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投稿者:くろかみ


[自己紹介]
  中ペン裏裏、大学体育会所属、単都128レベル。いつもご覧頂きありがとうございます。疑問点を残さない良質な記事を書くためにも、このサイトにフィードバック機能があれば面白いなと最近考えております。現状では補足情報を私のTwitterでお伝えするなどしておりますので、是非合わせてご覧下さい。

[レビューする商品名]
  ディグニクス05  厚(1.9mm)

[使用環境]
  使用したラケット
  インナーフォースレイヤーZLC
  ヴィルトーソ+
  ティモボルALC
  SK7

  主にフォア面で使用しました。

[はじめに]
  メーカー説明文↓
  より高いレベルのプレーへと導く『ディグニクス』。その核心は、「スプリング スポンジ」よりも弾性を高め、進化した「スプリング スポンジX」と、打球時の球持ちを重視し、かつ表面の摩耗耐久性を強化した独自配合のシートとの組み合わせ。高い回転性能が特長の“開発コードNo.05”のツブ形状を採用した『ディグニクス05』は、前中陣でのパワードライブやカウンターなど、回転を重視した攻撃的なプレーをハイレベルで求める選手にお勧めです。

  言わずと知れた、テナジーをも凌駕する性能と価格を誇る「ディグニクス」シリーズ。今更といえるタイミングでディグニクス05 (以下ディグ05)をレビューするに至った理由は3点あり、テナジーと比較したメリットがあまり認知されていないこと、特厚も使った上で厚を主に分析していく視点を提示したかったこと、そして筆者の怠慢で中々執筆しなかったこと(これが8割)が挙げられます。今回はこれらを意識して、このレビューを掲載する意味に結論を出したいと思います。

  さて、9000円のラバーを緊張気味に開封すると、濃い赤色のスプリングスポンジXは気泡がテナジーシリーズより小さくなっており、変形と反発のしやすさが向上しているというメーカーの説明通り球突きの段階から厚とは思えない弾みがあります。引っかかりも最高で、昨今シートが軟らかく薄いドイツラバーが多いこともあり、ゴツっと手に掴んだ感触が伝わる頼もしさを久々に感じました。

[攻撃技術全般(ドライブ・スマッシュなど)]
  0  基礎打ち、軽打
  特厚を試打した時に「性能は魅力的だが自分は試合で使いこなせる自信がない」と日和って厚を購入したのが始まりでしたが、軽打の段階で厚でも他の特厚に匹敵するような飛距離があり、同時に打感がはっきり伝わることで制御しやすさもあることが分かります。テナジー05と決定的に異なるのはシートの頑丈さで、スプリングスポンジの食い込みをかき消すほどの硬さではないものの、テナジーのように軽いタッチでも勝手に回転がかかるような特性は薄まっています。これはスポンジが厚であることにも起因しますが、食い込みが少なくなることで打感の硬さが目立ちます。

  1  ドライブ  9.8点
  現存するスピンテンションで最高のバランスを備えており、満点をつけても良いと感じました。過去ラクザXやターゲットプロGT-H47、テナジー05に9.5点をつけたことがあり、今後レビューする予定のディグ09Cがディグ05を上回る評価になることを見越して、9.8点というM-1審査ばりに窮屈な採点に致しました。まず9.5点をつけた3枚に共通するのは「とにかく入る」ことです。球威の最大値などに違いはあれど、いずれも良く球を持ち安定して高い弧線を描く、オートマ寄りの性能を有しています。最近のドイツ製だとV20ダブルエキストラやダイナライズACCがこのジャンルに入るでしょうか。
  対してディグ05はスポンジが硬めに設定されていることもあり上記のものよりある程度のインパクトが求められ、ひたすらに入るタイプではありません(トップ層では安定以前に打感などへの違和感で慣れたテナジーからの移行を断念したケースも多く見られます)。厚は特に打感も硬く、テナジーの感覚で打つと食い込みや引き攣れの乏しさを感じます。しかし、一度シートとスポンジのバランスを理解すると全くやりづらさを感じなくなります。あまりの引っかかりの強さと球を持ち上げる力に、とにかく平行スイングで球の上を捉えることを意識することによって、フットワーク練習など下半身に意識を置いている時においても安定感が変わらず、こちらは何もしていないのに1段階球威が上がってブロック側が指に当てたり弾かれたりするシーンが見られるようになりました。
  ループドライブも、ドイツ製ほどのクセはないもののある程度スピード系と差をつけた打球が可能です。テナジーやラクザXは食い込みが強くループも中途半端にスピードが出てしまうために回転量自体はあっても素直な軌道になってしまうことがあり、3球目の得点力はある程度差をつけやすいディグ05に軍配が上がります。一方で、一般的に厚の場合は一発で抜きたい場面で物足りないことが多く、ディグ05も例に漏れず食い込ませきらないとスピードが乗りませんでした。ベースのレベルが圧倒的に高いこともあり、厚を使っていて感じた不満は逆に言えばこれくらいしか無かったと言えます。

  2  カウンター  9.5点
  周りの使用者も口を揃えて、カウンターが素晴らしいと言います。個人的にスピンテンションによるカウンターは、前陣で合わせるならQ5、引き返しも含めた総合力ならディグ05の一強と言ってもいいほどQ5以来久々の感動を覚えました。この時代で引っかかりが良くて落ちないことはもはや前提であり、その上で捉えきれなかった時に吹っ飛んでいかないことが求められています。粘着系を除いて最後の沈み込みで安定性を最も発揮するのがディグ05であり、筆者のような硬いラバーを扱いこなすパワーが備わっていない人が使うにも心強いバランス感でした。

  3  スマッシュ、フラット系  7.5点
  テナジーや軟らかいドイツ製のようなミートの心地良さはありませんが、概ね安定しています。弾くというより最後の食い込みがあるために勝手に伸びたり弧線を描いたりして、個人的にはテナジーより暴発する感覚もなく扱いやすかったです。結局ミートは打感の好みの問題なので深く言及できませんが、どちらかといえばドイツ製が得意な方に向いているかと思います。

[守備技術全般(ブロック・ツッツキ・カットなど)]
  1  ブロック  8.0点
  フラット打ちの時同様、シートが敏感な割には硬さが絶妙なのか収まりは良く感じました。特厚の場合スプリングスポンジXの強度が出過ぎてしまい全てカウンターしにいくこともあるため、厚によるプラス補正を加味する必要があります。テナジー05同様、ループ処理は感覚が無いと苦労すると言って良いでしょう。

  2  ツッツキ  9.0点
  厚にすることによってより板で切っている感覚が得られ、元々の手に響く特性も相まってナックルやロングサーブに対しても積極的に上書きを仕掛けていける強みがありました。ディグ09Cなどの本格派粘着テンションには及びませんが、テナジーより硬いがゆえの台上の切れ味は特筆すべきポイントです。

[サーブ・レシーブ・台上技術]
  1  サーブ  9.0点
  回転量コントロールともに文句なしで満点、としたいところでしたが、厚でもシートが強く反応して予期せず台から出てしまう場面があるため若干の減点としました。テナジーよりも手に響いて回転をかけた感覚が伝わってくる点が素晴らしく、ロングサーブも上下の打ち分けや軌道に不満はありませんでした。

  2  ストップ  9.0点
  一般的なスピンテンションの厚よりは弾むことに注意する必要がありますが、切って止めることができるのは大きな強みです。ファスタークG-1やQ5など、切っても当てるだけでも安定して止まるテンションは大抵攻撃面で硬さが目立ちますが、ディグ05はストップの可能性を残しつつハーフロングに伸びてきた時に咄嗟にかけられるバランスが素晴らしいです。

  3  フリック  7.0点
  弾きはあまり良くない上にシートが敏感なため、攻撃的にいくなら引き攣れのあるテナジーやラクザの方が安定するように感じました。一方で回転を残した流しなど、シートで処理する意識があれば収まりは効きます。

  4  チキータ  8.5点
  打点が落ちても小さなスイングで弧線を作ることができ、簡単に上から叩かれることのない回転量があります。ただしテナジーの方がこの手の技術はやりやすく、引っかける強さなら昨今のドイツ製でも間に合っている中でテナジーのように引き攣れにより力強く持っていくもう一押しの要素が無かったため控えめな点数にしました。

[おすすめな方]
  中上級者の両面におすすめします。
  スピード回転ともに最高峰のラバーのため、その分レベルの高い返球に対処する力が無いとギアに振り回されるリスクがあり、その点で厚を選択することによって調整する一手は試打期間を通じて大アリだと結論づけました。今回はフォアで主に使用しましたが、バックにおいてもカウンターブロックや台上で1段階打球の質を高めることができるためインパクトが確保できる方には強く推奨します。
  また合わせるラケットについて、今回試打したものとの組み合わせではどれも板の良さを引き出せているようには思いましたが、総合的にバタフライのラケットをおすすめします。言葉で形容しにくいのですが、他社のブレードとスプリングスポンジの独特な食い込みとの空気感(?)は微妙に異なる感覚があります。素材は幅広く好相性で、テナジーよりはスポンジが硬いことを考慮して調整すると良いでしょう。特に、SK7などの7枚合板に合わせるとラバーが板の強さに負けてロスすることがありますが、ディグニクスならばその心配はなく、寧ろ破壊力が増す好相性です。

[まとめ]
  2022年にディグニクスのレビューを出す意味の結論として、他社の開発競争によりテナジーの優位性が本格的に失われてきたことが挙げられるでしょう。テナジーの強みはロゼナにも見られる「補正能力」と、得点能力に繋がる「絶対値」の共存にありますが、自らメリハリをつけていきたい選手にはドイツ製の方が向いている場合も多く、現在は回転量・打感ともに申し分ない製品が出回っているために選択肢が広がっています。一方でディグニクスに乗り換えるとき、上級者層は単純にテナジーなどと比較して回転量と弾みの向上を求めることができますが、中級者層にとっては性能の最大値に加え、ある程度はっきりした打感と台上技術の安定感が9000円を出して使用する最大のメリットになると考えます。事実、筆者はテナジー05?80も使用した上で長らくメインをエボリューションMX-P(ティバー)に固定しており、回転量で劣るものの独自の打感とクセを持つMX-Pがテナジーより自分に合っていると判断し使用していましたが、ディグニクス05は自らの打球調整が手に伝わる点と、ラリーでは十分すぎる程飛ぶにも関わらず台上が切れて止まる点が病みつきになり、メインの交代に至りました。また耐久性が上がったと謳うシートは実際に寿命が長く、筆者の使用期間はテナジーの2倍以上に及びました。市場に出回っているラバーの中で1,2を争う高価格ラバーですが、現在週6で練習している筆者もコスパに概ね満足しております。

[補足]
  最後に、これが2022年最後のレビューになるため、この場を借りて読者の皆様に改めて深くお礼を申し上げます。本年もありがとうございました。今回は試験的に不等号による比較をやめて文章のみで執筆しましたが、書きたいことが多すぎてまとまりが損なわれた記事になってしまったかと思います。恐らくTwitterでの補足もあるでしょう…。ステマをする気は毛頭ありませんが、技術別に点数化するとどうしても大きく点差をつけづらいこともありどれも忖度したかのような点数になりがちで、後から情報不足に感じることもあります。レビューを通じてその用具の長所を見つける楽しさだけでも伝わっていれば幸いです。
  2023年は更にマイペースな更新になりますが、ディグ05を真っ向から性能で上回ると感じたディグ09Cとその対抗となる今ホットなドイツ製粘着テンション、そしてハイエンドクラスから一歩落とした位置の用具のネタも多く用意しております。乞うご期待下さい!