしかすると上級者の方にはそうでもないかもしれませんが、初中級者レベルなら「中途半端」ではなくテンション、粘着の「良いとこ取り」だと感じられる性能になっていると思います。硬いラバーはどうしても扱えないという人には厳しく感じられるかもしれませんが、それでも多くの方に一度は試していただきたいラバーです。昨今のラバー値上げラッシュの中、月ブルーは値段も比較的安いですし(今後値上げされるかもしれませんが)、お試しされるのも良いのではないでしょうか。
以下、狂?NEO3(Nittaku版)・狂?PRO3ターボオレンジ・ファスタークG-1との比較になります。
硬さ(シートのみ)…PRO=NEO>月>G-1
硬さ(スポンジのみ)…PRO>月≧NEO>G-1
硬さ(ラバー全体)…PRO>月≧NEO>G-1
弾み…G-1≧月>PRO>NEO
球持ち…NEO≧月>G-1>PRO
打ちやすさ(対上回転)…G-1>月≧PRO≧NEO
打ちやすさ(対下回転)...月>NEO≧PRO>G-1
打ちやすさ(ミート系)…G-1≧月≧PRO>NEO
回転量…NEO≧PRO>月>G-1
スピード…G-1>月>PRO>NEO
コントロール…月≧G-1>NEO≧PRO
ナックルの出やすさ…NEO≧PRO≧月>G-1
守備の抑えやすさ…NEO≧PRO>月>G-1
ツッツキの刺さり…PRO≧月>NEO>G-1
[補足]
使い始めは粘着力が強いですが、使用しているとだんだん取れていき、程よい粘着力、程よい弾みになります。使う期間によっても感想が変わってくるラバーだと思うので、それを知った上で打っていただけると良いかと思います。
[その他(DVDのレビューはこの欄にお書きください)]
忙しいためなかなかレビューが書けず、1年ぶりの投稿となってしまいました。(本当はこのレビューも今年1月に投稿しようと思って書いていたものだったのですが..)
来年は前期に何件か投稿出来ればと思っていますので、よろしくお願いいたします。